厚労省から出たイベント開催に関する「お願い」の批判
我慢できなかったので書きました。ほぼ愚痴みたいなもんですが許してね(てへぺろ
※2020年3月7日に開催を予定している「しゆうソニック2020」に関しての声明ではありません。しゆソニをどうするかについては、改めて公式から発表します。
一晩経って…(2月21日午前7時追記)
このnoteを書いてから、自イベントを中止することを含めて、あらゆる対応や連携などを進めて、そのまま寝落ちして今起きました。昨日はあまりにパニック状態でモヤモヤした思考の中で「腹立つ!」が強くありましたが、ちょっと寝てスッキリした頭で改めて考えて、何が腹立つのか自分でもわかってきたので追記します。
結局このツイートに書いたことが全てなんですが、正直なところこの発表が出ようが出まいが、イベントを中止すべきか開催すべきかと言うのは常に悩み考え続けていました。そんな中、厚労省からイベント開催に関する指針が発表されると聞き、かなり注目していたところが強かった。なぜなら、厚労省からどんな発表が出るかによってイベントが大きく振り回される可能性があるし、自分たちじゃなかなか聞けない専門家の意見を聞くことができると思ったから。おそらく日本で近々イベントを開催する人は大小異なっていてもみんなそうだったんじゃないでしょうか。
そしていざ発表されたら、こんな素人でもかけるような「お願い()」が出てきた。「考え直せよ!!」という牽制だけされて、望んでいた専門家の意見は全くなく、会見でそこを突っ込まれたら「最新の感染の発生状況を踏まえると、例えば屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高めるとされています。」が専門家の意見だと言う。そんなの素人でもわかっている。
どんな規模のどんな状況のイベントが感染のリスクが高く控えるべきと提示された上で、「考え直せ」と言われるならまだしも、国民が望む情報は一切出さずに一種の保身として牽制だけされたことに腹が立っていたみたいです。
まあそんなわけで、まだ腹の虫はおさまっていないわけですが、これ以上厚労省に腹を立てたところで厚労省は何もしてくれないので、イベントのことを頑張りたいと思います。
この下には発表直後の腹立たしい気持ちを抱えたまま書いた文句がつらつら続いているわけですが、よかったらおヒマな時にでも読んでみてください……。
「お願い」について
2020年2月20日18時42分に下記のような「お願い」が発表されました。
新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐためには、今が重要な時期であり、国民や事業主の皆様方のご協力をお願いいたします。
最新の感染の発生状況を踏まえると、例えば屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高めるとされています。
イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません。
また、開催にあたっては、感染機会を減らすための工夫を講じていただきたい。例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただきたい。
国民の皆様においては、風邪のような症状がある場合は、学校や仕事を休み、外出を控えるとともに、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動にご協力をお願いします。特に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方については、人込みの多いところはできれば避けていただくなど、感染予防に御注意いただくよう、お願いいたします。
そのためには、学校や企業、社会全体における理解に加え、生徒や従業員の方々が休みやすい環境整備が大切であり、テレワークや時差通勤も有効な手段であります。関係の皆様のご協力をお願いいたします。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の感染の広がりや重症度を見ながら適宜見直すこととしています。
※厚労省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00002.html)より
また、会見も開かれました。
このお願い()を読んでかなり頭にきたので、批判エントリ書かせてもらうことにしました。
批判の前に……僕自身について
ちょうど来月7日に「しゆうソニック2020」というライブイベントを京都で主催する予定です。さほど大規模なイベントでもなく、こじんまりとしたライブイベントではあるのですが、もちろんこのイベントのバックに企業がいたりはしないので、損失とかは全部僕が被ります。
「なんでこんな時期に…」と言われそうですが、実は5月1日に「しゆうソニック2019」というイベントを開催しており、その最後で「2020は2020年の3月7日に開催します」と告知していました。なので、コロナウイルスの方が後から来ました。後出しジャンケンです。
ちなみに、このイベントに関しては別に宣伝エントリを書いてるので、よかったらこちらを読んでもらったらどんなイベントかなんとなくわかってもらえると思います。
ツイートの本文について
「お願い」の内容の前にここも腹たつので。
【#新型コロナウイルス 「大規模なイベントの開催について」】 大規模イベントの開催について、加藤勝信厚生労働大臣からお願いがあります。
