昨日で8年、現状と今後
昨日8月26日で、宿を始めて8年たちました。今年は3月末以降いろいろなことが起きました。7千文字を超える長文になりますが、最後まで読んでくださると幸いです。
まずは近況報告です
7月25日(木)の午後、猛暑の中で体調を崩しました。吐き気が酷くて昼も夜も翌朝も食事が採れず、金曜日に個人病院で点滴を受けましたが、27日(土)に再発したため28日(日)に総合病院の休日診療へ。そこで強制入院を示唆され、米子の総合病院で検査を受けました。その結果、血圧の異常な上昇と腎臓の不調が発覚。入院の話も出ましたが、夏休みに入る時期の休業は難しく、薬で押さえる選択にしました。
幸い2日後には普段どおりの食事が採れるようになり、7月31日から宿を再開(6日間休業)。8月は1日当たりの宿泊人数を制限しつつ、少し絞り込んで営業しました。
この経緯をInstagramのストーリーで載せたところ、普段の倍以上の閲覧と大量の温かいメッセージをいただきました。親交が長い人はもちろん、ほんの少しご案内しただけの人や、5年も前の満室の日の宿泊で大して話もできなかった人からもご連絡をいただき、先日は、夜行バスで帰る前の1時間しか滞在できない中でわざわざ境線で往復して立ち寄ってくださった人もいて、すごく感激しました。
あらためて感謝とお礼を申し上げます。
昨日、再度検査を受けたところ「少し改善したが…」でした。入院治療が理想ではあり、当初は自分も、9月は予約を停止して入院を考えてはいたのですが、8月末からの予約変更やリピーターの学生さんからの直予約で2週間以上続けて閉められなくなったのと、予約管理の難しさなどもあって「通院回数を増やす」にしました。当面、月2~3回通うことになります。
通院時や緊急時、繁忙期だけ頼む人がいればありがたく、ヘルパーも考えてはいますが、最初からすべて自分で行ってきたので、悩んでいます。水木しげるロードの観光コンテンツが好きで、旅人さんへの愛情の下で長期滞在したい人がいれば、食事と寝床を提供して緊急時だけ対応してもらえればいいのですが――、「業務を手伝ってもらう」にはしたくないので(それより観光してほしい)。
9月以降の予約は、暫く8月と同様「1日当たりの最大人数を5~6人以内に制限」。今までどおり「単なる商売」ではなく「ファンベースの在り方」で、お互いが楽しめる空間をつくっていきます。現状、予約は10月後半と11月後半にやや偏っていて、9月~10月中旬は僅かです。
熱いお言葉に感謝を込めて
そこで、最初にご報告した際に対し温かいメッセージをくださった人(❤️などのリアクションも含みます)には、感謝を込めて2025年3月31日まで「一般3,000円、学生および新卒社会人1年目の人2,400円」で対応いたします(諸条件は下記参照)。
無理しない配慮をしつつも、自分にとっては旅人さんの存在がなければ生きていく甲斐がありません。できれば連泊や、平日に来てくださるとありがたいです。
※対応は次の条件となります。
◎LINEまたはInstagramのDMでの直予約のみ
◎グループやご家族は合計3人以内でご利用の場合のみ
◎連泊の場合、日曜~木曜は300円割引(祝祭日と年末年始は除く)
◎冷暖房費などの追加徴収なし
◎学生および新卒社会人1年目の人は、期間中は何度でも可
◎前日17時までに要予約
◎女性グループは新規の同行者も対象
◎3連休は一人旅のみ対象
◎水木しげる生誕祭の前日と当日は対象外
◎一般と学生が混在する場合(親子など)・男女混合の場合は、上記ではなく通常料金の合算から《人数×300円》を減額
「これから」への思案
そして今後ですが、まずは来年2025年の3月までを見据えています。
そして、再来年「2026年3月」を一つの区切りと考えています。
最大の理由は、現在、最も多くご宿泊いただいている人が高校2年生で、ここで卒業となるためです。自身のその後は地元に帰るか、東北あたりに移住するか、境港で宿を続けるのか――。いずれにしても、旅人さんとかかわっていれば気力は漲りますから、精神的な在ダメージを受けなければ簡単には倒れないと信じています(もちろん無理はしません)。
その後、自分の健康状態次第で1年ごとに考えていくことになると思います。まずは7カ月突っ走って、次の1年を見据えます。
なお、不可抗力が起こらない限り、宿をやめるのは「3月下旬」と決めています。これは、うちの方向性に合う客層が「12月~3月中旬」に最も多くなるため。町全体としても行楽型にならないことで、自分の気持ちが安らげます。連泊率やリピーター率が高い時期に、気持ちよく終えたいです。
