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【うなぎのう】本吉屋
この世の中で「幸せ」を一番感じることができる食べ物とはと問われたら、僕は「うな重」と答える。今までにどれくらいのお店で食べただろうか。これからどれだけ食べることができるだろうか。そう考えるともう残された時間は少ないかも知れない。うなぎが絶滅危惧種として食べられなくなると言われて久しい。この命が尽きるまでに思い残すことなく「うな重」を食べておきたい。
本吉屋は、天和元年にうなぎのせいろむしを世に出して以来今日まで役三百年間、初代秘伝のタレと料理技術を忠実に継承。水郷の柳川情緒と共に独特の〈元祖の味〉を賞味する。
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お店:元祖うなぎせいろむし 本吉屋
場所:福岡県柳川市旭町69
仕事の関係でほぼ毎週九州へ行く。主に長崎や福岡が多い。この一、二年は名古屋、大阪、九州の三拠点生活が続くと思う。2018年にバイクで九州を志布志から北上横断したことがある。とても楽しかった。今度は仕事を絡めて走ろうと思っている。
実は今は亡き親父が大分佐伯市の出身で、だから自分は九州人ハーフということになる。いずれはこの地で終の住処を見つけたい。
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柳川と言えばうなぎ。別の記事になるが「菊水」も柳川のうなぎを楽しめる。
今回は元祖というだけの歴史のある「本吉屋」に行く。柳川でうなぎを食べる時にいつも悩むのはせいろにするか鰻重にするかだ。自分ルールでは当然鰻重一択だが、今回は初訪問なので、せいろを注文してしまった。
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鰻屋は待つ時間が楽しい。
本当は待ちの時間に骨せんべいなどでお酒を楽しみたいのだけれど、今日は車で来ているし、大概の観光地のお店ではすぐに注文した鰻重が出てくるので、最近は文庫本を読んだりして待つことが多い。
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味はあっさり淡白系。
年齢を取った自分にはちょっとタレの味が物足りない。これはせいろ蒸しだからだと思う。
せいろ蒸しは、鰻の蒲焼のタレをまぶしたご飯に、鰻の蒲焼と錦糸玉子を乗せて、せいろで蒸す。鰻は直火にして香ばしく焼き上げたものをさらに蒸すことによってふっくらとやわらかにする。味も鰻重と比べると上品になるのだ。
ポリシーを曲げてはいけない。存分に胆嚢するために、次回訪問時は鰻重を注文しようと思う。
了