アリーナウィークエンド予選 8月備忘録 青白ロータスについて
今回8月12日~13日に行われたアリーナウィークエンド予選に参加しました。本記事はデッキ選択に至るまでの過程、実際に使用した青白ロータスの構築に関する雑感を記したものになります。
青白ロータスというデッキ自体の動きなどに関しては、先駆者の方が良質な記事を上げているので以下を参考にいただけると幸いです。自分もこのデッキを回す上で大変参考にさせていただきました。
【パイオニア】アゾリウスロータス・ガイド|Yuya Hosokawa (note.com)
1.青白ロータスの問題点
今回のフォーマットとなるエクスプローラーはMTGアリーナに実装されているパイオニア範囲のカードが利用可能なフォーマットになっている。主な差異としては《見えざる糸》、《岩への繋ぎ止め》などが存在していないところ。まず自分はテーブルトップでも使用している青白ロータスを使うつもりで調整を始めた。先日追加されたエクスプローラーアンソロジーによって《演劇の舞台》が実装されたことにより必須カードはすべて揃ったことと、以前から青白系のコントロールデッキを使い慣れているからだ。
しかし、ラダーをある程度回数こなすとこのデッキの問題点がわかってきた。主に以下の点である。
・序盤のアクションが少ないため相手は脅威を連打してくる。
・ロータスを引かないと、ただの重いフルタップ型のコントロールになる。
このデッキを回した人であれば似たような感想を抱くと思う。上記の構築であれば《魂の仕切り》が採用されているためまだマシな方であり、2ターン目のアクションを予顕カードで埋めている構築などはよりデッキが重くなり到底相手の序盤のアクションに耐えられるとは思えないものであった。特にラクドス系統を相手にした時はロータス踏み倒しを成功したとしても、序盤に削られたライフをミシュラランドやプレイヤーへの直接火力で攻められ敗北、という展開が頻発した。
2.エクスプローラー環境調査
青白ロータス1択という感じではなくなったのでエクスプローラー環境にいるデッキを触ることとした。ラクドスサクリファイス、ラクドスミッド、緑単、アブザンパルヘリオン、イゼット独創力etc…。
しかし、どのデッキも抱える問題があった。この環境は多様性があるが裏を返せば完璧なデッキもないということである。
そこで自分は自身でのプレイ頻度を少なくし、いろんな人のエクスプローラー配信に連日はりこむこととした。こういった雑多とした環境の際は自分はよくこの方法をとる。自身の好みなどのバイアスを排除し、実力のある配信者の意見を聞く方が最適なデッキ選択をできるからだ。
ただ今回に限って言えばベストデッキは存在しなかったと言って間違いはないだろう。それはどの配信でも同じような意見だった。
結論として環境上位のデッキパワーが高いものから選ぶこととした。具体的にはアブザンパルヘリオン、青白ロータス、ラクドスサクリファイスの中から選ぶこととした。最終的に青白ロータスを選んだのはプレイに一番自信があるからだった。
3.予選の結果
実際の使用デッキと予選結果は以下だった。
day1 7-1
青白ロータス P ○○
青白スピリット D ○○
緑単 P ○○
独創力(オパハルク) P ×○○
ボロス招集 P 〇×〇
黒単 D ××
ラクドスサクリファイス D ○○
青黒ローグD ×○○
day2 3-2
青白スピリット D 〇〇
独創力(ゼナゴズワーム) P 〇〇
黒単 D ×○○
ケルーガファイアーズ D 〇××
青白ロータス D ×〇×
本来有利対面であるケルーガファイアーズ相手にプレイミス連発から敗北した時は膝から崩れ落ちた。この記事を書いている今も凹んでいるがここではその気持ちは記さないでおく。
全体的に当たり運は良かったと思うがそれ以上に予選通して引きが強かったと感じる。《厳しい試験官》+《睡蓮の原》をかなりの試合で決めた。
4.青白ロータスというデッキへの認識
このデッキへの自分の認識をまず書いておきたい。リストの見た目からこのデッキは《睡蓮の原野》+《厳しい試験官》or《不連続性》のコンボを内蔵した重コントロールといった認識の人が多いだろう。中にはこのデッキはモダンの緑トロンのようだと評する人もいる。そのどれもが理解できる。
