好きな人がうつ病になってしまった
近くて遠い世界のことだと思っていた。疲れた限界だと繰り返す姿があまりに痛々しく、時に放漫だった。何度もごめんねを言っていたけど、それは何に対してのごめんねだったの。
全ての地位を捨て、勤務地から遠く離れた実家に帰るための荷造りを手伝っているとき、私が今手伝うべきことは本当にこれで合っているのか?という疑問が何度も頭をよぎったが、着替え兼衝撃吸収剤として肉厚パーカーでPS4を包む手に迷いはなかった。正解も不正解もない、とにかく今すぐにでもあなたを逃がしてあげなければいけないような義務感すら覚えた。
お揃いで買ったパーカーをこんな形でキャリーバッグに詰める日が来るとは夢にも思っていなかった。暖かくなったら、もう一度それを着て一緒に桜を見に行こう。