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言葉①
”言葉”は相手に自分の思いを伝える様々な手段のうちのひとつだと思う。
文字、態度、表情、色々ある。
1番よく伝わるのが言葉な気がしている。
そんな大事な”言葉”には当然ながら良いものも悪いものもあって
あれがすき
これがきらい
ああしてほしい
こうされるのがいや
言葉は手っ取り早くて相手によく伝わる。
でも手っ取り早いからこそ、
使い方を誤れば大きな事故になる。
それをわかった上で言葉を使っていますか?
自分の言いたいことだけを述べていませんか?
悪いとは言わない。
言わないけれども自分がそれを言われた時に
耐えられますか?
これは私が学生の頃のお話です。
私は昔から女の子が怖かった。
集団で人の悪口を言うし、陰でコソコソ悪口を言うから。
自分の親友が陰口を言われていた時に何も言い返せなかった弱い自分をただただ責めていた。
そんな怖い思いをするくらいなら
嫌な人と無理して一緒にいることない
休み時間は本を読めればいい
次の授業の準備をすればいい
話したい人と話せばいい
そう思って静かに過ごしていたつもりでいた。
ある時隣の席の男の子が『いつも何読んでるの?』と声をかけてくれた。
今思うといつも1人でいる私に気を使ってくれたんだと思う。
小学生の時から仲良くしてくれていた男の子だったのでそれから時々話すようになって、くだらない話をして笑ってたりしていた。
その時の休み時間は、私とその男の子しか教室にいなくて。
そこに少し騒がしく教室に入ってきた2人の女の子。私を見るなり顔をしかめてこう言い放った。
『うっわ、男には媚び売るのかよ。マジでキモイ。しね』
『ウケる、ほんとしね』
私は驚きで固まってしまった。
逃げ出そうとか、泣いてしまえとか、何も浮かばなくて頭の中真っ白だった。
なんとかできたのは
「はは…」って無理に笑うことくらいだった。
『気にするなよ』って一緒にいた男の子は言ってくれたけど、その日からは頭の中で彼女たちの言葉がぐるぐる、ぐるぐるとずっと回っていた。
甲高いキンキンした声でキャハハと笑いながら
『しね、ほんとしね』
『うざい、しね』
自分の頭の中で、嫌でも何度でも再生される。毎日言われてるような感覚だった。
◇◆◇◆
学年が上がって仲のいい子ができた。
同じクラスの女の子。
休みの日は一緒に隣町のイオンに行ってプリクラを撮ったり、夜に長電話をして愚痴を言い合ったり、仲良くやれていた。
『実はすきなひとができた……』
「え!だれだれ?うちのクラスの男子?」
なんてお互いに打ち明けあったりもした。
上手くやれていると思った。
前に女の子たちから言われた言葉の傷もその時にはだいぶ薄れていて、仲良くなれる子ができてよかったと内心ほっとしていた。
朝、友達は私の席に座って待っている。
これはいつもの事。
朝早く登校する友達は私の席に座って待っている。
「おはよー」
いつものように挨拶した。
『…………』
机に突っ伏して何も言わない友達。
「おはよう、起きてー」
『はぁ……』
顔を上げて頭を掻きながらため息をつく友達。
『ねぇ、お願いがあるんだけど』
「うん?なに?」
お願いがある、なんて改まって言うものだからちょっと緊張した。
宿題見せて、とかだったら笑うなぁ。
『しんで』
「え」
『聞こえなかったの?しんでってば』
昨日まで、仲良くしていた。
笑いあってた。
恋バナもしてた。
2人はほんとに仲がいいねって周りからよく言われてた。
私も友達を信じてた。
だから、不意をつかれた。
こんな言葉から程遠い関係にあると思ってた。
呆然としていたら鐘がなって、友達は自分の席へと戻って行った。
気のせい、きっとなにかの冗談、機嫌が悪かっただけ……と思いたかったのに
『私、昨日ちゃんと言ったよね?なんで死んでこなかった?意味わかんないしねって言ったじゃん』
淡い期待もすぐ壊されて。次の日にまた私の席で同じように責められた。
「なんの冗談?」
『は?冗談なわけないじゃん』
冗談ではないのならどうか夢であってほしい。
そう願わずにはいられなかった。
友達とはそれから、何事も無かったかのように過ごした。
それ以来その言葉は言われなかったから。
冗談、だったんだよね?と思うことにしていた。
毎日冗談を言ったり、宿題見せてと言い合ったりしていた。
極めて普通を過ごすように努力していた、が正解かもしれない。
あれはなんだったのか
また言われるのではないか
怯えながら生活した。
次の学年でクラスが別になって、
話すことも少なくなり、自然とお互い一緒にいることが無くなった。
申し訳ないけど安心した。
-------❁ ❁ ❁-------
重たい話、失礼しました
一度、
たった一度だけ言われた言葉でも
自分で連続再生ボタンを押して
自分で自分を苦しめる
やめたいですね。