序章 パンがないならご飯を食べればいいじゃない

世界の終わりは そこで見てるよと
紅茶飲み干して 君は静かに待つ
パンを焼きながら 待ち焦がれている
やってくる時を 待ち焦がれている

世界の終わり / Thee Michelle Gun Elephant

uta-net.com/song/17962/ #utanet


彼女は、子どもの頃、母方の祖母に訊かれたことがある。

「仁美ちゃん、パンが切れているのだけれど、今日は、ご飯でいい?」

彼女は、それを聴いて、自分が蔑ろにされているのではないかと思った。

「大人にはいろいろ都合があるのよ。だから、あなたは、我慢しなさい」

そう言われている気がした。
だから、彼女は、ひとこと言った。

「パンがいい」

それを我儘だと言う人もいるだろう。

「これだから一人っ子は」と言う人もいるだろう。

…彼女は、選ぶことが出来ない大人になった。

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