年頭からの宿の状況
1月はかなり順調でした。2~3月中旬も、過去最高となった昨年よりは大きく下がったものの、例年比では微減で済みました。ただ、3月下旬以降は苦戦。「冬は《目的地意識》の強い人が多い」のが、温かくなると一気に「行楽型」に変化するため、どうしても相性が合いにくくなります。4~5月こそ記念館が休館中だった昨年より増えたものの6~7月は低調、8月はリピーターさんや連泊の多さに助けられましたが新規予約を抑えたのもあって昨年の微増程度で終えそうで、総宿泊人数は昨年とほぼ同じです。リピーターさんは増えているものの、宿の探し方の変化もあって新規に響きにくくなりました。大学生のご利用が落ち込んでいるのも痛手です(2人組は入りますが、一人旅が減少)。
ある出来事で酷く病む…
そんな中、3月下旬、精神的に強く病むことが起こりました。詳しくは記しませんが、ある人物によるうちの宿泊者への迷惑行為が起因です。「《目的地意識》や《知的好奇心》を持って楽しみに来ている人」への想いがない人から権力や集団の強さを盾に圧力をかけられて滅入り、心療内科への通院を検討したほどでした(結局は病院の方向性と合わず相談だけで終えましたが、5月末にかけて気持ちが不安定になっていました)。
実は6月末に「東京都内~いわき~仙台~石巻」と旅したのは、今までかかわってきた旅仲間さんとお会いして話したかったのに加え「来年3月で宿をやめて仙台か石巻へ移住したい」という考えが強くなっていたためです。
宿のコンセプトの《旅を知る、学ぶ》にもあるとおり、うちは単なる宿としてだけでなく高校生や大学生など次世代を担っていく若年層に「旅の知恵や工夫を身に付けて楽しんでいただくための居場所」でもありたいと思っています。23年こそ地元の高校生と都会の大学生を繋ぐ形の宿泊がありましたし、それまでも卒論や研究でのご宿泊にも対応してきましたが、これを境港で広げていくのは難しいと感じていたので、違う土地で、違う方向で「旅と若者を結び付けられたら」とも考えました。
コロナ禍で世の中の流れに反発し「マイカー行楽型の人を取らない方針」を強化したため、人の動き自体が戻りつつある22年以降は、4~11月の集客に苦戦しています。全国旅行支援の在り方など政策面から「旅・旅行」の在り方が変化しましたし、水木しげるロード自体もテーマパーク化と商業化が進んだと感じ、うちが目指す客層と一致する人が減りつつあるとも言えます。
もともとの「まちづくりから観光振興に導いた方向性と、コンテンツの在り方」に惹かれた自分としては旅人目線で意見や要望を述べますが、世の中の流れや地域の方針には反逆する要素もあるために「すれ違い」が起こって批判も増え、厳しい状態が続きます。
春先はかなりモチベーションを落としましたが、それでも「想いに共感してくださる人を大切にする」ために定めた方針ですし、「予約ルールの遵守」も絶対でありたいですし、インバウンドや海外サイトでの販売も「コンセプトを売る」にできないため手を出しません。
満室にすることよりも客層や相性を良くすることに拘り、観光案内などの強化を図ってリピーターさんやファンを増やしてきました。なので12月~3月は、コロナ禍でも近年も大きな変動がなく集客できているのですが…。
最寄りの書店の閉店も
さらに追い打ちをかけられるかのように、宿から約2kmの場所にあった書店が6月末に閉店し、最寄りの書店まで約6kmも離れてしまいました。自分は年200冊くらい本を読みます。それなりに購入もします。週3回くらいは書店に足を運んでいて“発掘”を楽しんでいました。身近に書店がない状態で生きるのは、自分には苦痛です。境港は図書館の蔵書量も「かなり少ない」ので、こちらも「探す楽しみ」に欠けます。古書店も1軒もありません。本は「店舗などで出会うもの」だと思っているので、非常につらいです。
病が発覚したことで移住は白紙に戻しますが、完全に諦めたわけではありません。
「旅と旅人への愛情」は負けない
とはいえ、自分が「旅と旅人への愛情」を失ったら、ただの社会不適合者でしかありません。
旅の経験や旅への想いが自分らしさの象徴で、自分が最も貢献できるとは自負しています。
実際、旅人さんとかかわっている時間が最もモチベーションが上がりますし、生きている実感もあります。特にこの8月、リピーターさんをはじめ好感度の高い旅人さんと過ごせた時間は、病を忘れていられました。
