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【VRChat】Blender4.2を使用して体形改変をする(2.ポーズモードで体型を変える)

0.イントロダクション

前回の記事ではアドオンや作業用のファイルなどを準備しました。
今回から体型改変の本題の部分に入っていきます。

読んでない方はまずこちらをお読みください。


1.全体の流れの確認

と、その前に、まず全体の流れについて説明しましょう。
Blenderを用いた体型改変では、以下のように作業を進めていきます。

  1. BlenderにFBXを読み込み、テクスチャを割り当てる
    (実は割り当てなくてもOK)

  2. ポーズモードでボーンスケール継承をオフにする

  3. ポーズモードでボーンスケールを赴くまま変える

  4. 満足したらファイルを別で保存する
    (このデータは大切に保管しておく必要があります)

  5. オブジェクトモードでモディファイア適用をする
    (ここでメッシュの形状が固定されるので戻れなくなります

  6. ポーズモードでレストポーズとして適用を行う
    (これも不可逆操作です)

  7. オブジェクトモードでモディファイアを付け直す
    (メッシュとアーマチュアを再紐づけします)

  8. 破綻している箇所を修正用のシェイプキーを作って調整

  9. FBXとして出力して、Unityでアバターとして再セットアップする

前回は1の読み込み・テクスチャ割り当てまで終わっているので、今回は上記のうち、2から4までを解説しましょう。

2.ポーズモードで体型変更を行う

2.1 ポーズモードとは?

ポーズモードとはその名の通り、ボーンを動かしてポーズを取らせることが出来るモードです。
これは本来モデルに特定のポーズを取らせたりするモードですが、実はこのモードだと一時的なボーンのスケール変更が出来ます。
Blenderを用いた体型変更は、この"一時的なスケール変更を永続的に適用する作業"と思ってもらって問題ないです。

Upper Arm.RとUpper Leg.Lを一時的に動かした状態

2.2 ボーンスケールの継承を解除する

まずはじめに、"ボーンスケールの継承"を解除します。
スケールの継承とはその名の通り、親となるボーンのスケールを継承する機能です。Unityではボーンやオブジェクトのスケールを2倍にすると、その子供(中に入っているボーンやオブジェクト)も強制的に2倍になりますが、Blenderはこのスケールの継承を解除できます。

体型変更を行う前に、まず特定のボーンのスケール継承を解除しましょう。
まずはじめに、左上のモード選択でポーズモードを選択します。

この時、アウトライナーで青枠の部分をクリックしてからモード選択ボタンを押しましょう。オレンジの三角(メッシュ)などを選んだ状態だとポーズモードに切り替えが出来ません。

ポーズモードに切り替わったら、「ポーズ」と書いてあるアーマチュアの中から任意のボーンを選びます。今回はまずHipsの中のSpineを選びましょう。

Spineを選択したら、下のプロパティ画面から「ボーンプロパティ」をクリックします。
選択しているボーンが正しいことを確認したら、「関係」の中にある「スケールを継承」を「なし」に変更します。

この変更作業を、以下のボーンに対して行います。

  • Spine(背骨)

  • Chest(胸部)

  • Breast_L/R(胸)

  • Neck(首)

  • Head(頭部)

  • Upper Arm,L/R(二の腕)

  • Hand.L/R(手首)

  • Upper Leg.L/R(太もも)

  • Foot.L/R(足首)

  • Hip_L/R(尻肉ですが、これはアバターによって変わります)

名前が違う場合はカッコ内の位置を参考にして同じ部分に該当するボーンの設定を変えてください。
L/Rが存在する部分は左右忘れずに設定しましょう。
(シオマネキみたいにしたいなら話は別ですが)

設定が終わったら、下記画像赤枠の三角をクリックしてトランスフォームが弄れる画面を開いておきましょう。プロパティ画面からも操作できますが、ここから操作した方が楽です。

2.3 シェイプキーを変更しておこう

次に、一度オブジェクトモードに戻してシェイプキーを操作します。
「どうしてシェイプキーを操作する必要が?」と思うかもしれませんが、胸を大きくしたいのであればあらかじめBreast_BigのシェイプキーをMaxにして弄った方が(経験上)形を整えやすいです。

まずはじめに、モード選択ボタンでオブジェクトモードに戻し、体のメッシュ(今回はKarada)をクリックします。
メッシュを選んだら、プロパティ画面にあるオブジェクトデータプロパティ(緑色の四角が3つ繋がったアイコン)をクリックします。

