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ACL(前十字靭帯)と認知機能
ACL再建からの競技復帰には膝関節伸展筋力やKTPなどの動揺性の計量、Hop testの健患差が用いられてきました
そういった「ある程度の目安」がある中で再断裂のケースは後を絶ちません
上記の検査が意味を持たないわけではなく、スポーツ復帰に対して単純に必要十分ではない可能性があります
そこを埋める一端であるかもしれない"認知機能"についての個人的な考察を↓
その人がもつ認知能力と運動時の力学的な関係は以前から注目されており、傷害との関連についての研究はいくつかみられ、
神経認知能力が低いアスリートはドロップジャンプ着地時に垂直床反力、脛骨前方剪断力、膝関節外転角度を増加させる傾向にある (Herman and Barth 2016)
脳振盪と運動時の力学的な関係も報告されています
・ドロップジャンプ着地時の膝関節外反モーメント↑ 屈曲変位↓ (Lee et al 2021) ・台上からの着地時の足関節及び膝関節屈曲角度の大幅な減少 (Avedesian et al 2020) ・片脚接地時の下肢Stiffnessに負の影響がある (DuBose et al 2017)
またACL損傷した選手と健常な選手の脳機能差に関するリサーチも興味深い
体性感覚野と運動野間の連続性が有意に少ない (Diekfuss et al 2019) 左一次体性感覚野と小脳間の機能的関係が弱かった (Diekfuss et al 2019)
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このような観点からみても、ACL再建からの復帰過程において認知機能や脳機能に対する働きかけが重要ではないでしょうか
アプローチとしては簡単なワークからリアクションを入れておくのは一つだと思います。
リハビリの初期は動作を安全に実行することが目的になりますが、段階的に認知行動のなかにその動作が組み込まれる環境を設定する。
そのようなアプローチが必要になると思います。
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