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【3月27日~4月2日】最後まで読みたいのにどうしたものか

要点を絞ること、そして、効率的にやっていくことも求められるので、「集中して向き合う時間と、そこから解放されるべき時間」を分けてやってみてください。

VOGUE GIRL WEEKLY! しいたけ占い

解放されてきた。

しいたけさん的には「〇時~〇時までは休む!」とか数時間単位での分け方の話をされていたのだけど、「〇日と〇日は休む!」というガッツリ感でそういう時間を作った。

まずは温泉宿で極限までダラダラするという日を設定した。
とはいえ中1女子も一緒なので、少しくらい遊びがないとダメだ。5月に彼女のための遊びに付き合う予定があるため、今回は私の要望に沿っていただいた。中1女子も温泉は好きだけど、それだけでは暇になる。
それで行ってみたのがJR福知山線廃線敷のハイキングコースだった。

5年ほど宝塚に住んでいたことがあったから、福知山線には馴染みがある。ただ、ここが一般開放されたのは引っ越したあとだったので行ったことはない。約2時間の平坦なコース……ということで、筋肉痛を覚悟で参戦した。

私が企画したのに雨女を発揮しなくて、親子で戸惑った

コースは1本道なので、どちらからスタートするのかというのだけが選べるのだけど、宿を武田尾温泉にしていたのでゴールを武田尾として北へ向かって歩くルートを選んだ。

1つ目のトンネル

トンネル内は懐中電灯必須だ。試しにスマホのライトで歩いてみたらほとんど役に立たなかった。暗い。出口が見えている短いトンネルでも暗い。
途中、ご両親に連れられた5歳前後の女の子とすれ違ったのだけど、お父さんがずーっと話しかけてあげていて、女の子も少しも怖がらずにわくわく進んでいるのが微笑ましかった。彼女にとっては大冒険だったことだろう。
懐中電灯係となった中1女子の隣でビビリながら進む私にとっては、大冒険というよりはワケあって肝試しのような状況に陥っていた。

というのも、出発前日にホラー小説をかじり読んでしまったからだ。

なぜ読んだ。


Twitterで話題になっていた『近畿地方のある場所について』という作品。タイトルが気になって読んでしまった。そしたら文章が素晴らしく、どんどん読まされていくタイプのもので止まらなかった。とにかくすごかった。
ちなみに私はホラーは大の苦手だ。『着信アリ』を映画館で観たあとしばらくひとりでお風呂に入れなくなったくらいのビビりだ。なんでアレを映画館で観る流れになったのかハッキリと思い出せないのだけど、当時付き合っていた人となにか賭け事をして負けたせい……だった気がする。
まだ実家暮らしだったから、お風呂のたびにぎゃあぎゃあ言われた母は迷惑したことだろう。

そんな感じなので、『近畿地方の~』も何話か読み進めたものの、途中で本当にチビりそうになりさすがにストップした。が、ここは山のなかにある廃線である。もうそれだけで怖い。
最初の数話だけでも読んだ人にはわかるだろう。山であることが怖すぎた。
前々日までは千と千尋ごっこをしようとわくわくしていたのに、もはやそれどころではなかった。

いやもう絶対なんかおるやん……

2つ目のトンネルは一番長く、400mを超える。ひたすら暗闇だ。
あまりに暗いせいでまっすぐ歩けず、真ん中を進んでいるつもりが何度か壁側に寄った。
トンネルに入ってすぐのところで、若い男性が1人で、それもスマホのライトだけで向こうから歩いて来るのが見えた。どうせこちらの顔は見えていないだろうと思い私は遠慮なく信じられないものを見るような目で彼を見た。実際、信じられなかった。めちゃくちゃ楽しそうに歩いていたのだ。
私は中1女子にくっついてビビり倒しているのに。彼はきっとやれと言われればスキップすら軽やかにしたことだろう。
なんたる廃線観光格差だ、と思いながら、私は必死に足元を照らした。

このあたりから楽しくなってきた

トンネルも3つを数える頃には慣れてきて、赤い鉄橋が見える景色は素敵だった。暗闇にいて光差す出口が見えた瞬間の喜びと、次はどんな景観なんだろうというわくわく。トンネル楽しいな!? といきなり元気になる私。
出口が見えない暗闇を実体験したことで、これまで書いてきたものの描写とはまた違ったものを得たような気がしないでもない。
読むのを中断してしまったその小説も、レビューを見る限り最後まで読んでこそのものだ。それはそうだろう。だがしかし、だがしかし……と先を読むことを躊躇している。1話ずつ恐る恐る読むかもしれない。実体験のすばらしさを体感した今、この読書体験を逃すのが惜しい。

中1女子は終始楽しそうであった。そして体力底なしなので息切れひとつしない軽やかさ。私の足は次第に重くなり、どんどんペースが落ちた。

線路は続くよどこまでも

枕木がぼこぼこしていて、平坦とはいえ歩きづらい道のり。
温泉で疲れを癒し、入念にストレッチをしてもなお、翌日の筋肉痛は激しかった。中1女子の肉体がほしい。
たまにこうして自然を欲するのは、やっぱり解放の時を求めているからなのかもしれない。土や緑に触れて放電するというか、デジタルデトックスというか、元来の人間らしさを取り戻すというか。

番外編。苔パフェを食べた。

せっかく宝塚に来たので、家の緑を調達しに陽春園に立ち寄った。阪急山本駅があるそのあたりのエリアは造園の街なので、園芸屋さんが多い。
コケリウムを模した苔パフェ。蓋は宝塚名物炭酸せんべい。

あらためて宝塚いいところだなと感じた休日だった。
宝塚歌劇という文化。歌劇場がある宝塚駅周辺の穏やかで暮らしやすい街並み。でもたった1駅離れただけで廃線のスタート地点があり、自然が広がる。
私は阪急電車がとても好きで、そのあたりを拠点にしていた頃は引っ越すたびに阪急沿線を選んでいた。いつかまた住んでみたい。

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寧花
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