見出し画像

佐々木典士著「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」感想と考察

佐々木典士氏の名著『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は、ミニマリズムに関心を持つ人なら一度は手に取りたい一冊です。本書の主題である「自分に本当に必要なモノを見極め、それ以外を削ぎ落とす」というミニマリズムの概念は、現代社会においてとても重要なテーマです。私も実生活にミニマリズムを取り入れている者として、非常に共感できる内容でした。

*今回読んだのは、ちくま文庫「ぼくたちに、もうモノは必要ない。[増補版]です。



第1章 なぜ、ミニマリストが生まれたのか?

本書の冒頭では、ミニマリズムの根本的な概念が丁寧に解説されています。特に「」を例に出した説明は分かりやすく、私も自分の旅行体験を思い返しました。著者は、出発直前までパッキングを繰り返したり、帰りにはモノがゴチャつく経験を語っていましたが、私はその点では共感できませんでした。しかし、「エネルギーを使い果たしてしまう感覚」は強く理解できました。

この章の中で最も印象に残ったのは、「必要なモノは全部持っていたのに、自分に足りないモノばかりに目がいっていたので、ちっとも幸せではなかった」という一節です。私もかつては「あれさえあればもっと良くなる」という考えにとらわれ、次から次へと新しいモノを求めていました。特に、周囲の目を気にしていた時期があり、常に「良いモノ」を持とうとしていたのです。

しかし、本当に必要なモノは自分の中にある。佐々木氏の「大事なものがわかっていて、それ以外を減らす」という言葉に強く心を打たれました。近年、私もSNSをやめてから他人の視線を意識した買い物が減り、本当に必要なモノが何かを見極められるようになりました。


第2章 なぜ、モノをこんなに増やしてしまったのか?

実はぼくの願いはすべて叶っていたし、欲しかったモノはすべて持っていた」という言葉は、過去の自分に突き刺さるものでした。モノが増えても「慣れ」が生じ、やがて「飽き」が訪れる。私は特に「慣れ」と「飽き」が人より早く、常に新しいモノを追い求めてしまう性格です。この点は、ミニマリズムに出会った今でも変わらず、悩んでいますが、少なくともその「飽き」までのプロセスを意識することで、無駄な買い物が減りました。


第3章 手放す方法最終リスト65!!

私は現在、必要最低限のモノだけで暮らしていると感じているため、この章は主に参考として読みました。しかし、多くのミニマリストが通る道である「捨てたい病」という言葉には強く共感しました。私も定期的に「もう少しモノを減らせるのではないか?」という衝動に駆られます。

特に印象的だったのは、追加の15個目のルール。このルールは、モノを手放すことが簡単である一方、意味ある選択をする重要性を再認識させてくれました。ミニマリズムに懐疑的な人でも、この部分を読むことで何か気づきがあるのではないでしょうか。


第4章 モノを手放し、ぼくが変わった12のこと

自分からの自由」という項目は特に耳が痛いものでした。佐々木氏が映画好きであったように、私もかつて「カメラ好き」というアイデンティティに強く執着していました。一眼レフやビデオカメラ、アクションカメラなど、様々な機材を「自分の一部」として大切にしていたのです。しかし、それらを手放したとき、驚くほどの解放感を得ました。ミニマリズムの旅が始まった瞬間でした。

「好きだからこそ、自分自身だと思いこんでしまうモノ。それを手放すことは、アイデンティティから自由になることだ。」 という言葉は、今の私にとっても非常に意味のあるメッセージです。


第5章 幸せに「なる」のではなく「感じる」

最後の章では、「幸せ」とは何かについて深く掘り下げられています。「幸せに『なる』ことはできない」という一見冷たいメッセージが実は温かく、力強いものであると感じました。佐々木氏が伝えたかったのは、幸せは外部から得るものではなく、今ここで感じるものであるということです。

私たちは日常の中で、幸せを未来の目標として追いかけることが多いですが、本当は「」にこそ幸せがある。この章では、そのことを改めて教えられました。


おわりに

佐々木典士氏の『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』は、単なるミニマリズムの指南書ではなく、人生そのものを見つめ直すきっかけを与えてくれる一冊です。モノに縛られず、今この瞬間の幸せを感じるためのヒントが詰まっています。私は、この本を通じて自分の生活をよりシンプルにし、幸せを見出す方法を改めて学ぶことができました。モノに対して新しい視点を持ちたい方、ミニマリズムを始めたい方にぜひおすすめしたい作品です。

いいなと思ったら応援しよう!

@50ppi|ミニマリスト
サポートいただけると嬉しいです。 頂いたサポートはミニマリズムや清貧、旅についての記事執筆のための活動に使わせていただきます。

この記事が参加している募集