読み返すたびに胸がアツくなる漫画!
好きな漫画や今読んでいる漫画って何?と聞かれた時
挙げる一つが『GIANT KILLING』です。その理由考えてみました。
「好きな漫画は『GIANT KILLING』です」というと、大抵の人から「おお〜、あれ良いよね」という反応があります。
「良いよね〜良い漫画だよね〜」と盛り上がるんですが、何が良いのか、自分はどこが好きなのか、#マンガ読書感想文という課題を良いキッカケに、少し立ち止まって考えてみました。
理由はいくつかあります。
1. サッカーに詳しくなくても楽しめて「良いよね〜」
この漫画は言わずと知れたサッカー漫画。イングランドのアマチュアクラブをFAカップでベスト32にまで勝ち抜いた達海猛が、日本の最下位常連チームであるイーストトーキョーユナイテッド(ETU)の監督として就任し、強豪チームに立ち向かっていくというのが主なストーリー。ほぼサッカーの試合がメインで描かれています。
でも、サッカーのルールはもちろん、ポジションなどもよくわからない私でも楽しめるのがこの漫画の魅力の一つ。
解説もほとんどないので、分からなければ分からないまま読み進めることになりますが、今までに「…??」となったことはありません。
スポーツ漫画はちょっと…と敬遠しがちな人にも読みやすい漫画です!
2. 過激な描写がないから安心して読めて「良いよね〜」
過酷なしごきやチームメンバー同士のいじめ、上下関係問題といった、たまにニュースで流れるスポーツ界の闇の部分があまりないから、安心して読めます。
キレイゴトばかりではなく、選手同士の妬みやひがみといった感情も描かれるんですが、それが暴力という形では表現されていないのが良いなって思っています。
選手たちの夜の世界(!)などの性描写もなく、恋愛描写もないので子供が読んでもママも安心。清々しいスポーツ漫画です!
3. 絵が上手で「良いよね〜」
プロの漫画家さんに対して、絵が上手というのも稚拙な表現で申し訳ないですが、本当に本当に上手なんです。
この「上手さ」がサッカーを知らない人でも抵抗なく読み進められる理由の一つでもあるかなと思っています。
何が上手かというとまず、描写の躍動感がすごい。ボールを蹴るシーンなど、気迫が伝わってきます。ボールがゴールネットに刺さったとき、ポールに当たって外れてしまったとき、その勢いは紙(もしくは電子版)なのにリアルに伝わってきます。
でもリアルさの反面、コミカルなタッチもうまいバランスで描かれているので疲れずに読めます!
シュートをしようとする体制や筋肉や足の動き、体の傾き具合、芝などの飛ばし具合、眼差し、リアルさは必見の漫画です。
4. 共感できるシーンやセリフ多くて「良いよね〜」
ストーリーや登場人物の心情に共感できたり、セリフが心に刺さる漫画が大好きなんですが、GIANT KILLINGもそう。
それに描かれる選手たちの葛藤や想いはスポーツをしていない人でも共感できるはず。
自分の弱さ。ポジション争い、加齢や体力の衰えへの不安や恐れ、どんどん出てくる若くて優秀な選手の脅威。そんな悩みを選手たちも抱えつつもがきつつ、一人ひとりが自分い向き合っていく様子に全然違う環境にいる私も「わかる…」の連続。
自分の強みが分からず「私の良さって何だろう…」と悶々としているとき。今やっている仕事の成果がなかなか見えてこなくて諦めたくなるとき。選手たちや達海監督のシーンやセリフに、感情移入しっぱなしでした。
ふとした時に漫画のワンシーンを思い出してジーンとひたれる漫画です。
5.登場人物が魅力的で「良いよね〜」
GIANT KILLINGの主人公は達海監督だと思うんですが、出てくる登場人物みんな個性豊かで魅力的。
自己中の人や口の悪い人はいるけれど、わざと相手にケガをさせたり、靴に画鋲を入れたり(古すぎる)といった「悪」い人はいないのも好きなところです。
中でも魅力的で良いよね〜って思うのは、この三人。
私の好きな登場人物
村越
長年チームをささえてきたミスターETU。
寡黙で思慮深く、器が大きいところが良いです。でも一番は醸し出す雰囲気とかキャラクターが好き。顔は怖めで、笑顔もほとんどみたことがないけれど、男気があってガッツがあってカッコ良い。
ルイジ吉田(ジーノ)
なんだかんだいいながら、達海監督の作戦や思考を理解し、パスを繰り出してくれる背番号10。
走って疲れたりがむしゃらになることを厭うあたり、「メンタリスト」のジェーン・パトリックを彷彿とさせる自由人ぶりなんですが、彼なりにチームを考え勝利に貢献しているところが好き。
めったに守備に入らないのに、勝利のためにスライディングして体を張るシーンが好き。
石神
飄々として適当そうに見えてチームの変化にもすぐ気づく鋭さももっているベテラン選手。守備も攻撃もできるし、ギスギスした場面でも、肩の抜き方が上手。こういう性格の人憧れます。サポーターの子供たちからも「良い人」と評価されていたので、性格も良さそう。
他にもいろいろ好きな人がいるんですが、結構「あのシーンのあの人よかったよね」という感じになっています。
最後に
ここまで漫画の「良いよね〜」を書いてきたのですが、ちょっと漫画を離れて、どうして私は「GIANT KILLING(弱いチームが強い奴らをやっつける)」に心躍るのかを考えてみました。
弱い者が強い者を倒す、夏の甲子園でもときどき起こる無名校が強豪校を破る。それがどうして痛快なのでしょうか。弱いほうを応援したくなる、頑張ってほしい、と思ってしまうのはどうしてなのでしょうか。
自分の予想を越えた出来事にドキドキするから。
ありえないと思っていたことが起きてワクワクするから。
私は自分の中で倒したい強敵(ジャイアント)を持っているから。
自分の中でおこしたいと思っているジャイアントキリングが、別の形で現実に起こることを私は求めているのかもしれません。
自分の中の倒したいジャイアント。それは自分のコンプレックスかもしれないし、過去の失敗や恥かもしれないし、克服したい何かかもしれないし、明日提出の課題かもしれない。
それらと戦っているときに、ジャイアントキリングは起こせるんだ、という可能性が見えてくると、自信がもらえ、背中を押してもらえる気がします。
話を漫画に戻すと。
漫画では弱かったETUが強豪チームを倒してタイトルを狙っていくというジャイアントキリングと、選手たち一人ひとりが自分の中でジャイアントキリングを起こしていく、その両方があるから私は読むたびにこんなにも胸がアツくなるんだと思います。