「大規模なイベント」ってなんなんですかね。「しゆうソニックに関してはキャパも全然多くないですけど、じゃあこのお願いは僕には関係ないんですか」という思い。しかも、お願いの本文見てもらったらわかるんですが、お願いの中に「大規模なイベント」っていう表記は一切ないんですよね。これ、公式サイトのリンクテキストとツイートだけに書かれている表記。
(2020年2月20日22時40分追記:ツイートは編集できないのでそのままですが、公式サイトは「イベント開催に関する御協力のお願い」に変わってました。こっそり変えるのもずるいよねー)
実際にはコミケとか超会議とかそのレベルのイベントを想定されているんだとは思うんですが、「大規模なイベント」の定義がされていない上に、お願いの中にその表記がないので、結果的に日本で開催される全てのイベントに対しての言及になってるんですよね。このやり方すごくずるい。
延期するにも負担いっぱいあるんやぞ
ちょっと記者の名前が聞き取れませんでしたが、会見で
「必要性」ということになりますと、主催者は当然みなさん必要だと思ってイベントをやろうとしているわけで、ただ関係ない人にとってみれば必要ないというイベントもあるかもしれませんが、この「必要性」というのが、つまり「重要なもの」という意味なんでしょうか。どのように考えればよろしいのでしょうか。
という質問がありました。これに対して、加藤勝信厚生労働大臣は
やるやらないだけではなくて、当然「どの時期に」という時期の選択の幅もあると思います。そういった意味も含めて「必要性」という風に考えています。したがって、例えばですけど「秋にやったらどうか」「春にできるかどうか」そういった時期の選択というものもあると思いますんで。そういった中で、現時点で例えば今やると決めていたものが、その必要性がどのぐらいあるのか、そこをよくもう一回考えてください、こういったメッセージです。
という回答をしました。
意味がわかりません。
おそらくこの発言の意図としては「中止だけではなく延期という選択もあるから、やるやらないではなく『必要性』という言葉にしたよ」というものかと思います。ですが、この時期にイベントを開催すると決まっている時点で、そんな選択の幅はないんです。
この辺りはなかなかイベントの裏側を知らないとイメージつかないかもしれませんが、あらかじめ日程の決まっていたイベントを延期する時点で、「延期」という表記は使いますが、実際には「あらかじめ決まっていたイベントを一度中止して、再度別の日程でイベントを立ち上げる」ということになります。すなわち、会場のキャンセル料・チケット返金料・イベントの立ち上げ作業コストなど、中止にしようが延期にしようが、イベント主催者がかぶる損害は同じです。イベントの規模や延期の可否に関わらず、日程が決まった時点で、主催者にとってそのイベントの開催はマストであり「必要性」は100%なんです。
「そこに配慮したよ」という『ポーズ』を見せるためだけに「必要性」という言葉を使われると、一部の人にしか支持されていないようなイベントは「今やらんでいいだろ、こんなイベント」って言われかねず、また開催を進めようにも「必要性」という言葉が足かせになります。だって、参加者以外には「必要」じゃないんだもん。
あくまでただの「お気持ち」
例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただきたい。
これ、本当にただのお気持ちなんですよね。お願いにもなってない。
もちろん、イベントを開催するのであれば、対策の準備はしっかりします。でも、簡単にいうけど、「風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をする」って実際にどういうことか分かってるんですかね。
イベント運営側からの働きかけで参加をお断りするということは、もちろんお客様にかかった費用(チケット代金・旅費)はイベントが負担しなければいけなくなる。じゃあ、自主的に風邪の症状があるから参加しなかった人の対応は? お断りしてクレームになったらどうする? その辺りをリスクやコストも踏まえて対応する必要が出てきます。もちろんそれをやるのは主催者の責任でありやるべきことではあるんですが、国からこんな形で表明するくせに「していただきたい」という表記で逃げて負担は主催に完全に投げる。ありえない。
具体的な目安が全然無い
この「お願い」の中に、具体的な目安とか数字って一切出てこないんですよね。
時々厚労省が言う「大規模なイベント」ってどの規模なのか。どういう状況ならやめようと判断するべきなのか。その辺りが一切記載ないので、記者が何度か質問していました。それに関しては、加藤勝信厚生労働大臣曰く
例示をしても状況状況が違いますから、一概にはいえないと言うこともあって、今回こう言う表現にさせていただきましたが、ただ、最初のところに申し上げましたように「屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高める」ということで、そうした状況を一つ、例示としてはあげさせていただき、これが後ほど出る「会場の状況」の一つでありますから、そういったこと。それからもう一つはやはり地域においてですね、感染がどう言う状況なのかということも判断いただきながら主催者においてですね、その必要性を改めて検討していただきたい。
ということでした。
「感染の広がり、会場の状況等を踏まえ」の日本語を説明しただけですよね、これ。「十分に取れない」ってどれぐらい?「感染がどう言う状況なのか」ってどう言う状況なら問題なの?
