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「学ぶため」でのご宿泊

毎年1~2組ほど「水木しげるロードのまちづくりについて卒論で取り上げるため」にご宿泊いただきます。また、メールや郵送でアンケート形式の資料が送られてきて回答するケースもありますが、こちらは「宿泊業」に関するテーマが多いです。

昨年末も、修士論文の研究調査で来られた大学院生にご宿泊いただきました。
今回のテーマが「創世期からの変遷」に関するものだったので、うちにある古い資料(1999年に作ら
れた、水木しげるロードのまちづくり計画案など)や、まちづくり関連の書籍(2007年以前のロードを扱ったものが多い)を活用していただきました。

ロード内の住民や商店主だけでなく、周辺地域も調査対象に加えていたため、統計として「反対/無関心」が多いことや、ロード内でも回答率や関心度に偏りがあることに驚いていましたが、実際に来られて直接的な意見に触れ、実際の観光客の動向を見られたことで、机上では計りにくいものを感じ取ってくださったようです。

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また、最初に卒論でご宿泊いただいた2人組は山口県下関からで、隣接する北九州市との繋がりを濃く持たれていました。
北九州市も「漫画ミュージアム」があり、サブカルチャーをまちづくりの一環としています。それも関連しての卒論でしたので、水木ロードで学んだことを北九州市にも取り入れられれば、と話していました。

先週ご宿泊いただいた大学生も、まちづくり系を学ばれており「町そのもの」への関心が強めでした。

全体的な客層は「水木先生や作品のファン、あるいはアニメで興味を持ったご家族」が多いですが、時折、こうした「学び」に繋がる学生が入ります。総じて、真面目で客観的な視点があり、“想い”の強さが感じられます。漁港なども併せて観光されるのも特徴です。

宿としての基軸は「旅そのものと境港・水木しげるロードを楽しむ」で、観光地型に特化していますが、加えて「旅を知り、学ぶ空間」でありたく、その方向づけを行っています。「調べる、考える」ことで「旅の満足度を高める」、それが指針の一つです。
また、自分も「アニメや漫画を取り入れた」先鋭的で前例がない「まちづくり」が好きで、約20年、観光客として楽しんできましたので、その「原点」や「本質」を多くの人に感じ取ってほしいと願っています。

旅として「水木しげるロードを楽しむ」うえで、表面的な見どころだけでなく「歴史や経緯」も知れば、より“感じるもの”は増える――、それが「観光+旅」のようなもの、と捉えています。

研究内容が密度の高いものになってほしいのはもちろんのこと、併せてご自身の居住地域や、ほかの観光地の取り組みへも、参考にしたり課題の検証に生かしてほしいと思います。


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