今日の鉄道の色(5)鉄道車両の屋根の色

鉄道車両の色というと、主に車体外部の色がクローズアップされることが多い。
東海道・山陽新幹線なら「オイスターホワイト」に「ディープブルー」のラインだし、
京急は「KHK赤」に「KHKクリーム」のツートン、阪急なら伝統の「阪急マルーン」、
東武の新型特急スペーシアXは「胡粉ホワイト」、西武特急Laviewなら「スーパーブライトシルバー」……

……といったように、基本的には最も乗客の目につく車体前面や側面の色がよく取り上げられる。
しかしながら、乗客の目にはあまり触れないながらもれっきとした外部色となっている部分がある。
……鉄道車両の「屋根」である。
近年はデザイン戦略の一環からか、この屋根の色もとみに増えてきたように思う。

国鉄ねずみ色1号
マンセル記号:N 5

まず圧倒的多数を占めているのが国鉄制定色で「ねずみ色1号」とされるグレーである。
もっとも制定当初のねずみ色1号はこれよりやや暗いN 4.8で、かつ僅かに黄緑みを帯びた色だったようだが、
マンセル記号N 5の「灰色2号」と非常に似通った色だったため統合され、以後はN 5となっているようである。
鉄道車両の屋根の色といえばこの色が多いようで、国鉄民営化後でもJR東日本やJR東海の通勤型車両などでは今なおこの色を見ることができる。
日塗工の旧番号では1008番、現行番号ではN-50という色だがおおむね同じ色と思っていただいて差し支えないだろう。

ライトグレー
マンセル記号:N 6

しかし鉄道会社が変われば屋根の色も変わるというか、会社によって屋根のグレー色はかなりまちまちである。
例えばJR西日本や小田急、京急、東武などではN 6(国鉄灰色1号相当)というやや明るめのグレーが使われている(先述のJR東日本でも、以前取り上げた「夢空間」のオハフ25-901など一部の車両がこの色の屋根である)。

マンセル記号:N 7

京王や東急などといった会社だとさらに明るいグレーで、N 7という色が使われている。
一部の会社では整備性向上のために明るい色を使用しているというケースがあるようだが、これもその一環だろうか?

DIC-389
マンセル記号:6.2G 3.2/5.9

ただし、同じ東急でも近年は車体の帯に使われるカラーフィルムの色に合わせて屋根を塗装していることが多いようだ。
たとえば池上・多摩川線の新7000系ではDIC-389相当のダークグリーンであるし、

日塗工05-30T
マンセル記号:5R 3/10

大井町線の新6000系では日塗工05-30T相当のえんじ色である。

インキュベーションホワイト
マンセル記号:N 9.3

2020系以降の通勤型ではインキュベーションホワイトという色で、とうとう真っ白な屋根が登場するに至った。
マンセル記号はこちらの手持ちの色見本で調べたところN 9.3という色である。

……では、「白い屋根の車両がいるなら黒い屋根の車両もいるのではないか?」
と思われた諸君は正解である。
実は阪急電鉄では1988年以降に製造された電車の屋根の色は以下のカラーチップのとおりになっている。

阪急ブラック
マンセル記号:N 2

そう!
2024年現在、「阪急電車の屋根は黒い」のである。
マルーンの美しい車体にその上がアイボリーとなっているが、屋根上面は汚れを目立たなくするためか黒に塗られているのだ。

これ以外にも屋根の色は車両の数だけあるのだが今回は長くなりそうなのでこの辺で。

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