年代と構成が揃い、盛況に
昨日3月8日に行われる予定だった「水木しげる生誕祭」は中止、前日の関連イベントもなくなりましたが、水木先生の「生誕日」として、中止になっても水木しげるロード観光に来てくださる人も結構いました。
宿泊は前日と合わせて「13人で、10人が連泊」(延べ23人分)の予定でしたが、3日からご宿泊いただいていた札幌からの“卒論組”と合わせて「6人」、全員が連泊で「12人分」と、約半分になりました。「社会人1人」はすべてキャンセルになり「職場から止められたから」の人もいて、日本の会社体質に少し考えさせられることもありました。
結果的に、6人が2日とも同じメンバーで集い、しかも「2人組×3」で「年齢差が僅か2」。同世代が揃ったうえに構成も同じだったので初日からかなり打ち解け、8日はリピーターさんが用意してくださったケーキで「水木先生の生誕日を祝う会」を行いました。
もともと「生誕祭参加者」に絞って予約を受け付けていたので、全員が予定通り来られていても同じような雰囲気になったと思いますが、年代と構成が揃ったので、より「相性」が良くなりました。7日夜は午前2時半まで全員で盛り上がり、8日夜もケーキを頂いた後、みんなで夜間ライトアップを見に行かれるなど「一体感」が生まれ、「対等性」と「健全さ」も保たれて親密度が濃かったです。
今回、キャンセルで出た空室は「一般」に販売しませんでした。ここに例えば、年代が大きく異なる人、水木先生や作品に詳しくない人、あるいは観光以外の人が混ざると“浮いて”しまいますし、ファミリーを受け入れても就寝時間の違いなどが生じます。
「イベント時などは同じ目的の人で揃える」に徹しつつ、少しの緊張感や距離感、そして対等性や健全さを大切にしたいので「既に出来上がっているグループだけで埋めない」ように販売しています。
また、基本的に「宿泊者がいる時間帯は、地域住民の立ち入りは不可」というルールですが、これは「対等性」が失われることが大きな要因です。地域の人と遠方からの人が混在した場合、地域の人は「自分に近い位置づけ」になり、宿泊者同士の「対等性」が失われてしまいます。まちづくりから発展した観光地ですから、地域交流は「宿の外」で可能です(本来それが水木しげるロードのコンセプト)。
一昨年の夏ごろから、複数回ご宿泊いただいているリピーターさんが増えてきましたが、来られるのはせいぜい年2回以内ですし、最低限の節度が失われることはありません。「リピーターと常連の違い」で、あくまでも「まちの観光が目的で、そのための拠点として生かしていただく」でありたいです。
ちなみに8日、水木しげる記念館の無料開放は行われましたので、多くの人が行かれたようです。
ただ、無料開放を知らずに来た人のほうが多く、全体の傾向として、もともと生誕祭に来る予定だった人よりも「天気が回復したから近隣から観光に来た人」のほうが主になった感じ。実際、グループ旅行タイプが結構いた一方で、大量にグッズを買っている人などは、あまり見掛けませんでした。
特に「コスプレ組」はキャンセルが多かったようで「中止になっても仮装するぞ」という声が事前に上がっていた割には、仮装して観光されていたのは一部の人だけでした(常連組や近隣からの人です)。
これについては、まちをにぎやかに盛り上げるという良い面がある一方で、交通規制を行わない中で仮装することへの否定的な声もありました。中止の経緯を考えると「衣装程度が許容範囲か」とは思いました。
1~2月の集客が昨年の3割しかなく、さらにイベント中止によるキャンセルは大きな痛手でしたが、かえっていろいろなことを考えさせられるきっかけともなりました。
この後の見通しも厳しいですが、今回キャンセルになった人たちも「年内の再訪」への想いを馳せています。本質的な「まちのファン」が集う空間として、何とか乗り切っていければと思っています。