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鳳凰と龍と麒麟の国②
鳳凰の王と龍の王の争いが決着し、龍の王の勝利が確定して間もなく…
大陸から海を渡り、別の国がやってきました。
王は麒麟。
麒麟の王でした。
別の国はこの国とは比べ物にならない大きく広い大陸から、強い武力を持ち、海を渡ってやって来た…
いや、押し寄せて来たという表現が正確かもしれません。
これは龍の王にとって思いもよらぬ事。
国力は龍の国の比ではなく、
武力もまた比ではなく、
龍の王は、ただただ、海原に広がる船団を目の当たりにし、それらをことば無く見つめるのでした。
敬愛する鳳凰の王の想いを大切にし、この国を素晴らしい国にするという志を胸に、これからという時に…
押し寄せてきた波は、まるで津波。押し返せないのは龍の王には、いや、誰の目にも明らか…
ですが、龍の王の部下達は抵抗し、抗います。
自分達のこの国を護らなければと、大切な人々を護らなけば…と。
けれど、いつの時代も、犠牲になるのは罪なき人々、幾多の命が犠牲なりました。
争いには犠牲が伴う。
そこに正義があろうとも血が流れる。
この国をよきものにする
龍の王は、愛す者を護るために戦ってきた部下達に諭します。
『争いにより派生する痛みと悲しみの深さは、もう充分理解しただろう?』と、
『戦わないのは降参ではなく敗北でもない
戦わないのは人々の幸せのため…
傷ついたり悲しみを負わないため…』と、、
龍の王は、本当は最初から戦う気持ちは無かったのですが、
それでは部下達は収まらず、
部下達の意に沿って戦いを選んだだけでした。
部下達の意向に沿う、それはかつての鳳凰の王も同じ。
これ以上の争いや抗いは、人々が不幸になるだけ。
龍の王は鳳凰の王と同じように…自ら身を引く事となりました。
部下達の無念はいかばかりか。
けれど、全ての責務は王が負う、これが現実でした。
麒麟の王は、龍の王を封印…
正確には霊体をその国の土台となるべく封じました。
土台となる…それは龍の王の望みでもありました。
『封じるなら、この国の礎とすべく土台として封じて欲しい。バランスを取らなければならないから…』と。
麒麟の王はそれを聞き入れ、龍の王を封じました、この国の地下へと。
麒麟の王はこの国を統べる事となりました。