四文転結の役 選評:松本エムザ
【四文転結の役】ベスト10・松本エムザ選
作者(敬称略)アカウント・タイトル・リンクの順で
1位: A級コネクタ@『ハッカー・ゲーム』発売中! @aq_conecone
『奇病』
『奇病』
— A級コネクタ@『ハッカー・ゲーム』発売中! (@aq_conecone) November 26, 2020
それと、もう一つだけみんなに言っておくことがある。
私は記憶が二文しか保てない病にかかってしまったらしい。
それと、もう一つだけみんなに言っておくことがある。
私は記憶が二文しか保てない病にかかってしまったらしい。#四文転結の役
四文のうちの二文が同文という大胆さ。更にそれがしっかり四文転結しているという、技の光る一作。いきなり「ところで」から始まる冒頭で、一気にグッと引き込まれました。
2位: 波流人 @_halto
『愛ある別れ』
【愛ある別れ】
— 波流人 (@_halto) November 29, 2020
しばらくは二人の距離をおこう。
向かい合ったまま後ずさりしましょう。
姿形が見えなくなるまで、ずっとずっと。
いつか背中に懐かしい温もりが甦るその日まで。#四文転結の役
地球は丸い。世界はひとつ。なんと壮大なラブストーリーでしょうか。素敵です。
3位: 最寄ゑ≠ @XavierCohen
『たより』
#四文転結の役 pic.twitter.com/LrEdRDLdq0
— ♍最寄ゑ≠♍ (@XavierCohen) November 25, 2020
童謡のパロディ。二匹のヤギの絵面が浮かんでくるような楽しい作品でした。ラストの文の音感も実にイイ。
4位: O @O48764969
『不枯桜』
『不枯桜』#四文転結の役 https://t.co/sVmucvHvaH pic.twitter.com/vx3EzrhGIn
— O (@O48764969) November 29, 2020
桜の美しさの秘密が、新たに発見されてしまいましたね。死体が埋まっているより、浪漫を感じてしまいます。少々の切なさとともに。
5位: 夜野るこ @nightmilk_oo_
『自信』
ŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”🍞#四文転結の役 pic.twitter.com/IAYE2rqQgf
— 夜野 るこ (@nightmilk_oo_) November 28, 2020
トースターの中で目覚める自信家の食パン。そのお味を想像して、パン好きとしてはワクワクしてしまいました。夢のある作品です。
6位: makihide00 @makihide00
『結婚願望』
これは新作。
— makihide00 (@makihide00) November 21, 2020
タイトル「結婚願望」#四文転結の役 pic.twitter.com/3l459r9ILr
すっきりとした台詞運びも、結びの一文の切れ味も、正に熟練の技が光る一本でした。おみごと!
7位: UBEBE(T. Misaka) @TM_Official
『ソーシャル・ディスタンス』
『ソーシャル・ディスタンス(Social Distancing)』
— UBEBE(T. Misaka) (@TM_Official) November 21, 2020
ランプをこすると、目の前に魔神があらわれた。
お前の願いをひとつ叶えてやろう。
「2メートル離れてください」
その願い叶えたり、と魔神はランプの中に帰っていった。#四文転結の役
ランプの魔人のおとぎ話とコロナ禍の「今」の融合が面白い。目に浮かぶ状況にもクスリとさせていただきました。
8位: ガントレット @Hk6exbhwohcsO8Z
『タイトルなし』迸る稲光。
迸る稲光。
— ガントレット (@Hk6exbhwohcsO8Z) November 23, 2020
轟くは爆裂音。
それは人の業が生み出したパンドラの箱。
アルミホイルと卵を放り込んだ電子レンジを誰が開けられようか。#四文転結の役
モンスター映画のオープニングのような冒頭から、ラストに向けての流れが、是非朗読で聞いてみたい作品でした。
9位: 小結 @JaggerRichardon
『「・・・」狩り』
「・・・」狩り#四文転結の役 pic.twitter.com/yoDUNUX51t
— 小結 (@JaggerRichardon) November 22, 2020
ショートショートと相性のいいSF作品。三文目から雲行きが怪しくなる感じが好きです。
10位: 海棠咲@感想等用 @kaidousakinovel
『天井川』
#四文転結の役
— 海棠咲@感想等用 (@kaidousakinovel) November 21, 2020
「天井川」
格安で借りたアパートの部屋で寝ていて、ふと目が覚めた。
目を開けると、天井の辺りに青く輝く川が流れている。
よくよく見れば、川の中を悠然と泳ぐ山吹色の鯉の姿もあるではないか。
これのおかげで安くなっているとしたら、なんとも風情のない話だなと思った。
夜の闇に映える、色鮮やかな景色が印象的でした。果たしてそれは「怪異」なのか?余韻も楽しめる作品です。
【総評】
『四文転結の役』お疲れさまでした。次々と投稿される個性豊かな作品の数々を拝読するのは、まるで「満漢全席」を味わうような至福の時でございました。その中からベスト10を選出するのは、本当に困難を極めましたが、「これは役!これは闘い!」と心を鬼にして選出させていただきました。
皆様の作品に触れ、四文転結という短い創作物においても、「冒頭の掴み」「言葉のチョイス」「文章の流れ」「文末の余韻」等々、こだわるべき大切な側面が多く存在するんだなあと、気づきをいただきました。
そして、参加者の皆様のプロフィール等を拝見して、Twitter上で多くの創作の形があることも知れました。
青い鳥が繋ぐ、創作者の輪。嬉しくなってしまいますね。
「四文転結」におきましても、第四回の開催を心より楽しみにしております。
皆様と、またどこかの創作の場で再会できますことを願って。
ありがとうございました。