見出し画像

舞台『かあちゃんにしかわからないこと』主催Rave Amenityを観てきた!

 舞台『かあちゃんにしかわからないこと』東京公演を新宿スターフィールドにて観劇した。主催は Rave Amenity さん。略してレイアメ。Twitterのbio欄にある説明によると、その名前には、「ハメをはずせる心地よい環境を。」という意味があるそうだ。

 ツイートにもあるとおり、わたしはこの舞台をお笑い芸人コンビ「さくらだモンスター」の「しょっぴー」さんが出演するという情報で知った。第5回目の本公演となるが、過去の作品はどれも観ていない。けれど、脚本・演出を担当している坂本泰裕さんの表現はわたしにとってどれも痛快だった。これまでのも観ておきたかったな。演劇の本番前にご本人が前説で出てきたのはびっくりした。なんでもやるひとなのだろう。劇中の雰囲気にはコント愛のオーラも見受けられる。この先も気にしておきたいかただ……。

 舞台『かあちゃんにしかわからないこと』は、見方が2通りあるのではないか?とおもっている。ネタバレになりそうでならない(本作品ちらしに掲載済みの)ところで言うと、

① かあちゃんが他界したあと本当に起こったことをありのままの視線でみていく世界
② かあちゃんが他界したあと(するまえ)に、かあちゃん自身が「こうあってほしい」と願った世界

 すなおに①で見れば充分なのだけど、両方ありうる、とおもえるから想像の2倍泣けてしまう。複数登場する人物の出来事1つひとつが本人以外だれも真偽を知らないことであり、直筆の手紙にある「かあちゃんのこと、きらいだった?」という一文がますますどちらの希望をつないでいるのかわからなくさせる。しかも、舞台のタイトルは「かあちゃんにしかわからないこと」だ。

 考えすぎなのだろうけど、とくに、かあちゃんと同じように「成人したらじぶんのことはじぶんでやるんだよ。そのためにいろいろできるようになっておいて」と実の子に伝えてきている母親の身としては、まったくもって他人事じゃないというか、今のわたしはこれでいいのか?などと悶々考えてしまうような、尾をひく作品なのだ。

画像1

 登場人物の性格や葛藤、変動がみんなはっきりしていてシーンごとに気持ちをくみ取りやすいのはありがたかった。「わからない(理解できない)」点がないのも先ほどの見方①②を浮上させる原因なのだが、どちらのフィルターを通しても言えるのは、この物語には悪人も善人もおらず、ただ目の前の選択肢を必死でつないできた人間がいるということだ。歩みかた次第で「なりたいわたし」になれるはずだという光をみせてくれる。

 かあちゃんにとって悲しくなる事態を生んでいた理由があちこちに点在するものの、どれも母親本人ならばゆるせることだったりするから、それもなんだか泣けてくる。こうやって、おもいだすと泣けてくるのは単にじぶんが母親の立場にいるからってだけじゃない。もちろんそれも大いにあるのだが、わたしも、残された彼らと同じようにおもいもよらないタイミングで実母を亡くしている「物語の当事者」なのだ。後悔先に立たずなところがもろにシンクロしているのである。感情の板挟みだ。こどもなんて一人でも二人でも大変なのに三人いたんでしょ、どうやっていたのと、じぶんでも実母でもない舞台のかあちゃんにいきなり思念を飛ばしてしまったり、情緒不安定の塊にもなる。

 そう、たぶんこの物語は少しくらい家族のことで動揺しておいたほうがいい「何か」をもっているひとほど見ておくべきだ。暴論かもだけど。

 あっ、いろいろ書いてるけど、語彙力を最大限に簡易化すると「めちゃくちゃよかった」です。あと、しょっぴーさんがすんごくしょっぴーさんだったねえええ!! 後半というかほぼラストの「ぼくはどうすればいいですか!?」エンドレスがすきです。というわけで、これからもさくらだモンスターの動向はできるかぎり追いましょうね……(じぶんに言い聞かせ)。