◆人類は数々の文明を進化させてきたが、それでも脱却できない”あるもの”に苦悩し続けている
極論、進化を止めた人類は、肉体を捨てるという選択を迫られている。人が人である以上、この世界から争いが絶えることは絶対にない。もっと簡単に言うと、人が生きていく上で絶対的に必要なことである「食」を放棄することさえできれば、奪い合うこの世界が完全な平和に包まれることになる。
「食を維持するにもお金が必要だ。だから働かないといけない。人よりもたくさん稼いで裕福な生活をすることこそが幸福なのだ。お金さえあれば、何でもできる。選択肢は無限に広がる。そのためには知識や能力が必要だ。だから、大学を出て、一流企業に就職して、一生安泰の社会的地位を手に入れるべきだ。」
という考え方が当たり前だった時代はこれまでの話で、すでに時代錯誤だということに多くの人たちが気付いている。しかしそれでも、人はお金や労働からの脱却をできずに、政府に要求されるがままに納税をしてきて、年間の納税額が高額であればあるほど偉いなどといった思想を生み出してきたりもした。
脳内にICチップを埋め込む技術がすでに開発されつつある。おそらくこれは、人類のサイボーグ化の第一歩になるだろうと考えられ、現状、人体を部分的に人工素材に置き換える技術も研究されている。最終的に、サイボーグ化が実現した時、人が必要とするのは電力のみとなり、以後、食文化は消えていくのかもしれない。
食べる喜びにすがりたい人たちは、そのまま死を迎えてもきっと後悔はないのかもしれないが、それに限らず、人が生きる上で求めてきたあらゆる物事の多くは争いの火種となることも多く、罪人を絶えず生み出し続けてきたとも言える。
そういう意味では、どんなに優秀な人間も、どんなに凡庸な人間も、その枠組みの中でそのように振り分けられてきたわけだけれども、もう人工知能が世界を動かす時代がそこまで来ているとなれば、人間同士の能力の優劣など微々たるものでしかなくなり、だんだんと人が人と争うことの意味も薄れていくのかもしれない。
そうして世界は加速的にフラット化していくのだろう。お金と労働から脱却した時、人類はこれまで求めたことのない異次元の幸福を追求していくことになるのかもしれないが、そう言われてもなかなかピンとこないのも無理はない。まだ誰もそんな時代を体験できていないのだから。
これからは社会の自動化に留まることなく、あらゆる分野でウソみたいな技術革新が次々と起こっていく。2㌨半導体が人々の生活にどのような変化をもたらすのか、現状私が興味を惹かれることの一つに、ラピダス株式会社の半導体革命がある。
例えるなら、街中を歩いているロボットが生身の人間のような動きをするほど精度の高い動作制御を実現するかもしれない。これまでの処理能力の何十倍も高性能な半導体ともなれば、これまでできなかったこともどんどん実現していくことになるのだろうが、もはや想像することすら適わない。
日本は終わりだなんだと言われているその背景では、まったくもって諦めていないどころか、再度世界のトップに立とうとしている会社組織も多く存在している。悪いことばかりでもなさそうだ。
未来に関する情報に意識を向けていけば、すごい変化を見つけることも可能。嘆いてばかりではつまらない。変化を楽しめるほうがずっと良い。