映画「メッセージ」を観て。
原題:Arrival
邦題:メッセージ
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ(2016)
原作:テッド・チャン著「あなたの人生の物語」
あらすじ: ある日、突如として地球上に降り立った巨大な球体型宇宙船。言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)と物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)は、謎の知的生命体との意思疎通をはかる役目を担うこととなり、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。(引用)
感想:自分は美しく生きていけるだろうか。
心揺さぶられるなんとも言えないが心地よい余韻が残る映画。
現在ちょうど佐々木中氏の「夜戦と永遠」を読み進めていたから、言語に関する部分はものすごく興味深く、「シニフィエ(意味されるもの、概念内容)」と「シニフィアン(意味するもの、聴覚イメージ)」が大いに関係してると興奮(まあまだ解説とかたくさん読んで理解を進めてる最中なので深いこと言えないけど…)。
違う国の言葉を学ぶと考え方が変わるって、すごくわかるなあ。オーストラリアで生活してるとき、英語ってYes、Noってハッキリしてるからわかりやすいなあと思ったり、逆にハッキリ言われて怖かったり、でも大事なことだよな、と思った。日本語って美しいかもしれないけど優柔不断だったり、場合によっては濁してハッキリ言わないことで相手のためにならないことだってあるよなあと。他の国の言語、もっと勉強してみたい。(そして最近、ある民族は言語の概念がないという大変興味深い本を教えてもらったから、なんかタイミングがすごい)。
過去、現在、未来の時間軸の概念が無い。人間にとってはもう当たり前のことだから今更理解し難いことだが。でもヘプタポッド達はあのように生きてるのだから、時間軸がなくても支障はないんだろね。
時間の概念があるからこそ受け入れ難いことだが。最後の未来を知ってたとしても、その時その時を大事にしたいと思ったルイーズはなんて美しかったんだろう。最後のシーンには涙してしまった。
もし、自分が未来を知っていたとしたら、変わるように足掻くのかなあ。それとも時の流れに身を任せるのかな。
でも、やっぱ運命って決まってるから、未来がそこに行き着くとしても、それまでの道なりは自分なりに進むこともできるのだから。やっぱりルイーズの言う通り、その時を大事にするべきなんだと思う。
理解してても、やはり時間が経つと、必死に仕事をこなして疲れて寝る、色々としょうもないこと考えてモヤモヤしてダラダラして、美しく過ごせなくなってくんだよね。
そんな日々から抜け出すためには、まず何から始めよう。
ドゥニ・ヴィルヌーヴぅー。さすがというか。突然始まるので、主人公同様、見てる側も何もわからない状態から始まる。防護服を着てるとき、こちら側も息苦しく感じる。そして常連のヨハン・ヨハンソンの音楽。素晴らしいなあ…。
イアンが最後に言っていた、未来がわかっていたとしたら、想いをたくさん伝えるということ。すごく染みた。
前後左右過去未来なんて関係なく、今を生きよう。愛する人が目の前にいたらたくさん愛を伝えよう。美しいものが目の前にあったら美しいと言おう。興味深いものが目の前にあったらたくさん吸収しよう。
時間に支配されるんじゃなくて、自分で時間を活用しよう。
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