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Leica SL3-Sを触ってきた 簡易レビュー
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表参道のSL3-Sを触るイベントにご招待いただいたので参加してきました。
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結論として、「画質のSL3に対して、質実剛健な性能のSL3-S」という印象を受けました。SL3と比べると、かなりあっさりとした絵作りになっています。また、AFが大幅に進化し、他社のカメラを使っている方でも違和感なく扱えそうです。さらに、M型レンズにもカバーガラスが最適化されている という点も、SL3とは異なるポイントで魅力的に感じました。
良かった点
① AFがライカで初めて実用的になった
AF-C(コンティニュアスAF)の追従性能が大幅に向上し、ようやく他社と同じ土俵に立った と言えます。
2400万画素という仕様のおかげで処理が速く、6000万画素のSL3と比べてもAFの追従性やフォーカスアウトからの復帰後の再追従が格段に向上。
キャノンやソニーのフラッグシップモデルほどの精度や速度には及ばないものの、ライカのカメラで「AFの話ができる」ようになったのは大きな進歩 です。
SL3でもAFの向上には感動しましたが、激しい動体の撮影にはやや厳しい印象がありました。その点、SL3-Sはモータースポーツや動物撮影にも対応できる性能 を持っています。
総じて、「現代的な、普通に使えるカメラ」 という評価がぴったりだと感じました。
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iAFをオンにしつつ、いくつかあるプロファイルと焦点距離や並行移動の値を調整して、AFの範囲を適切なやつを選択すればかなり賢く動いてくれると思いました。
今回は像面位相差の点数が779点とα1/α1iiに近い水準です。ライカのオススメはゾーンでのAFがおすすめとのことでした。
② 連写性能の向上
連写時にブラックアウトしない 仕様になったのは大きな進化です。
従来機では連写時にブラックアウトが発生していたため、被写体を追い続けるのが難しかったのですが、2400万画素の恩恵もあり、ブラックアウトのないスムーズな連写が可能になりました。
また、12bitではあるものの、秒間30コマの連写が可能 になった点も、速写性を求めるシーンで有利に働くでしょう。
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③ マルチショット・暗所性能・Mレンズの最適化
▶ マルチショット
これまで三脚が必須だったマルチショットが手持ちで使用可能になったのは非常に便利です。
通常は2400万画素ですが、必要に応じて4800万画素や9600万画素 で撮影できるため、高精細な画像が求められる場面で活用できます。
もちろん、被写体が静止している必要はありますが、画質は非常に優秀でした。
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▶ 高感度耐性
高感度耐性はSL2-S譲り で、ISO20000まで対応。
イベントでは、南雲さんの「月」をテーマにした夜景写真が展示されていましたが、ISO6400くらいまでは常用感度として問題なく使用できる 印象でした。
▶ Mレンズの最適化
SL3-Sでは、M型レンズの最適化が図られている というのも大きなポイントです。
小型軽量なMレンズを使用する人にとっては、これがSL3との差別化の一つになり得ます。
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気になった点
① 電源オンのスピード
SL3と比べても、電源オンのスピードは大きな違いは感じられません でした。
SL → SL2 → SL3と、世代を重ねるごとに起動時間が遅くなっている ため、SLやSL2-Sの起動の速さを知っていると、ややもたつきを感じるかもしれません。
② 絵作り
これは好みによる部分ですが、SL3-Sの絵作りは非常にナチュラルで、あっさりとした印象 です。
SL3の派手な色調が好みの方には、やや物足りなさを感じるかもしれませんが、逆に**「SL3は派手すぎる」と感じる方には、SL3-Sのニュートラルな描写がマッチする** 可能性があります。
この点は、実際に試して好みを確認するのが良さそうです。
③ 価格
これだけの性能を持ったカメラなので、開発費を考えれば高価格になるのは仕方がない とは思いますが、それでもSL2-SやSL3の価格と比べると高価に感じる のは事実です。
特に、SL3-Sの性能向上が「画質」よりも「AFや動画機能」にあることを考えると、動体撮影を重視しない人であればSL2-Sでも十分ではないか という選択肢も生まれます。
総評
SL3-Sは、SL3と比べるとより実用的でバランスの取れたカメラ という印象を受けました。
特に、AFの大幅な進化と連写時のブラックアウト解消 は大きなメリットであり、動体撮影を考えるなら非常に魅力的な選択肢です。
また、Mレンズに最適化されたカバーガラス もポイントで、小型軽量なMレンズを活用するユーザーには嬉しいアップデートと言えるでしょう。
従来のライカ製カメラでは難しかった動体撮影にも対応できるようになり、連写性能の向上やマルチショット機能の強化も魅力的 です。
ただし、起動速度や絵作りの違い、そして価格の高さを考慮すると、用途や好みに応じた慎重な選択が求められるモデル でもあります。
特に動体を撮らない方にとっては、SL2-Sの方がコストパフォーマンス的に魅力的な可能性もありそうです。