1月以降も「全国旅行支援」に参画しません。
先日、来年1月10日以降も「全国旅行支援」が継続されると発表され、基準ルールも概ね確定しました。当宿は10月の開始時に不参画を選択しましたが、再検討した結果、1月以降も参画を見送ります。その分、今まで以上に観光案内や情報提供とサービスに努め「目的地意識」を持って来てくださる旅人さんに尽くしますので、ご理解・ご了承よろしくお願いいたします。
参画しない理由は、次のとおりです。
※①:割引したい対象ほどクーポンが付かなくなるため、基本料金を値上げする必要がある
※②:クーポンは本来、宿泊とは関係ないものなので、付与するために宿泊料金を変えたくない
※③:②と関連した見解として、そもそもクーポンの付与に賛同できない
※④:ワクチン3回接種の条件に賛同できない
まず個人客の場合、当宿の平日の料金設定で最も安いプランは、以下のとおりです。
※Ⅰ:学生および新卒社会人1年目の女性=1人あたり2,400円
※Ⅱ:同・連泊=1人あたり2,100円×日数
この場合、クーポンを付与する場合の1人あたりの最低宿泊料金が《平日=3,000円》なので、クーポンが渡せなくなります。今までの《平日=5,000円》よりも差額は小さいですが、割引率も20%に下がったため、「※Ⅱ」の料金を3,000円に値上げすると「宿泊者の支払額は2,400円(3,000円×80%)」となり、もともとの金額(2,100円)より高くなってしまいます。また、公正さを保つために「ほかのプランも“玉突き”で値上げしなければならず「支払額」としては今までより高くなってしまいます。
個人的には「宿泊料金が≪公正≫であるか」に基づいて販売したいと考えています。「クーポンが付くから実質○○円」ではなく「純粋に宿泊代だけで捉えるのが《宿》としての正しい在り方」だと思いますが、本来は”別物”であるべきクーポンを「宿で渡す」ために、宿泊代金に含めて考えざるを得ないことが、足枷になっています。
それでも、まだ個人客の場合は、最大900円を“玉突き”に値上げしても、実際の支払額は最大300円上がるだけなので、大きな差は出ません。問題は「未就学児が含まれる場合の最低基準」で、こちらは人数や構成によって値段が変わるため、下記のような状態になってしまい、公正さを保つ料金設定が、ほぼ不可能です(親・小中学生・未就学児すべてを1,200円上げるしか解決方法がないが、それでは「高校・大学生よりも小中学生のほうがが高くなる」という矛盾も起こる)。
※:母子旅(母親+未就学児2人)=4,200円+600円+600円=5,400円(クーポン付与には3,600円不足)
※:母子旅(母親+未就学児1人)=4,200円+600円=4,800円(同1,200円不足)
※:母子旅(母親+小中学生1人+未就学児1人)=4,200円+2,400円+600円=7,200円(同1,800円不足)
10~12月の制度だと「どのプランでも平日は基準額に満たない」でしたが、今回の改定で「本来、宿として割引したい《学生および新卒社会人1年目の人》や《未就学児連れの母子旅》などだけクーポンが付与できない」となってしまい「実質〇円の考え方だと、逆転現象が起きてしまう」のです。
これでは「参画するほうが、安くしたい人への恩恵にならない」ので、自分の気持ちとして納得できません。また、ワクチン接種の回数よりも「地域コンテンツに興味があり、予約段階からルールやマナーが守られている人を安くしたい」という気持ちもあります。
そこで今回も、参画を見送りました。10~12月は「女性1~4名でご宿泊の場合」の料金のみ、少し値下げしましたが、こちらは概ね適用しつつ、一部見直します。なお「片親+子ども(特に未就学児が複数人)」だと、女性専用ドミトリーの最低料金以下になることもあるため、今回も変更の必要がないと判断しました。また、ご大人のみ男女2名以上/男性のみについては、車主体になるため「公共交通機関で来てくださる人を安くする方針」を重視し、こちらも変更しません。
以上、ご理解・ご了承をお願いいたします。
なお、制度開始後の状況としては、10月下旬~11月上旬は隠岐へ向かわれる人など「鳥取県のクーポンは要らない」を客観的に判断できる人に、結構ご宿泊いただきました。一方で、電話が鳴る回数が増えましたし(現在はSMSのみで対応で、殆どが返答なく詳細不明)、11月に入ってからはビジネス利用の男性などから「ルールは守らないが安く泊まりたい」といった、悪質な問い合わせが複数発生し、勝手な批判もありました。また「《学生および新卒社会人1年目の人》のプランに、該当しない年代の人が予約/ファミリー専用で最も安い《母子旅》プランに、年配の男性が予約」も、多数ありました。後者は却下ですが、前者も間違いを伝えると料金差を納得されず“逆ギレ”されてのキャンセルばかり起こりました。「安さだけ」に惑わされる人ばかりが動いているのは、残念です。客層の変化もあって、11月と12月は、昨年の半分もご利用がありません。
不参画によるキャンセルは2件だけでしたが、ともに「土曜・車・40代」。逆に宿泊は35歳以下か50歳以上の社会人の一人旅に偏りました。今まで以上に「複数人」が減り、ファミリーも含めて3人以上は、1家族だけです。町の動向を見ても、年配者や高齢者のグループが急増した一方で「学生が旅していない/女性の一人旅の年齢層が高い」が顕著でした。
12月後半以降は、車やバイクで来る人が減り「目的地意識の強い人」が増えます。うちにとっては、客層が良くなる時期。表面的な安さに惑わされない人が、楽しみに来てくださるのを願うばかりです(数は少ないですが、今のところ1月以降の予約は良い人ばかり)。「旅宿」として、コンセプトやルールに「共感」してご宿泊いただける人への「心を込めたサービス」に努めることが大事だと思っていますので、地域を楽しむ“想い”のある人を、心よりお待ちしています。