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サイバーパンクなワイヤーアクション『SANABI』レビュー

『SANABI』クリアしたので感想を。
端的に言うならとても良かった。ネタバレなしです。

良質ワイヤーアクション

『SANABI』はワイヤーを利用したスタイリッシュな動作が特徴の2Dアクションです。
右スティックでエイムを合わせてトリガーでワイヤーを射出、というツインスティックシューターのような操作感ですが、ざっくりオートでエイムしてくれるみたいな機能もついていて操作しやすい。
なお右スティックの操作中はバレットタイムのようなスロー演出があるので落ち着いて正確なエイムもできて安心。

ワイヤーを撃つ時の音も良いんですよね。壁に刺さったときのガツン!という音がコントローラーの振動も相まってすごく手応えを感じさせます。
ダークな感じのBGMも雰囲気に合ってて最高。
また、基本的にワイヤーを利用した突進しか主人公には攻撃手段がありませんが、軽く狙いを定めるだけで敵をすれ違いざまに倒せます。
敵にヒットすると一瞬スローになるので連続で敵をなぎ倒したりも簡単に出来てとても爽快です。

ハイセンスなドット絵とリッチな演出

このゲームはいや演出良~~~~~~~~!!!!ってなることの連続です。キマってます。バチバチに。

主人公の”将軍”とマリ、そして回想で登場する主人公の娘。
ドット絵のアニメーションが素晴らしくみんな可愛くて、キャラクターに愛着が湧きます。

娘ちゃんかわいいね

セリフの一部が大文字や赤文字で強調されたり、暗転のクリフハンガー、果てはグリッチのような不気味なエフェクト……。

途中から行動を共にすることになるマリはドット絵越しでもわかるやかましくもかわいいキャラクター性が魅力です。

こういう無線の演出いいよね
自律型の……破砕機……!?うっ……頭が……

何度かマリの説明シーンが入るんですが、これもまたかわいい。
手が込んでる。

「サンナビ」

本作の舞台はマゴ市という企業都市で、サイバーパンクな風味が特徴なのですが……。

都市の遠景。圧巻

この都市は明らかに怪しい。胡散臭い。
突如消えた住民、深まる謎……。

そして物語序盤から登場する「サンナビ」というキーワード。
主人公が追う「サンナビ」とは一体何なのか?
「最後までやり遂げることが大事ではない」の真意とは?
住民の失踪や都市との関係は?

サイバーパンクとSFが交錯するストーリーも『SANABI』の大きな魅力です。
惜しむらくは翻訳が時々不安定なところ。
特に一部のチャプターでは翻訳が硬いってレベルじゃなくいわゆる”怪しい日本語”の域に達しかけてるのですが、それでも読めないよりは遥かに良いですし、何より決めるところはしっかり決めてくれてます。

ゲームであることの強みを存分に活かしたストーリーテリングは一見の価値アリです。

リトライは概ねサクサク、ただし難所もあり

難易度は3段階(クリア後は4段階)から選べます。
難易度ノーマルだと4回連続で攻撃をくらうとゲームオーバー、ただし時間経過での自動回復もあります。
イージーだとHPが減らなくなりますし、プレイ中でも難易度の変更が可能です。
チェックポイントも基本的にこまめに配置されています。
……なのですが、一部のチャプターで時間制限つきの即死エリアがあるんですよね。これに関しては難易度の変更が意味を成しません。イージーだろうと即死は即死。無常。
しかも追い打ちをかけるようにチェックポイントが遠くて操作も煩雑な箇所があるんですよね。このチャプターだけ殺意高くない?

本作随一のトラウマ、「監督官」。ドット絵世界に唯一3Dモデルな異質さが際立ちます

それを除けば基本的にはちょうどいい難易度曲線で、プレイヤーの上達をしっかり感じられる作りになっています。
個人的には最終面もかなり苦戦したのですが……まあ最終面が難しいのはアクションゲームなら自然なことでしょう。

ボスはどれも一筋縄でいかない歯ごたえがあり、楽しい

おわりに

正直難所で躓いたときに限って言うならストレスも感じていました。
翻訳も実際怪しい。

ですがこのゲームのエンディングを見たときにそんなことは全部吹き飛んでしまったんですよね。些事です、些事。いや些事ではないんですが……。

「サンナビ」とは何なのか?
「最後までやり遂げることが大事ではない」とはどういうことなのか?

その全てが明らかになったとき、あなたもこのゲームの虜になっているはず。
2Dのアクションゲームでここまで演出をリッチにできるんだと。
10時間に届くか届かないかのプレイでここまで人を引き込めるのかと。

短時間で遊べるゲームの中にたくさんの魅力がギュッと詰まった『SANABI』、おすすめです。

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