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made in Asia Pacificとは?

みなさん、モノの原産国って気にして購入していますか?

食べ物の原産地を気にしている方は多くいらっしゃると思いますが、衣類や雑貨などはどうでしょう?モノには基本的に原産国表示の義務があり、買い物する際に目にしているものです。あまり注意深く見たことがない人は、ぜひ今あなたが着ている服のタグを見てみてください。〇〇製またはMADE IN 〇〇と国名が絶対に記載されています。
ちなみに原産国と原産地の違いはお分かりでしょうか?みんな大好きGoogle先生に聞いてみたところ…

原産国と原産地の違い
「原産地」とは、原料に使われる原産地のことで「原料原産地」とも言い換えられます。一方、「原産国」とは、原料が最終的に加工された場所のことです。製品の材料の産出国ではなく、その商品の内容について「実質的な変更をもたらす行為」が行われた国のことをいいます。
例えば、イタリアで産出された材料を使用し、日本で縫製された製品の場合だと「日本製」と明記されます。

一般財団法人カケンテストセンター

そう、モノに対しては原産地ではなく原産国を表示します。つい最近ニュースで話題になった中国産のアサリを輸入して日本の海岸に撒き、そこで再度収穫したものを熊本産と偽った原産地表示の事件がありましたが、実は原産国表示も色々なカラクリがあるんですよ!!
例えば、品質表示にブランディング評価の高い国名を記入するために靴本体と靴底を原価が安い国外からバラバラに輸入し最終加工(本体と靴底を付けるだけの作業)をその国でするなんていう抜け道もあるんです…

何をもってメイド・イン・イタリー?

ここでみなさんに聞きたいのですが、メイド・イン・イタリーについてどんなイメージをお持ちでしょうか?
日本人10人ほどにイメージを聞いてみたところ

  • デザイン性が高く、質が良い、安心材料

  • 高い、高品質、生産量少

  • 一つ一つに個性がある、汚さもいい意味で個性

  • 細身の服が多い、既成サイズに小さいサイズもある

なるほど、圧倒的な良いイメージばかりですね🫢笑
では、メイド・イン・チャイナ(中国製)についてはどうでしょう?

  • ちゃっちい笑

  • 安価で大量生産

  • 質が良いというイメージはあまりない

  • できれば安くても買いたくない

  • 超絶技巧も転がっている

中には良い意見もありましたが、総じて酷い言われようである😂
メイド・イン・イタリーは元々アルティジャナーレ(職人技)文化の世界、その人に寄り添ったフルオーダーの品質技術共に最高級であり一級品で富裕層向けブランドが多くそのイメージが根強い。しかし、本当にその品質技術は現代にも通ずるのだろうか?私がイタリアで勉強していた2012年から2017年の間にイタリアの超有名某ブランドの工場で働いているイタリア人による内部告発事件に低賃金で働かされ、工場内はほぼ外国人労働者で成り立っていると暴露されていた。当時イタリアではかなり炎上していたが、実際ビスポーク(個々の購入者の注文なり、嗜好、使用目的などに合わせて既存のものを改変したり、新調すること)の世界でも外国人労働者はかなりいます。私の師である人も日本人としてイタリアンシューズブランドの靴職人をされています。もちろんそれが悪いこととは言いません!!
そこでまた問いかけます。何をもってメイド・イン・イタリーなのでしょう?外国人が作ったモノでも技術がその国のものならメイド・イン・イタリーなのでしょうか?その人の自国の感性は入っていないと言えるのでしょうか?逆にその技術を持って日本で製作したらそれはメイド・イン・ジャパン?メイド・イン・〇〇は、技術?どの業界でも職人の高齢化もあり、技術の老朽化が懸念され、実際メイド・イン・イタリーのものはボタンがよく取れるなどのお話も耳にします。これは品質が高いというイメージがあるメイド・イン・ジャパンにも言える事です。では、メイド・イン・〇〇はモノの使用素材の質によって決まる?それならば、なぜ原産地にならないのでしょう?たくさん疑問が出て無限ループになりますね…
また一方、中国の高度成長期における技術の発展、人材の高騰化もあり2019年に自身のブランドを立ち上げる際、中国の工場を訪ねたところ日本より生産における原価は高額でした。実はものづくりに携わっている人であれば現代におけるメイド・イン・チャイナ=粗悪品、メイド・イン・ジャパン=良品というイメージはもう過去のものとなっています。今の中国のミレニアム世代は、メイド・イン・チャイナに誇りを持っている人が多いことが特徴でもあります。
こうした経験が重なり、いつまで一つの国をブランディングしていくのかと疑問を持ちました。元々の技術を伝承していくことはとても大切ですし、続けていくべきだとは思います。その伝統を愚直に守る道もありますが、文化やその文化に属する伝統というのは歴史的に見れば、元来入り混じったものであり洗礼されて独自のものとなっています。そのように生まれ育った国やいろんな経験で培った自分の感性をプラスしていくことが更なる伝統の継承だと考え、また新たな歴史を作るのではないかと私は思っています。

