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旅人さんが来ない

1月は厳しい現実を突き付けられました。
インフルエンザが流行するなどで、年末から1月上旬にかけて連泊の2組を含み5組もキャンセルが発生。中旬は全く予約が入らず。昨年との比較では30%弱、一昨年と比べても半分程度。過去最低こそ免れましたが、9年間で3番目に少ない入り込み数になりました。
さらに2月の予約がごく僅かで、こちらも過去最低を更新しそうなほど。3月以降も「水木しげる生誕祭」など特定日に偏っている状態。物価高騰なども影響し「近隣行楽型」になっている感じです。例年、冬は「目的地意識の強い人」が多く、連泊率が高くて好感度の高い人に恵まれるのですが、特にインフルエンザの大流行は「都市部から公共交通機関で旅する人が減る」ので痛手です。
 
うちの在り方は「目的計画型の旅人さん向け」が強め。昨年はリードタイム(予約から来られるまでの日数)が長めの人が多く、事前メールのやり取りでうまくコミュニケーションを図れただけに、もどかしい状況。
客層が行楽型に変化する4月以降が期待できないだけに、3月までにどれだけ入るかが鍵ですが…。
 
開業から8年半、年々、宿の探し方が「簡単・便利」を優先する感じに変わってきたのを感じます。
うちは「記載していただく必要事項」が多く、電話を不可にするなど「簡単に予約できる」を採用していませんし、海外サイトにも掲載していません。特に週末繁忙期はミスマッチが起こりやすくなるので「無作為に売る」のは避けています。「宿泊者同士の対等な関係性が崩れる」にはしたくないので、かなり「相性」を重視。これは8年半かけて、年代や性別、人数構成、交通手段や時期ーーなどによる傾向を掴んだ上での策です。
キャッシュレスを導入しないなどへの否定的な声も増えてきましたが、決して高額ではないですし、無機質な利便性よりは「心の通ったサービス」を強化しています。そんな“想い”を理解していただきにくいのは、無念。「情報や案内は要らないから値引きして/学生料金が安すぎるのは狡い/いろいろ書くのが面倒」などと言われる人が減らないのは、虚しくなります。
「旅」そのものが好きな人、地域の観光コンテンツに「知る、学ぶ」想いがある人に応える自信はあります。そんな人自体が減ってしまっているかもしれませんが、「旅の非日常感や特別感を楽しむ」として「便利」や「安易」で決めないでほしいとは思います。
 
21年夏以降に大きく方針を変えたことで、ここ2年は高校生のご利用とリピーターさんが増えてきていますし、ご案内からのご宿泊も一定数ありますが、どうしても新規に響きません。
正直、地域の柵や付き合いを捨てたことで「合ったことも話したこともない人」から誇張された悪意ある口コミを書かれる影響も受けています。基本的には放置していますが「無関係」と割り切ってくれない人がいるのは、残念です。
物事には原因や経緯、根拠や理由がありますし、自分なりのコンセプトを明確に持って運営しているつもりですから――。
 
うちの在り方が、世の中の主流に反しているのは確かです。そのためにいろいろと批判を受けますが、自分としては「旅宿」として「地域コンテンツを楽しみに来られる《旅や旅行の人》に来てほしい」だけです。
「旅・旅行」と「行楽」は絶対的に違うもの。その“棲み分け”よりも「損得勘定」や「便利さ」が勝ったり、逆に「うちのコンセプトと合わないタイプ」から「ルールや方針の妥協や変更を言われる」のは虚しくなります。また、その延長として「周りの“空気に乗る”ほうが正しい」と敵視されるのも納得はできません。コンセプトを曲げたくはない葛藤と、心の中で闘っている歯痒い状態です。

運営していくための収益に満たず厳しい状況ですが、自分は日常社会的には不適応者なので、地域の柵や付き合いが絡む「企業で働く」のは無理ですし、クラウドファンディングは一度、失敗しているのもあるのと「実際に泊まっていない人からお金をいただく」に抵抗があります(キャンセル料こそ規定に基づいて請求しますが、絶対に払っていただくよりは「不満がある人は来なくてもいい」が強いです)。
 
以前にも記したとおり、高校2年生のリピーターさんが卒業となる26年3月末までは耐えるつもりです。ただ、心が折れかけているのも事実。好感度の高い旅人さんやリピーターさんが来てくださることに喜びつつも、絶対数が伸びないと「かかわりたくない日常」へのストレスが募ります。
 
なので、みんな、もっと「旅」をしましょう――。
「旅」を愛し、「旅」を学ばれる人には、絶対に厚く応えますから――。

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