酒でのコミュニケーションが苦手な上に多数派や主流への忖度が苦手で、金と出世の話(愚痴)が蔓延る雰囲気を好めなくて会社勤めが合わないですし、趣味嗜好も男性的でないため一般的な大人社会には馴染めません。でも「《目的地意識》や《知的好奇心》を持って来てくださる旅好きな人に応えること」には自信がありますし、そのために生きていると言っても過言ではありません。
だから観光コンテンツを楽しんでいる人への案内に力を入れますし、目線は旅行者側、「部屋を売る」ではなく「コンセプトを売る」、予約ルールに違反している人を認めない、損得勘定で捉えない――などに徹しています。
ここからは余談になります
うちのコンセプトは、ここまでに記したとおり「旅を《知る、学ぶ》」宿。
細かく言えば、
「酒を飲まずに地域観光やコミュニケーションを楽しむ」
「地域の観光コンテンツに対する《目的地意識》や《知的好奇心》を持って楽しむ」
「《行楽》ではなく《旅・旅行・観光》として楽しむ」
「宿泊者同士の対等な関係性の下で過ごす」
「《非日常感》と《特別感》を楽しむ」
「なるべく公共交通機関で、時間や費用に工夫を凝らして楽しむ」
「予約時に《楽しみたい目的や理由、想い》を《感情的に》記せ、丁寧な対応ができる」
――などを重視しています。
これらとの相性や共感を軸に、棲み分けていくのが本来の在り方だと思っています。
ところが、何度か記してきたように20年3月後半の3連休「コロナ感染者がいない地域に車やバイクで行くなら構わない」という思考で「水木しげるロードの観光コンテンツに関心が薄い行楽客が殺到」しました。一方で「鉄道やバスは悪」の”空気”になっていて、たくさん人が来ても自分は全く喜べませんでした。地域の人からは当時「車なら歓迎、東京からの人はちょっと…」みたいな発言もありましたが、自分は「《目的地意識》や《知的好奇心》があれば、むしろ都会から公共交通機関で来られる人を歓迎」を打ち出したので、徐々に合わなくなりました。
その後、メッセージカード募集など独自の企画を打ち出しましたが、これも自分の狙い(緊急事態宣言や蔓延防止などの発令に関係なく、目的を楽しむために一人旅してほしい)とは、少しずれてしまいました(“空気”を読まれる人が多かったです。それが「正しい」とは思いますが、思った以上に「自分軸よりも周りへの同調が強い」と感じました)。
コロナ禍で「旅・旅行」に関する世の中の風潮が変わってしまい、マイカー行楽型が増加し、鉄道やバスの減便が起こるたびに虚しくなり、さらに21年以降は「趣味嗜好も、生き方や考え方も、雰囲気や行動も、何一つ合わない人」の存在が圧し掛かりました。どうしても合わない人は誰にでもいると思いますが、毎日少しずつストレスを積み重ねている感じです。
このあたりで、地元の人からの紹介を受けるのをやめました。帰省や法事、ビジネスマンなど「観光目的でない人」が大半でしたし、特に「ビジネス利用者を安く泊めてほしい」という要望は、旅宿としての方針とは真逆ですから、会話も弾みませんでした。ここ2年は「飲み会で、車で帰れないから泊まりたい」という問い合わせも増えていますが、コンセプトやルールを伝えてキャンセルしていただいています(大抵「門限22:30」が引っ掛かります)。
一方で23年から、リピーター率が大きく上がりました。連泊率も20・21・23年は20%を超えました(通算では14%強、今年は現時点で16%台)。これは実際に泊まる人による迷惑行為や、相性の不一致が大きく減ったからです。良い雰囲気の日が多くなって、自身も「宿泊者とかかわる時間内のストレス」が大幅に少なくなりました。
その分、地域の柵と離れたことを敵視されたり、「コンセプトやルールへの批判」や「自身が最安値で泊まれないことへの不満」も起きていますが…。自分とも宿泊者同士とも「相性」を最も大事にしたいので、毅然と対峙してはいます。
8年の間に何度かマイナーチェンジを重ねましたが、中でも17年春と21年秋は大幅な転換を行いました。
17年は、4月末で「男性専用ドミトリー」を廃止。これは予約違反が続いたのと「バイクの男性の志向が悉く合わなかったため」。自分が描く方向性に加え、子ども連れとの相性の悪さが起こったのもあります(うちは個室2室が隣り合わせで、子ども連れと男性の組み合わせになった際に、子ども連れが遠慮してしまいました。男性も子どもを泊めている状態を嫌がるので「どちらかを捨てざるを得ない」と判断しました。男性は学生や20代の一人旅が非常に少なく、40代以上のバイクや車の人ばかりに偏ってしまい「目的や楽しみ方」が違い過ぎたので)。
