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映画「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」を観て。


原題:The Death and Life of John F.Donovan
邦題:ジョン・F・ドノヴァンの死と生

監督:グザヴィエ・ドラン(2018)

あらすじ: 人気のテレビシリーズに出演し、瞬く間にスターになった俳優のジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)が、29歳の若さで亡くなる。やがて謎に包まれた死の真相が、11歳の少年ルパート(ジェイコブ・トレンブレイ)との間でひそかに交わされていた100通以上におよぶ手紙によって明らかになる。

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感想:

大切な人が本当の自分を知っていてさえしてくれれば、それだけで生きていける。そんな魂の叫びが聞こえた気がした。

ルパートはまだワンシーンのみの駆け出しの俳優。だけど、真っ直ぐに生きている。ジョンの思いと一緒に生きてるんだなあと。

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母と子の関係を描かせたら、ドラン監督が1番だろう。どこまでも衝突して、どこまでも思い合って、どこまでも受け入れて。

NYでのルパートを必死で探すシーンは号泣。母でなくとも、こうして自分のことを心の底から心配して必死で探してくれる人がこの世にいたらなんて幸せなんだろうと思う。(宮崎駿監督「風立ちぬ」の菜穂子と二郎の駅でのシーンも号泣。こーゆうシーンに弱いんだワタシは…)

この映画では受け入れてくれたのは母だったが、時が経つにつれてそれは恋人だったり友人だったり、変わっていく。それは必然。

ルパートの受け入れてくれるあの金髪の青年。お互いを受け入れあってる関係と思いたい。

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ドラン監督作品って、本物の笑顔がなかなか出てこない。最後のジョンのお風呂シーンやルパートのカフェから立ち去るシーンとかくらいであって、あとはみんな作り笑顔にしか見えないんだよね。口元だけニコッとしてるだけ。ドラン監督主演のときも、彼の笑顔を見るだけで切なくなってくる。

そして相変わらずの音楽と色彩センス。素敵すぎる。NYでの母と子のシーンで「Stand by Me 」はズルすぎないか!いつだってそばにいてくれてる存在に気づけたときの自分の未熟さと悔しさの重しが乗しかかる。でも幸せなこと。

ジョンのクラブでの青、ベッドシーンの赤。悲しく怒ってるんだなあと。感情を出すのでさえ後回し。あの突き破った穴からのように、一部でしか彼は見えない。

人間そんなもんで、みんな誰しも一部分しか見れない。でももっといろんな部分を見たいと思った時に、人は距離を縮めて、時には愛に変わったりするんだなあと。見て欲しくないと思う人もいるわけだが。

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ナタリー・ポートマンが母親役だなんて…!時が進んでおる。だが相変わらず素晴らしい。

ジェイコブ・トレンブレイ。凄まじい演技力。「Wonder」でもそうだったけど、どこからあのエネルギーが出てきてるのかなあ。

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そして、「Stand by Me」を挿入曲にしたり、最後の2人のバイクシーンとか、完全にリヴァー・フェニックスに捧げてるんだろなあと。もっと色々あるんだと思うが。彼も人気絶頂期に突然と。

でも、肉体はこの世にないかもしれないが、弟のホアキン・フェニックスが(リヴァーとはまた一味違うが)輝かしく生きている。彼の中でリヴァーは生きている。

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ただ、ジョンには、何がそばにあればよかったのかなあ。そもそもあの世界があってなかったのかなあ。原題に生まれていたら、どうだったんだろう。同性愛を受け入れられたのかなあ周りは。

どんなことであれ、肉体的な死も、精神的な死も、辛い。どちらが辛いなんてない。

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死んだように生きるくらいなら、いつ死んでもいいような生き方をしなくてはいけない。

そして、そばに自分を受け入れてくれるような人がいたら、この上ない幸せだろう。自分で自分を受け入れるのが1番難しいから。

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