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境港と遠野のつながり

先日、「岩手県遠野市が大好きで、岩手ばかり旅している」という40代女性にご宿泊いただきました。

15時過ぎにご到着してすぐ美保神社へお参りされ、翌日は朝から「海岸」で朝食を採って水産物直売センターあたりを楽しんだ後、水木しげるロードを観光。その後は鳥取砂丘方面へ向かい、3泊4日で鳥取縦断の旅を楽しまれたそうです。

岩手県遠野市は、柳田國男の『遠野物語』の舞台となった町で、河童や座敷童子などが登場する「遠野民話」の伝承で知られる山間の町。人口は2万8千人強と境港よりも少なく、過疎化・高齢化が進んでいます。
遠野市の観光振興は「“物語”が息づき、心と自然がふれあう故郷遠野」をコンセプトに、日帰り型から宿泊型への転換を目指しており、「『物語』というソフトの充実」「市街地観光の再構築」「語り部等人材活用の見直し」など15項目の対策構想をまとめています。

この遠野市と境港市は「妖怪文化の普及に貢献した地域」として繋がりがあります。
「世界妖怪協会」(永久会長:水木しげる)が遠野市・境港市・徳島県三好市を「怪遺産」に認定している縁で、地域活性化の推進や観光誘客を図ることを目的として、毎年「怪フォーラム」を3県持ち回りで行っています。今年は遠野市で、来年は境港市で開催予定です。
(なお、濃い繋がりはありますが「友好都市」の関係は結ばれておりません)

自分も岩手県は「好きな都道府県ベスト5」に入る地(北海道・青森・岩手・鳥取・島根がベスト5、秋田・宮城・山口が僅差で次点)。
特にこの遠野市と、宮沢賢治ゆかりの地で童話館や記念館がある「花巻市」、鉄の町として知られる「釜石市」、浄土ヶ浜などの景勝地がある「宮古市」、「あまちゃん」で一躍有名になった「久慈市」は大好きです。
初めて遠野を訪ねたのは1994年か95年で、夏の初めごろでした。あまり天候が良くなく肌寒い中を自転車を借り、まさに「飛行船」の「遠野物語」の歌詞(後述)のごとく「福泉寺」や「カッパ淵」などの名所を駆け巡りました。その後4回、訪問しています。

(写真は2014年に訪ねた時のもの。この時は市街地のみを観光。遠野駅にはホテル「フォルクローロ遠野」が併設されていました)

ご宿泊いただいた女性は「遠野ユースホステル」を愛好しているようで、遠野観光の現状に関する話をいろいろ聞かせていただくことができました。自分は、JR釜石線遠野駅駅舎に併設されていたホテル「フォルクローロ遠野」を愛用していたのですが、駅舎の改築に伴って2015年に廃業したのが残念です。駅前には「河童の衣装で接客するおっちゃんがいる名物飲食店」があったのですが、こちらも今はないと聞き、残念です。
また、遠野市には現在、産業体験と一体化したゲストハウスがつくられていますが、外部からの人が運営しているようで、地域おこしとしては住民との関係性で課題もあるようです。

今年の「怪フォーラム」は、まだ日程が分かりませんが、状況次第では休業して駆け付けることも検討しています。
また、来年3月末には、東日本大震災で甚大な被害を受けたJR山田線「釜石—宮古」間が、実に8年の時を経て開通。JRから「三陸鉄道」に移管され、南北に分断されていた「リアス線」が、「盛」(大船渡市)から「久慈」まで一本で繋がります。この復旧後は、必ず旅に出ようと決意しています(花巻の大沢温泉で行けずじまいとなっている地もありますし、宮沢賢治童話村は何度でも行きたいので)。

最後に、私と親交がある釜石市出身の歌手・あんべ光俊さんが、飛行船というフォークグループを結成していたころの名曲「遠野物語」の歌詞の一部を紹介。この歌は自分の中で「後世に残したい昭和の名曲ベスト5」の一つです!(ちなみにNSPも1982年に「遠野物語」という曲を発表しています)

時刻表の地図を指でなぞってゆくと
心のアルバムにしまってた なつかしい駅につく
最后の夏だから 思い出だけがほしかった
人を傷つけても それを思い出にした

遠野の町に 白い日記を ボストンバッグに つめて来た僕に
昔々のおとぎ話で ページを埋めてくれた君

明日は帰るという 月夜の晩の福泉寺
好きだと口づけた すすきの野辺よ

(——中略——)

遠野の町を 自転車に乗りすずんだ 笛吹峠で
この町が好きと云った 君の眼は仔馬のように 澄んでいた

あの町に帰りたい あの頃をやり直したい
今でも残っているだろか 古い曲り家よ

「遠野物語」/作詞・作曲:安部光俊/歌:飛行船(1976年8月発売)

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