しかし、自分が考えるにこのデッキは《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《睡蓮の原野》のコンボデッキだ。3ターン目に《睡蓮の原野》を踏み倒せなくてもテフェリーのプラス能力から睡蓮を起こしてアクションを重ねていけば遅れは必ず取り戻せる。逆に《睡蓮の原野》を踏み倒してもテフェリーにたどり着けなければちょっと変わったランプデッキだ。このデッキを回し始める際はそのことを認識してもらえると少し変わるかもしれない。
5.カード採択について
基本的に採用されているカードについては説明を省く。あまり見ないカードと枚数を調整したカードについて語ることとする。
・《精神迷わせの秘本》
青白ロータスを触っているプレイヤーの多くが《睡蓮の原野》+《厳しい試験官》or《不連続性》のコンボを決めるために2ターン目にそれを集めるカードを求めた。一番多く見たのは《衝動》だ。
自分はここの枠を《精神迷わせの秘本》にした。青白ロータスの問題点で挙げた序盤にライフを削られたことが負けに繋がる点を回復でカバーする。ミシュラランドで負けることが多発したという点を加味して《冥途灯りの行進》などの直接的対策を入れることも考えたが、こちらであれば2ターン目のアクションにもなりうる。瞬間的にカードを探せるのは《衝動》だが、ミラーマッチなどの対青系のデッキにはカード枚数そのものが必要になるので最終的に多く引けるという点に秘本の利点がある。
また、このデッキは《睡蓮の原野》を置くタイミングや《睡蓮の原野》×2から6マナ→4マナのカードをプレイなど、2マナが余るタイミングが結構ある。その浮いたマナを秘本の起動に当てることができる。
サイド後は《パルン、ニヴ=ミゼット》の能力も誘発できるのを忘れずに。
・《運命的不在》
《魂の仕切り》の2枠を《運命的不在》に変更した。青系デッキとのサイド後に《船砕きの怪物》などが出てくるため何かしらの対処札が必要であった。またミシュラランドも触れるようになったことはデッキとしてはプラス要素。
・《パルン、ニヴ=ミゼット》
青系ミラー用カード。《船砕きの怪物》の選択もあるがスピリットに強い点を高く評価したのと単体でリソースの継続も担保できる点を評価した。また、後述するがミラーマッチでは《不連続性》が存在するためインスタントタイミングの仕掛け札が以前ほど劇的ではなくなっていることから、瞬足を持っていることがそれほど加点要素ではなかった。
ただしミラーマッチで6マナになった瞬間にフルタップで出すと《ドミナリアの英雄、テフェリー》のマイナス能力で返されてしまうので8マナから出すのが基本。
・《思考のひずみ》
これも青系ミラー用カード。二ヴともっとも違う点は6マナになった時点で即打ちできる点。返す手段は《ナーセットの逆転》くらいしかないため《不連続性》を唱えられる6マナが相手に立っていない場合は基本的に即打ちする。
・《サメ台風》
当初このカードは75枚中に4枚確定という固定観念であった。それが崩れたのは原根健太さんの配信だった。原根さんはこのカードの枚数をメインボードに1枚まで落としていた。それを見るまで認識できなかったが確かに通常の青白コンに比べ、このデッキでは《サメ台風》の使い勝手が悪かった。青白ロータスのメインボードにはカウンターがほとんど入っていないため基本的にフルタップ気味で動いていく。そのためカウンターを構え、相手が動かなければサメサイクリングという展開が少なく、2ターン目にX=0で使い捨てるか後半にハードキャストすることばかりだった。
また、最大の問題はミラーマッチにおいて《不連続性》の存在がこのカードの効果を劇的に落としたことだ。
本番では枚数が少ないことに問題点を感じなかった。むしろサイドに残った1枚が他のカードであればと思ったほどだ。
ただし、メインに1枚残すのは推奨。このデッキではハードキャストをかなりする。盤面を作れる数少ないカードなので相手を詰ませにいく際に有効。
・《敬虔な新米、デニック》
青白コンの頃からお気に入りのサイドボード。基本的にアブザンパルヘリオンへのサイドカードであるがラクドスミッドレンジにも入れることができ、このデッキに不足な2ターン目のアクションを埋めてくれる。本番ではアブザンパルヘリオンもラクドスミッドレンジも当たらなかったが黒単と青黒ローグ相手に裏面まで併せて仕事をしてくれた。
また、対アブザンパルヘリオンは《安らかなる眠り》よりも強い。なぜなら相手は《パルヘリオンⅡ》を減らしてくるので《エシカの戦車》が攻めの基本となり、そこでデニックの猫トークンをキャッチできる2/3絆魂が活きてくるからだ。