ここから先、4Kモニタに切り替えたので文字が小さいかもしれません
(クリックすれば拡大表示できます)

「胸大」というシェイプキーがありました。これをクリックして、下の「値」を1.000にしておきます。これがUnityでのシェイプキー100と同じ状態になります。
「Underwear」というメッシュにも同じシェイプキーがあるので、これも同じ数値にしておきましょう。

Unityにおいてシェイプキーは0から100ですが、Blenderの場合は0.000から1.000の範囲となります。
イマイチ分かりづらいと思いますが、1.000=Unityでの100と覚えておけばいいです。つまりBlenderでシェイプキーが0.5の数値の状態はUnityのシェイプキー50と一致します

2.4 不要なメッシュとボーンを非表示にしよう

次に、表示しておきたいメッシュ以外を非表示にします。
アウトライナーでオレンジのArmatureをクリックした後、残しておきたいメッシュをCtrlキーを押しながら選択します。
選択が終わったら、左側のビューポートにマウスポインタを移動させた後、Shift+Hを押します。

素体・髪・顔以外が消えました。耳を選択するのを忘れていたので消えてしまいました。
目のアイコンをクリックして表示しましょう。

本当は真っ裸が理想なんですが、記事なので下着を着せてます

ここまで作業が終わったら、ポーズモードに戻しましょう。
さっきと同じく、オレンジのArmatureを選んでからポーズモードに入ります。

次に、ポーズモードでのボーンの見え方を変えます。
デフォルトの状態だと八面体という方法で描画されていますが、はっきり言って結構邪魔です。表示方法をワイヤーフレームにしましょう。

ポーズモードでオレンジのArmatureを選択して、オブジェクトデータプロパティ(ご機嫌な人型のアイコン)をクリックして、ビューポート表示の「表示方式」を「ワイヤーフレーム」に変更します。

2.5 欲求開放時間

さて、ここから祭りの時間です。
己の股間に従い満足のいく身体を作り上げましょう。

ここからは完全に趣味の領域ですが、個人的に意識しているポイントを書きつつ自分のやっている流れで調整していきます。

おっと、ここで注意点ですが、ボーンスケールを調整する際には赤枠の部分でちゃんと希望のボーンが選択されていることを確認してください。

このスクショは「とりあえずHipsからだな」と思いつつ触ったらUpperLegが選択されていて「あ゛⁉」となっているところです

まず始めにケツから盛ります。
Z軸(前後)を1.2~1.3くらい盛りましょう。
Hips_L/Rが存在しない場合はここで尻の形状が決まります。

尻を盛ったら次は太ももです。
Upper_LegL/RのZ軸を1.1~Hipと同じくらいの間で増やします。
この時、L/R忘れずに同じ数値にしましょう。

次にX軸(横幅)を変更します。
カメラを正面に切り替えて、X軸をZと同じくらい増やしましょう。
まだいけそうな気がしますね。

さて、足を太くしたので今度は腰の横幅を増やしましょう。
X軸は足の太さと同じくらいが理想ですが、今回はとりあえず1.1で様子を見ます。

腰の横幅が増えた(=足の付け根の距離が離れた)ので、太もものX軸を増やしました。
1.3で丁度いい感じですね。Z軸(前後)も増やしたくなりますが、ここで前後を太くすると足が太くなったので腰の前後を増やす⇒腰の前後を増やしたので足をまだ太くできるって無限ループに陥ります。

一旦ここで切り上げて足首の調整をしましょう。
足首はX:Y:Z等倍で1.1~1.2くらいが理想です。
ポーズモードでも目のアイコンをクリックすればメッシュの表示/日表示が出来るので、一次的にソックスなどを履かせるのも良いかもしれません。

ここで正面から見た時、太ももの赤丸の隙間が気になったのでXを1.35倍にしました。
調整次第ではミュータントみたいになっている可能性がありますが、ここでのは未調整の部分(腰から上)は極力見ないという点がポイントです。

次は上半身に移っていきます。
SpineはXをHipsと同じか、くびれに違和感が出ない程度に増やします。

次にChestのZとXを同じだけ盛ります。
ただし、Shoulder(肩)はChestのスケールを継承しています。
闇雲に大きい数値を入れるとキャプ翼かsattouみたいになるので気をつけてください。
今回は一旦1.1にしました。Yは身長に影響するのでまだ触りません。