21年は「個室2室を同じ構成で受ける」をより強化したのと「宿泊予約サイトにおける予約プランの細分化」を行いました(世の中の流れは「シンプルに」ですが、うちは「複雑に」しました)。18年ごろ一時的に行っていた「交通手段で料金を変える」を、一部のプランで復活。また、境港駅前の展望風呂が「日替わり男女別」になって利用しづらくなった(22年6月には廃業)なども、転換の理由です(シャワールームが1つしかないので、男女が混在する際は、家族連れや男性には外湯の利用を促していました)。
うちは「ビジネス的な視点」で宿を運営しているつもりはありません。宿泊料金は徴収していますが、コンセプトやルールへの共感が強い人には、かなり割引やサービスが厚めです。料金設定を「不平等」にしていることへの批判がありますが、割引やサービスの本質的な在り方として当然だと思っていますし、上記の「交通手段で料金を変える」も、方向性としては「来てほしい客層に絞るため(公共交通機関の人を歓迎する意)」です。
「想いを持って来てくださる人に商業的な対応をする」のは、自分としては絶対に嫌です。「想いに応える」が基本理念なので観光案内は無償で行いますし「予約ルールが守られていない人には販売しない」にも徹底しています。それが「守るべきものを護る正しい在り方」だと思っています(正直な意見として、同業者の愚痴をSNSで見るたびに「商売として人を捉えていれば、不泊や迷惑行為が起こるのは当然では」と感じることは多々あります。これらは「《予約=契約》の意識が低い人が犯す」と思うので。うちは当日現金決済のみで「6年9か月不泊なし」ですし、飲酒喫煙が絡む迷惑行為も皆無です)。
「ルールの制定や変更」には「原因や経緯、根拠や理由」があります。
「何を迷惑行為と捉えるか」は人によっても異なり「これがうちの方針です」としか言いようがありません。
例えば「うちはバイクの男性が静かにしてくれなくて困っていた」のに「バイクの人は静かに寝たいですからね」と言われても「静か」の定義が違うから応じられません。「正しさ」の認識も異なるため「相性」も合いません(余談ですが、予約時に記載していただいている「境港に泊まる目的や理由、楽しみたいこと(具体的に)」に、男性のバイク乗りの大半が「ツーリング」と書かれました。でもそれは「手段を楽しむ」であり「境港に泊まる」とは全く関係がないと感じ、どうしても好めませんでした。実際「バイクの男性が地域の観光コンテンツに関心を示さない」が顕著で、うちの《目的地意識を重視する方針》」と、過ごし方が違いすぎました)。
また近年、特に「安ければ何でもいい人」から「コンセプトやルールを変えろ」と言われることが増えたのも残念です。「安く」は「コンセプトやルールへの共感」が絶対ですし、柔軟な対応は「《目的地意識》や《知的好奇心》に基づく場合」に行うものです(実際、予約時に「楽しみたい想いを熱く記してくださる」なら、例外を認めています)。
最後に、実際に泊まっていない住民などの勝手な投稿などは放置していましたが「原因や経緯、根拠や理由を知らないのに、印象と嫌悪で悪いほうに脚色される」ので、この機会に対処していく予定です。
そんな中で1件だけ記しますが「観光客が言うならいいけれど住民が言うのはおかしい」と述べた人については、最も悲しく思っています。うちは基本的に「よそから来られる旅・旅行・観光の人」が対象の宿ですから「外からの意見や要望」に沿うのが当然。旅人さんに寄り添わない忖度や同調は、自分にはできません。「住民だから地域の柵に染まれ」と批判されるのは、虚しすぎます。
いわゆる“サクラ”を使うような商業的戦術も嫌いですし、他人の評価よりも自分の言葉を信じていただくのに徹したかったので、むしろ今まで「良い感想でも書いてもらわない方針」を採っていました。ただ、現状を打破するためにも、共感してくださる人による応援と、悪意への通報のご協力をいただければ幸いです。
後半は多少、話が逸れましたが、今の心境と実情です。共感してくださっている人に8年における「現状への原因や経緯、根拠や理由」を伝えて起きたくて、長文になりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。