※裏面の《敬虔な心霊、デニック》がいる状態で《至高の評決》を相手のクリーチャーとまとめて破壊した場合は手掛かりは出ない。
・《夢さらい》
1日目のみ採用した。ラクドスサクリファイスがエリア予選で多く抜けており、ラダーでもかなり当たったため「サクリファイスには劇的、他のマッチでも基本除去されないから入れ得」という思考から投入した。
しかしこの考えは間違っていた。
確かに1日目にラクドスサクリファイスと対戦した際はこのカードで1ゲーム拾ったがオーバーキル気味であった。あったら楽できるというレベルのカードという認識になった。そして何よりこのカード採用最大の問題は、本来このカードに対して無力である除去札を有効にしてしまうデッキ構築になっていることである。
例えばラクドスミッドレンジを例に考えると、ラクドスミッドレンジには2~3枚の《無情な行動》などの単体除去が取られている。そしてそれらのカードはルーティングできない限りハンドに貯まっていく(《厳しい試験官》には《致命的な一押し》を打たれる)。
相手の盤面にはクリーチャーが2体程度いるとしよう。そしてその2体に無防備に殴られれば、あなたのライフは限りなく0に近くなる。あなたは《夢さらい》をトップし、それを盤面に送りこんだ。
この状況で相手の視点に立ったとしたら、あなたはどう行動するだろうか?夢さらいを寝かせれば相手のライフを0にできるなら当然打つし、それが無理でも相手のアップキープにやはり除去を打つだろう。除去があればある数だけ同じことができる。
序盤に相手はこちらのライフを積極的に狙ってくるし、青白ロータスには純粋なカウンターがないため相手のこのプレイには裏目がない。この状況は容易に起こりうる。実際に今回の予選でも黒単相手にこれが起きた。
《ヴェールのリリアナ》に弱いどころではない、このカードは純粋な除去にすら無力だった。
6.《不連続性》というカードについて
最後にこのカードについて。このカードは今までの青系ミラーマッチを劇的に変えた。今まで青系ミラーで常識であった《サメ台風》サイクリングや《船砕きの怪物》などのインスタントタイミングの仕掛けをわずか2マナで対応できるようになった。しかもサメサイクリングはドローまで消すので枚数損をしない。このカードの存在でサメサイクリングは過去のものになり、《船砕きの怪物》は自分のメインフェイズ中に唱えることを要求されるようになった。
イゼット独創力系が青白ロータスを苦手とする最大の理由にもなっており、なんなら独創力側もこのカードをサイドに忍ばせていたりする。
青系ミラーではこのカードをどのタイミングで打たれたらまずいかということについてよく考えなければならない。
7.デッキの改善点
今回の予選を終え、デッキの改善点について思いついたことを記載する。主にサイドボードについてだ。予選を終え欲しいと思ったカードは以下だ。
どちらも主にミラーマッチ用だ。《金属の徒党の種子鮫》は《ドビンの拒否権》に当たらない、《船砕きの怪物》と違いコストが軽いため仕掛けやすいのが利点。2日目最終戦のミラーマッチでも相手にこれを出され一方的な展開となった。
《才能の試験》は記憶の氾濫をめぐる攻防で劇的な1枚で少なくともサイドボードに1枚は入れておくべきだったと感じた。
ただこれらのカードをどこの枠に入れるかはまだ分かっていない。少なくとも《サメ台風》の1枚は抜いていいと思っているが他の枠は精査が必要だ。
8.終わりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。今回の予選、かなり悔しい思いと自分の下手さへの不甲斐なさを感じ、何かしらの形に残しておきたいと思いこの記事を書きました。あまり多くない文章量ではありますが誰かの参考になれば幸いです。質問等ございましたらお気軽にお尋ねください!
オマケ
今回の予選に臨むに当たってPC前に上記の注意書きを張っておきました。オンラインの大会では結構やっています。アホみたいですが体感結構違います。「書いて張った」という記憶自体が重要だと思っているので一度お試しを。
ちなみに一番上の「ロータス+白マナ=評決打てない」は1日目のボロス招集相手にやらかして、1ゲーム落としてます。やりすぎということはない(教訓)
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