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エモデザ最終章エンディング「噓つきはこの人だった」

「この中で嘘をついているのは…けるぼんさんだ。この発言の中に、嘘がまざっている」

こんばんは。今日、電話線が切れました⚡️ ロックダウン中はカフェもやっていないし、友達の家も頼れないんです。いつもオンラインでやっている仕事や子供の学校、携帯一本でどこまでやれるか…機能しているのは家の鳩時計くらいですね。

一瞬の沈黙。彼女は少しの間の後、口を開いた。

「…なぜ、私が嘘をついていると? 電話線の話をしているのを読まなかったんですか? フリーザスタイル使ったのに」

「ああ、途中まではあってる。ただ、後半余計な話がくっついているだろ。「鳩時計」って何だ

「私の家に鳩時計があるかないかなんて、オンラインで知り合ったフリーザさんにはわからないでしょう?」

「そう、それだ。けるぼんさんが住んでいるのはカナダだろ。カナダに鳩時計っていうのはない。本来あれは18世紀のドイツで始まったカッコウ時計を、日本人だけが「鳩時計」って呼んでる。

カッコウの別名が日本語では閑古鳥。不景気なときに鳴くとされる鳥であるため、縁起が悪いってことで、先人が輸入されてはじまったカッコウ時計全般、「鳩時計」って名称を定着させちまったんだよ。だから鳩時計って、よく耳を澄ませるとみな「カッコー」って本当は鳴いているんだよな」

しばらくの沈黙。けるぼんさん──いや、彼女に化けたKNHメンバーは、不敵な笑みを浮かべたと思うと、徐々に姿を変え始めた。それは触手の化け物だった。

「貴様──ただのエロ小説家じゃなかったか」

「うるせええええwwww」

化け物はため息をつくと、触手で腕組をした。

「お前の勝ちだ、小僧…約束通り、猿時は解放しよう」

「え? いいの? そんなにあっさり」

兎女史がきょとんとした口調で言う。俺はあわてて彼女の口を塞いだ。

「こらこら、解放してくれるって言ってるだろ! 余計なこと言うんじゃねえ」

「いやーだってこういう悪役って、負けたら逆切れして暴れだすかと思ったんだよね。すぐに必殺技出せるように、準備してたのに」

…確かに、手のかかる悪役ではないのは助かるが。化け物は触手で頬をかいた。

「いやー、僕と、そこのお嬢さんにぶっとばされた僕の相棒、noteやってみたかったんすよね。んで、人気noterになるならエロかなって。今官能小説ブームみたいになってたし。んで、KNH立ち上げたんすよ。でも、偵察のつもりでアンタのダッシュボード見せてもらったけど、フリーザさんの書くエロ小説ってスキ少ないよね。

「うるせええええwwwwww」

「フリーザスタイルの紹介とか、そういう普通の記事の方が流行ってるみたいじゃん。人気ランキングに入るnoterさんたちってエロ関係ない人がほとんどだし。エロはほどほどにして、普通に清く正しく美しく、noteを使った方がいいのかなーとか。」

宝塚かよ。

「ってことで、今度から相棒とKTU(清く正しく美しい)秘密結社作り直して、一から出直すわ。いろいろありがとう。君たちも、エロはほどほどにな」

だから、頭文字アルファベットなのにまた全部日本語なのかよ。

とか突っ込む気も失せて、俺は天を仰いだ。

化け物は何やらつきもののおちたような、すがすがしい顔をしたかと思うと、手を振って…いや、触手を振って店を出て行った。

残された6人と兎女史と俺は、しばらく顔を見合わせた。少しの沈黙の後、兎女史はぎこちなく笑った。

「えーっと…とりあえず、よかったよね、猿時さんが帰ってくるって!」

「ああ…それだな、救いは」

官能小説を立ち上げる会、とかいう秘密結社立ち上げてるバケモンに説教されるとは、な…。

がっくりと肩をうなだれて、その場にへたりこんだ。すると、三話目は終始黙っていた黒猫のキナコが、とてとてと寄ってきた。

「あの…自分は、実は、フリーザさんにずっと言いたいことがあったんです」

「ああ、黒猫ちゃん。わかってる、例の言葉だろ」

一緒に深呼吸。そして、ほぼ同時に口を開いた。

「「おっぱい」」

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かくして、エモいデザートはワインの後で、猿時失踪事件の謎は解けた。KNH(官能小説を広める会)の野望を見事打ち砕き、感動の再開を果たした猿時と乳野。その二人の愛を広めるべく、美魔女っ子の連れ立った黒猫のキナコがプロジェクトリーダーとして加わって「エモいデザートはワインの後で」音声版ピスモンマンが誕生するのは、このずっと後の話になる…。

THE END

*あとがき*

うさう女史、リレー小説に巻き込んでくれてあざーすw

彼女の広告づくりから、ここまで話が広がるとは…。今回リレー小説をどう仕上げようかと思って試案。これだけの人数で官能はさばききれないし、どうしても話がちらかる。

それで最近ワディのnoteゲーム化の話をして、サウンドノベルみたいなミステリー調にしてみたくてこんな仕上げにした。

ただこの形式には欠点があった、こっちで記事リンクとか皆の紹介とかすると、「この記事であなたの記事が紹介されてます!」とかおせっかい通知がいって、この犯人ページばれちまうんだよなw ってことで、協力してくれた人たちのリンクとか張れないし、最低限のタグでいくしかない。ここまで読んでくれてありがとう。