原産国のブランディング

509.のデザイナーである私こと傅陳(フウチン)の出身地は中国・上海。そう、中国人です🇨🇳 幼少期に来日し東京で育ちました。大学では大分県の立命館アジア太平洋大学でアジア太平洋地域の多様な政治、経済、社会、文化等を幅広く理解し、言語や情報技術、調査等の様々な手段を活用して複数の異なる分野を幅広く学んだ後、渡欧し1年間イタリア語の基礎を身につけ、ファッション学校POLIMODAに入学し靴やデザインに関する基礎的な知識と技術のノウハウやファッションの歴史とビジネスの仕組みを4年間学びました。
そして、こうした自身の交差した経歴もあり、ブランドを立ち上げるなら自身の全ての経験を注ぎ込みたい、世界にプライドを持ってメイド・イン・アジアパシフィックを発信したい!!という信念が生まれ、そのことによってできたブランドです。


509.は、製作における全ての工程を日本を含めアジア太平洋諸国のみで生産しており各国の職人技が完璧なバランスで織り成しているものをmade in Asia Pacificと称しております.
これは一つの国をブランディング化するのではなく様々な国の技術を組み合わせることでより良い作品を作りあげ
人々・技術・国自体を底上げしていくことを目的とした総称であるべきと考えております.


ちなみにアジア太平洋加盟諸国は下記の通りです。聞き覚えのある国や耳慣れない国もアジア太平洋諸国なんだという驚きはありましたでしょうか?
しかし、29か国2地域のうち自国のプライドを持ってメイド・イン・〇〇と謳う国はほんの極一部です。

UNWTO 29か国2地域(2019年10月時点)
🇦🇫🇧🇩🇧🇹🇮🇳🇮🇷🇲🇻🇳🇵🇵🇰🇱🇰 🇭🇰🇲🇴 🇧🇳🇰🇭🇨🇳🇰🇵🇫🇯🇮🇩🇯🇵🇱🇦🇲🇾🇲🇳🇲🇲🇵🇼🇵🇬🇵🇭🇰🇷🇼🇸🇹🇭🇹🇱🇻🇺🇻🇳

これから先の未来により良いものを作っていくためにはまず近隣の国々をよく知り、秀でた独自技術の共有とそれを組み合わせることで継承していきお互いを高め合うべきです。

原産国表示について

靴や鞄は家庭用品に入り、家庭用品品質表示法上は、家庭用品について原産国を表示することは義務付けられておらず、原産国を表示する場合の基準も定められていません。

消費者庁

実は衣類と違い靴や鞄に品質表示に原産国を記載する義務がない!!私もアジア太平洋製を謳う前まで知らなかったのですが…
509.は原産国だけではなく原産地にも今後拘って行きたいという思いから今回、全てのコレクションの原産国と原産地を表示します。
デザインだけでなく品質やアジア太平洋の国々を背負って立つようなブランドに成長していければと思います。


COLLECTION 001. ”TiME”

COLLECTION 001.で使用している材料や製作における原産国
靴:日本製
皮革:羊革(原産地/サウジアラビア,原産国/日本製)、馬革(原産地/アルゼンチン・南米,原産国/日本製)
毛皮:フォックス(原産地/フィンランド,原産国/日本製)、レッキス(原産地/中国,原産国/日本製)
ゴム底:合成ゴム(原産地,原産国/日本製)
鞄:日本製
皮革:羊革(原産地/中国,原産国/日本製)、牛革(原産地/オーストラリア・北米,原産国/日本製)
毛皮:フォックス(原産地/フィンランド,原産国/日本製)


COLLECTION 002. "FUSION"

COLLECTION 002.で使用している材料や製作における原産国
靴:日本製
皮革:牛革(原産地/北米,原産国/日本製)、馬革(原産地/アルゼンチン・南米,原産国/日本製)
EVA底:(原産地,原産国/日本製)
トゥーアクセサリー:中国製
3Dプリント:エポキシ樹脂(原産地,原産国/中国製)
財布:日本製
皮革:牛革(原産地/北米,原産国/日本製)


今のところ原材料が100%アジア太平洋ではないためこれを如何にクオリティを保ちつつ原材料含め全ての工程を100%アジア太平洋で生産していくことが目標です。


参考文献


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