「ノマドランド」を観て。
原題:Nomadland
邦題:ノマドランド
監督:クロエ・ジャオ(2021)
原作:ジェイク・ブルーダー「ノマド:漂流する高齢労働者たち」
あらすじ: ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。
感想:誰にも、何にでも、遮られる権利は絶対に無い。
⚠︎本編にかなり触れてます
最後の元自宅から眺められる砂漠。何も遮るもののない美しい景色。
人間、本当は何にも遮られる権利はなんて絶対にない。でも、コロナだったり社会の制度だったり、避けられない目に見えないモノによってやはり遮られてしまう。なんだか希望のない世界。
でも、そんな世界だとしても、「またどこかで」と、さよならと言わないですむ人と出会える世界でもある。ファーンと実際のノマドの彼らの交流を見てると、人間や世界ってやはり捨てたもんじゃないなあと。遮られたって、人同士で助け合って生きていこう。このコロナで辛いときだからこそ、人と触れ合う機会が減っているからこそ、もっと絆を濃くしてお互い支え合って生きていかなくては。
自分の生き方も見直して、涙じんわりしてしまった。ファーンの姉の言っていた「楽しいことは『外』にある」という言葉。とてもハッとした。
ワタシは派遣社員で働いていて、何度か職場も変えている。ありがたいことに正社員にならないかとお声をかけてもらったことも何度かあるが全てことごとくお断りしている。親や周囲の人から見たら何してんの?という反応。そりゃそうだろなあ。でも自分ではなぜだがわからないけど正社員になりたいとは1ミリも思わない。収入も安定して住むところも提供してくれて、特にこのコロナ禍の状況だとメリットのほうが多いだろう。でもなぜか少しも惹かれない。
今までその理由がわからなかったけど、これを見てすとんと落ちた気がする。ワタシは常に「外」にいたいのではないか。会社の屋根の「中」に入りたくないのではないか。
「楽しいことは外にある」。わかる気がする。ただ、その楽しそうに見えるモノは何か?さっと全てを手放してどこかに飛び出せる自由?
ワタシが派遣でいる理由はそれがかなり大きい。また海外で生活したいと思っているからすぐに動けてお金が溜まりやすい派遣でいることを選んでいる。でも、このコロナ禍では何年先になることなのかと。だから正社員になるべきなんだと尚更言われる。
それでも、このままでいたい。海外ではなく、今いるこの土地を飛び出したいという願望も生まれてるわけで。その自由が楽しそうに見える理由なのかなあ。
そして、この先はどう生きるべきなのか?ずっとこのまま?いやそれはないだろう。きっとどこかに居座るだろう。でも、それまでの間は無駄のないように生きたい。いつ死んでもいいように。綺麗な景色を見て、会える人に会って。
本物のノマドの方達の表情。その中に何一つ違和感のないフランシス・マクドーマンド。全員がとても愛おしく感じた。
まるでドキュメンタリーを見てるようだった。
それとけど綺麗に折り合うルドヴィコさんの音楽。。聞いてすぐわかりました。「最強のふたり」、何十回も見てるので。。
途中で再会したライターの青年。彼の素性を知りたい。「In to The Wild」(原作のみで映画は未見。。)に近いのかなあ。顔色がとてつもなく悪かったからその後大丈夫だったのか?
鑑賞して1時間後に文字を打ち込んでるわけですが。上手くまとまりません。
ただ、自分を見つめ直すきっかけになった。今現在に本当に必要な映画なんだと思った。
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