「予約ルール」だけを厳しくしている理由
「人は自分が思っているほど『文章を読まない』」。
10数年、地方新聞社に勤めていて学んだこと。「読者」とは「よむもの」と書くけれど、実際は「見出しと写真だけ“見て”、それで終わり」、という人が多い。読んでいただけるよう引き込むのが見出しや写真の「役割」なのだが、そこで「読んだような気になってしまう」のが現実。
だからよく、言われてきた。
「読者は、書き手が思っているほど賢くない」と。
すごく「上から目線」の、嫌な言い方ではあるが、「記事の内容なんて読んでもらえないもの」と思って書かなかければならないのだ。
写真付きの人物紹介的な記事が載ると顕著なのだが、「何で載ったか」ではなく「載っていた人」としてだけ捉えられてしまう(地方紙は特にそう。だからうちは取材の要請で喧嘩になった)。“見た”人から「あなた新聞に載っていましたね」と言われるばかりで、内容にまで導かれている人は、ごく僅かでしかない。
実は11月某日の予約で、プラン内容に合致しないか記載漏れや誤りがある、つまり「内容を読まずに予約される」ケースが相次いでいる。
この日は鳥取市内で、ある大規模イベントが行われる余波で「ご夫婦や大人のみのグループ(特に60代以上)」からの予約が多い。ところがプラン内容に合致しないか必要事項の記載がないので、その時点では予約は成立できない。
「ほかの地域での催しで宿泊が不足するケース」は、境港周辺での観光目的などもなく、うちでは満足していただけない。しかも、ほとんどが「ゲストハウスの様式を分かっていない」ため、来ていただいてからご不満を述べられるのは困るので致し方ない。「ゲストハウス」自体が万人受けするわけではないのに、さらに独自性を持たせている以上、「ほかに空いている宿がないから」と言っても、詳細を再確認していただかずに予約を受けてはならないと思っている。
再確認で正しく予約が成立すれば受理するのだが、90%はキャンセルになる。ちなみに5月某日も同様のケースがあり、この日も不成立予約が5件発生した挙句、結局は空室があった。
うちに入ってくる事前予約は概ね「年齢が下がるほどマナーが良く、ちゃんとホームページを読んでくださっている」と感じる。年齢が上がるにつれて誤りや記入漏れが多くなる。
小説などいわゆる一般書などは「若者の読書離れ」があるのかもしれないが、理解力不足や「読み飛ばす」のは、むしろ「新聞を“見て”いる世代」のほうが圧倒的。「読まずに電話」も、そうだ。
分かりやすく、易しく端的に記すことは、必要かもしれない。
だが「それ以前」の段階で躓いていたら、一緒のこと。
ネット予約における誤りは、「紙媒体の世代」と「スマホやPCで読むことに慣れている世代」の影響もあるだろうが、年齢が上がるにつれて「読む」「調べる」ことをせず、安易に「聞く」傾向が強いこともある感じだ。
うちの宿は「ゲストハウス初めてです」、という女性のご利用が非常に多く、一人旅は約4割、2人以上のグループに関しては7割を超える。「10回以上」という人は、ほとんどどいない。
また、長旅の人でも女性は、うち以外ではホテルや旅館、あるいはネットカフェや漫画喫茶を利用するという人が多い。「絶対ゲストハウスしか泊まらない」ような人はほとんどおらず「自分に合う宿かどうか」をよく調べている。
そのような「初心者・未経験者向け」には拘っているので、「予約ルール」だけは厳しくしている。
初期段階で「文書」による確実な対応ができることが、信頼関係を築く第一歩になるからだ。だから初心者が多くなるとも言える。
そこは、大切にしていきたい拘りの部分。
決して敷居を高くしているつもりはなく、排他的に考えているつもりもない。個性豊かな独特の宿だけに「事前にある程度知ったうえで利用してほしい」だけ。そして「トラブルは事前に回避したい」だけ。
「コンセプトを理解して、うちを選んでくださった人」に対しては、すごく緩く、柔軟に応えているつもりだから、「予約ルール」だけは、よく読んで、守って連絡して来てほしいと願っている――。
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