こう言う表現に至った気持ちも思いも十分よくわかるんですが、主催者の立場としては専門家の意見を聞いてこの「お願い」を作ったんだから、もっと具体的に例示して欲しかった。これだと何の判断基準にもならない。
「適宜見直す」の脅し文句
新型コロナウイルス感染症の今後の感染の広がりや重症度を見ながら適宜見直すこととしています。
そうだね、今後どうなっていくかわからないからね。でもつまりそれは、開催前日に「日本国内で複数の人間が集まるイベントは全て中止しろ」と言われる可能性もある。もっといえば、開催中にそんな表明が出る可能性もある。そんなわけで、常に即中止にできる準備を整えさせられることになります。
見直す必要はあるし、この一文自体書くなと言うわけではないです。……が、たとえば、今後どう広がったら見直すのか、どう重症化する症例が出たら見直すのか、ここも具体例があればこちらとしても「そろそろ一律でやめろって言われそうだな」と判断できるんですが。
一番腹がたつのは
色々書きましたが、一番腹がたつのは、この内容が「お願い」として出されていること。
あまりに耐えかねて厚労省さんにリプライ投げてしまいましたが、主催者としても楽しんでもらうはずのイベントがコロナウイルス拡大の場になることは本意ではなく、そうなるぐらいなら中止(延期)もやぶさかではない、と言うのが大半の意見だと思います。だからこそ、今回「国からガイドラインが出る」と聞いていたのですごく頼りにしていた。
しかし、蓋を開けてみれば、この「お願い」から「やってほしくないなー」という思いはすごくわかりますが、具体的な話が何もなく「やるなら何かあったら国はちゃんと言ったからな!自己責任やからな」と圧力をかけているだけ。じゃあ…と中止にしたところでその責任は主催にかかるわけです。うまく言葉にできないのですが、国として何とかしているポーズをとっているだけで、何かあった時に「ほら言ったやん!」って言うためだけのお願い()に思えて仕方がない。ある場所で「政府によるお気持ち表明ツイート」という表記を見かけましたが、本当にその通りだと思います。
こんなメッセージ出されたところで、主催者は余計に困るだけ。でも、参加者を含む外側の方にはこのメッセージを持って「イベントなんてやめろー!」とされてしまうリスクがあるわけです。中止しようにも「主催者が勝手に判断したこと」とされてしまい、その痛みは主催者が負う。どうあっても主催者が損するだけで、メッセージを出すだけ出した厚労省は何もしてくれない。なぜなら「お願い」だから。
最後に
いろいろ書きましたが、決して厚労省そのものの対応を批判したいわけじゃないですし、本当に現状は厳しいなか大変だなと思います。でも、こんなメッセージを出したことは決して許せないし、これならこのメッセージを準備する時間、別の対策に当てて欲しかった。そう思います。
あまりにがまんできなかったのでnoteを書き始めましたが、ちょっと怒りが収まってきたので、晩御飯にCoCo壱のカレーを食べて、イベントをどうするか考えようと思います。
乱文・長文すみませんでした。いろいろ感情任せな発言もありますが、主催のプレッシャー故だと解釈いただき、何卒ご容赦いただけましたら幸いです。もし延期になったら、かなり僕がお金を払わなきゃいけないので、サポートしてもらえると嬉しいです(ゲス顔
最後まで読んでいただきありがとうございました。
サポートしていただけると嬉しさのあまり裸踊りします。嘘です。でも本当にそれぐらい嬉しいです。 頂いたお金は活動に充てると言いたいですが、おいしいもの食べるのに使ったらすみません。