いちご煮(久慈の小袖屋) / 【USN:002】
缶を開けると、うっすらと乳白色がかった液体の中に揺れる雲丹や鮑の身。
いちご煮がどういうものか識っていなければ甘味の一種かと思うかもしれない。これは椀に盛り付けた際に乳白色の汁に沈む黄金色の雲丹が『朝露の中に霞む野いちご』のように見えることから名付けられたものだという。
三陸地方の海と共に生きる先人の粋な感性が輝く汁だ。
調理例のように椀に盛り付けて吸い物として頂くのも良いが、美味いものはあっという間に目の前から消えてしまう。
そこで私は、この素晴らしく美しいうまい汁を炊き込みごはんとして頂く事をお奨めしたい。
ごはんを良く研ぎ、この缶全てを釜に注いで炊くだけだ。およそ2合分を炊き上げるのにちょうどいいだけの量が入っている。
あとは茶碗に細く刻んだ海苔と大葉をのせて無心にいただくのみだ。
日本人の暮らしの根幹と云えるコメを目が覚めるばかりの高みに連れて行く神の滴のようなこれは、
まさに日本のうまい汁と言えるだろう。
採取場所:岩手銀河プラザにて購入価格:1360円