【社内報】読まれる社内報とは?
読まれないもののために日々をすり減らしながら働く君へ
結論から言います……社内報は読まれません。ガビーン!(←古い)
……身も蓋もないことを言ってしまいましたが、実際、社内報は読まれていません。
いや、強いて言えば「出産、結婚、入社」といった人事情報的なところは読まれるかと思うのですが、昨今の“個人情報”という厚き壁のせいで、載せたがらない方が多いのも事実です。
社内報担当者の悲哀――「読まれない社内報のために日々忙殺される」。悲しいですよね……。
でも、ちょっと待って! 社内報を担当しているあなた自身ですら、まさか「社内報なんか誰も読まないもんね(鼻ホジホジ)」とか思っていませんか?
うん、それなら誰も読みません。そんな思いで作るのなら、今すぐ、社内報担当を辞めるべきです。それではあなたの会社の社員の方が可愛そうです。
(誰も読まないし……手ぇ抜いても構わないか……)という思いで作った社内報、誰が読みますか? 読む(読まされる)社員は、もはや苦痛・苦行でしかありません。
社内報は社内報にあらず
では、「読まれる社内報」になるにはどうするか? まずは担当者であるあなた自身が意識を変えましょう。
こう変えてください――社内報を作ってはいけません。
え? 大切なことなので、もう一回言います。
――社内報を作ってはいけません。「社内報」と考えるからいけないのです。一つの「雑誌」を作ると考えてみてください。
ファッション誌、スポーツ誌、ビジネス誌、ライフスタイルマガジン……何でも良いです。でも、文芸誌はダメですよ。文字ばっかりだから。それとゴシップ雑誌も止めましょう。見えない圧力がかかり、あなたの立場が危なくなります(笑)それとグラビア雑誌もダメ。セクハラ案件。あなたは明日から社内報担当者はもとより、会社から存在がいなくなっているかもしれません(笑)
社内報担当者ならば、お手本になる雑誌を必ず手にとって読んでみましょう。ちなみに私は『Sports Graphic Number』を学生時代からずーっと読んでいるほど好きなので、Numberの大胆な写真の使い方、文章の書き方、企画などを心のどこかで意識していました。ある意味、現場の社員をスポーツ選手に見立てたら、作りやすいですよね。
また、社内報担当者が10人いたら全員が悩むであろう「企画」も、「社内報」と考えるから、心の中に見えない壁・天井ができてしまうのですが、普通の雑誌と考えたら、見えない壁・天井なんか存在しないはずです。
先ほども言いましたが、私はNumberが好きですから、スポーツ的な観点で物事を見ます。
十数年前、ある大手メーカーさんの社内報復刊を請け負いました。テーマは「チャレンジ」。その中でも「コーチング」についての話が出てきたので、すかさず、復刊号の目玉に外部インタビューの企画を盛り込みました。
コーチングといえばもちろんこの方、故・平尾誠二さん。
担当の方は「出てくれたらうれしいけど、いけますか?」と半信半疑。当たって砕けろです。取って食われるわけじゃなし。ということで神戸製鋼に連絡を入れると……あっさり了承いただけました。取材もさせていただき、非常にいい思い出になりました。改めて、平尾さんのご冥福をお祈りします。
……とまぁ、こういうふうに「社内報だから」と枠を決めてしまうと、企画の幅が狭まります。狭まった中でこねくり回していたら、結局はつまらない社内報になります。第一、作っているあなた自身がつまらなくないですか?
社内報の企画で外部インタビューで有名人に会える! ってなったら作っているあなたは高揚するでしょうし、そんな有名人が載っている社内報は絶対に読まれるはずです。ちょっと視点を変えてみましょう。
あなた自身が楽しんで作る!
私が以前勤めていた会社には、アルバイト向けの行動指針『スピリッツ』というものがありました。そのうちの一つに『お客様に楽しんでいただくために、私たちが楽しんで働きます』という文面があります。
社内報を担当しているあなた自身が楽しんで、精魂込めて作ったものであれば、必ず他の人に響くはず。「つまらないものですが……」なんて思いは今日から一切捨ててください。
私は社内報はその会社を映し出す“鏡”だと思っています。面白い社風の会社は面白い社内報、堅実で実直な社風の会社の社内報はガチガチ。チャレンジングな社風ならば、チャレンジングな誌面でした。
社内報担当者ならば知らない人はいないと言われる超有名なサントリーの『まど』。一年分読ませていただきました。非常に社風が出ているんです。「やってみなはれ、みとくんなはれ」なんです、誌面が。それに登場している社員の方々の表情がすごくイキイキしているし、『まど』に出たことを誇っている感じすらしました。それだけ、社内報が社員に愛されていることが誌面を見ただけで理解できました。社内報担当者として、こんな社内報が作れたらどれだけ幸せだろうかなと思いました。羨ましかったです。
今回の結論!
・まずは担当者であるあなた自身が社内報を愛してください。そして、楽しんで作ろう!
・社内報を作るべからず! 雑誌を作る思いで。
・社内報は会社を映し出す“鏡”。つまらない社内報はつまらない会社と映る。社風を反映させていこう!
次回はもうちょっと企画の話をしようと思います。