まっすぐ君のもとへ―― ATRI-My Dear Moments-感想
なぜだかわからないけど夏になるとノベルゲームがやりたくなる。
気付いたらもう夏も終わりかけてるけど、ATRIをようやくプレイできたので感想を残しておこうと思う。Steam版です。
さっき確認してみたらこのゲームを買ったのは2021年2月14日だった。
3年半も寝かせてたのか……。
アニメも好評みたいで何よりです。
後半はがっつりネタバレに触れていくのでアニメを最終話まで見るか、ゲームを最後までプレイしてから読んでいただけると幸いです。
キャラクター雑感
アトリ
ポンコツかわいい。高性能ですから!
プレイ前の印象よりだいぶロリっぽくてちょっとびっくりした。ロリのほうが好きなのでなんか得した気分だ。
キャラデザがとてもよい。「はいです!」←かわいい
「美味しいは嬉しいですから!」の一言が沁みる。
夏生
我らが学者先生。
ノベルゲーにありがちなクールでちょっとヘタれた感じの主人公……なんだけど、アカデミーをドロップアウトして田舎に逃げ帰ってきて、なおかつ右足は義足というハンデを抱えている。
水菜萌
名前がかわいい(重要)。
夏生が竜司と楽しくやってる裏でアトリに料理を教え続けてきた影の功労者。本人的にも控えめだとよく言われるらしい。
竜司
親友ポジション。
第一印象が悪いのは名コンビのお約束だよなー。
アトリも言ってたけどナツと竜司は仲良すぎだと思う。竜司が本来コミュ力高い人なんだろうけど打ち解けすぎだろあんたら。
基本爽やかで良いヤツなんだけどたまにすげー湿っぽい感情がナツに向いてる気がする。
凛々花
さてはおめえ地頭が良いタイプだな?
ヒットマンなんて呼んでくるガキんちょなんて印象だった(ナツと言ってること同じじゃねーか)が、呼び方が「なつき先生」に変わるギャップをしっかり演出出来ていて感心した。
キャサリンも言ってるけど応援したくなるめっちゃ良い子。
キャサリン
一見して思ったのがヘイト管理が上手い。
コイツ絶対あとでやらかすじゃん……と思ってたら普通にアトリに反撃されるし、素性が知れたら不憫で残念な美人のお姉さんになった。
教員免許持っててそのまま学校の先生に収まったのにはちょっと驚いたけど……。叱り方を含め子供の扱いが手慣れており教師の面目躍如といったところか。
なんだかんだ子供なナツと違い大人として苦境に立たされることも多く本編以前でも苦労してきたのが滲んでいる。なんとか報われてほしい。
以下ネタバレ
ロボットに宿る感情
表情豊かな少女、アトリ。
物語の佳境、その感情は作られたものだったことが明かされる。
「ロボットに心は宿るのか?」という命題をなぞる本作のストーリーにおいて、アトリが例外的に人間のような感情を獲得したと勝手に思い込んでいたので、それが学習の末の出力に過ぎないということがわかったときは衝撃的だった。
夏生じゃなくとも本作をプレイしてる人はどこかで「本当に心があるんじゃないか?」と思っていたんじゃないか。ある意味これもゲーム(夏生)とプレイヤーのシンクロかもしれない。
アトリの”ログ”を見た夏生は取り乱し、「人間のふりをするのはやめろ」と言い放ってしまう。
さらに学校の周囲をうろつく怪しい人影ことヤスダの襲来で、アトリがかつて小学校で暴力を振るったヒューマノイドであることが周知されてしまう。
ヤスダの攻撃からアトリを庇った夏生を見て激昂したアトリはヤスダに暴力を振るい、自身がかつても暴走したことを語る。
ロボットのふりをしなくていいと夏生に諭されたアトリはずっと押し殺してきた悲しみを発露させる。
夏生はかつてアトリのマスターであった母、詩菜の名を口にする。
育児を放棄するために購入されたヒューマノイド。
詩菜はひどいいじめにあっていたようで、アトリが暴走したのもマスターを守るためだった。
しかし当の詩菜はクラスメイトに暴行を加えるアトリを見て「バケモノ」と言い放つ。
心に余裕がなく感情の整理も追いつかなかったのだろうけど、アトリにとってはあんまりな仕打ち。
それからアトリは詩菜のことを影から見守り続け、複雑な心境のまま事故にあった詩菜はアトリに夏生を託し息を引き取った。
潜水艦で思い出の地を訪れ、使命を思い出し、過去を超克し、”誕生日パーティ”が終わったあと、アトリは決意する。
あと数日で自分は機能停止する。これまでたくさんの悲しみがあった。
それでも前へと進むし、途中で見つけた喜びや幸せのことも忘れず、自分の未来を選ぶ。海上に浮かぶ人工島、エデンの管理者として。
辛くても前に進む勇気をもらったのは夏生だけじゃない。
そして60年後、最期の一日にエデンにアクセスした夏生はアトリと再会するのでした。
やっぱり”ログ”を見たシーンですね。
学校ではいつものアトリ、夏生とふたりきりのときは無機質なアトリ。
ここが見ていて本当に苦しかった。発電機から告白まで日常がすごく綺麗に回ってただけに落差がとんでもない。
「アトリってたぶんなんか特別なんだろうな〜」ってなんとなく感じてたプレイヤーも多いんじゃないだろうか。私はそうだったし、実際は心が宿っていたわけだけど淡々と自分の行動を綴るアトリやショックを受ける夏生を見て心が痛んだ。
明らかに朝に弱すぎたりと不穏な部分も続いて、トドメに迫る機能停止……。あの……天真爛漫アトリちゃんは……。
まあエデンでのやり取りで「あれ?無機質なアトリちゃんもかわいいぞ?」ってなるんですが……。
でもこの後感情を自覚したアトリちゃんがスーパーkawaiiヒューマノイドになるので!あぁ~~耐えた耐えた。
そうだよな……悲しかったことだけじゃなくて、嬉しかったこと、楽しかった思い出もいっぱいあるよな。
メモリーがなくなり、機能が停止するとわかっていても抗うアトリの姿勢が夏生に勇気を与えてたのはシンプルに良かった。
登場人物みんな痛みを抱えてて、再起、再生の物語でしたね。
みんな基本的に善良だったりズレてても遂げたいことがあったりしてシリアスな部分はシンプルに辛かった。
夏生が日常を取り戻す過程も良く描かれていて、その分シリアスなパートとのギャップが引き立っていました。
「地球にわたしも含まれますか?」の問いが重い。
含まれるよ!!!アトリちゃんがいちばん救われないとダメ!!!
TRUE ENDの夏生が救ってくれたので耐えました。
最初TRUEの存在に気づかなくてめっちゃモヤモヤしたんですけど、TRUE読んでようやく自分もちゃんとATRIというゲームと向き合えたなって感じがします。読後感がぜんぜん違う。
TRUEでOPが流れるのもニクい。
ロボットに宿る感情というテーマで王道をしっかり描けた良いゲームでした。どのアトリも可愛かったよ。
『Dear Moments』はめちゃめちゃ良い曲です。
綺麗に終わったあとに言うのもなんだけどヤスダはコレすぎるだろ!!!!
アトリが「汚え人間は滅びろ!」しなくて本当によかった…。いや部分的にはやってるけど。
おわりです。最後にふざけてごめんね。