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天命ガラガラ

大阪というところは、油断できない街である。
いつどこで、まるでコントのような会話に遭遇するかわからない。

ある日、大阪南部にあるN駅直結のショッピングモールで服を選んでいた私のすぐ側で、三人組のご婦人が服を見ていた。
年の頃はアラコキだろうか。この世代の大阪女性にありがちな非常に賑やかな声で、いやでも耳に入ってくる。

A「いやっ!あんた、これええんちゃうのん!」
B「ほんま、ええ色やわ。ちょっと着てみよかしら」
どうやら、婦人Bの服を買うのに付き合っている様子。

ちなみに、大阪で「いやっ!」というのは「No way!」の意味ではなく驚き・感心・気付き等に使われる感嘆詞であり、女性の会話に頻出する言葉である。

C「せやけどあんた、これ丈みじこぅない?腰冷えるで」
B「いやっ(あててみながら)ほんま、オシリ出てまうなぁ」
A「女はオシリ冷やしたらあかんでぇ~?」
B「まぁ女はだいぶん長いこと前に閉店ガラガラしたけどな!」
A・B・C(キャッキャと大笑い)

A「そんでもオシリ冷たいのはかなわんて。長いロングのやつにしとき」
B「そやな。オシリ隠れるぐらい長いロングの方がええわ」
C「ちょお待って。長いとロングて、一緒ちゃうん?」
A・B・C(また大笑い)

B「ほな私、短いショートヘアやな」
A・B・C(爆笑)
かなりツボに入ったらしく、なかなか止まらない。

A「もうちょっとしてヨタヨタしてきたら、みんなで短いショートステイ行こな」
A・B・C「なー♪」

横で聞いてて吹き出しそうになりながらも、すごく和んだ。
こんな楽しいんだったら、歳を取るのも悪くないなぁ。
ばーちゃんたち、天命が閉店ガラガラするまで元気で笑っててね。

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