次に、二の腕を弄ります。
XとZを一旦1.1にします。Yは腕の長さに影響するのでまだ弄りません。

次に、手首のスケールを等倍で1.1~1.2に増やします。
VRだと手の平が小さかった時の違和感がすごいので気持ち大きめくらいでよいです。

ここまで弄ったら一旦引きで全体を見ます。

ところどころ太くはなっていますが、今回は身長2.2~2.3m程度を目指すので、これからY軸を調整します。
因みにデフォルトの身長はおよそ140cmです。

個人的な感覚として、三点トラッキングやデスクトップモードなど、足の自由が効かない状態で使うのであれば1.8m前後をオススメします。
それ以上のサイズだと「フルトラでない場合、体の向きは頭の向きに依存する」という仕様が災いして、伏せた時などに脚と胴体をトレーラートラックの如く振り回すことになります。
(ごろ寝システムなどで伏せモーションを変えている場合は例外です)

まずはじめにHips・UpperLeg_L/RのY軸をそれぞれ1.2にします。
150cm程度になりましたが、足が原点より下に行ってしまいました。

こういった場合はHipsを上に持ち上げる必要があります。
アウトライナーでHipsを選択して、ビューポート左側で移動ツールを選びましょう。ついでに靴も履かせておきましょう。

移動ツールを選んだら、ビューポートで青色の矢印をドラッグアンドドロップして、Hipsの座標を上に持ち上げます。
緑色の水平のライン(地面)に気持ち靴が埋まっているくらいがちょうどよいです。

次に、SpineとChestのY軸を同じく1.2倍します。
これで大体160cmくらいです。まだ余裕がありますね。

胴体が伸びたので、腕の長さ(肩から太ももまで)も変わっています。
ここでUpper ArmのY軸を1.1倍しておきましょう。L/R両方やるのを忘れずに。

腕を降ろしたとき、どのあたりに手首が来るのかを確認したいときはまず画像のX軸ミラーをONにします。

次に、UpperArmのLかRを選択して、ビューポートにマウスを持っていってからキーボードのRを押します。
これでマウスの動きに合わせてボーンが回転するので、腕を降ろしたときどのあたりに手首が来るのか確認できます。確認が終わったらEscキーを押して抜けましょう。

ここで大事なものを忘れてました。胸ボーンです。
説明は不要だと思います。

これを
こう

正面や上から見た時に間が埋まってしまっている場合は、回転のZの数値を左右対称に調整して間をあけましょう。
こうすることでまだ盛れます。

ここまでで一通り盛ってきましたが、まだ160cmくらいしかありません。
もう少し全体的に盛れそうです。

沼に入りそうなので、一旦ここで別ファイルとして保存しておきましょう。
今度はファイル名を"01_Wolferia_体型確定前.blend"としておきます。

ついでに、左上の「ブックマークに追加」を押すとこのフォルダをブックマークできます。よく見るフォルダを追加しておくと便利です。

~しばらくして~

色々弄り回してこうなりました。220マスなのでおよそ2.2mです。

ずいぶん…鍛え直したな…

全体的に良い感じには調整出来ましたが最後にいくつか確認しましょう。

まず髪の毛を消した状態での背中側のバランスから。
個人的なレギュレーションとして「胸の幅は腰幅を超えない」というのがありますがこれはクリアしています。

次に、腕を回転させます。
手の平は太ももに来ているので大体合ってそうです。

2.6 最終チェック

ファイル保存の前に、一旦破綻箇所のチェックをします。
まずは一旦全てのメッシュを表示しましょう。

先に裏側を…と思いましたがなんかスカートの頂点が一つ飛び出してます。

?????

ウェイトが漏れてそうなので、0.1でちょちょっと塗っておきましょう。
(本題からそれるので説明は割愛します)

これを
こう

ビューポートオーバーレイをクリックして「ワイヤーフレーム」にチェックを入れるとポリ割が確認できます。胸の下側はポリ割が少ないと破綻しがちです。今の段階ではどうにもならないので、確認だけしておきましょう。

こうしてみると、ボタンで留めてるブラウスなので完全な左右対称ではないです。そのため、レースの部分はそこそこ修正が必要になりそうですね。

4.ファイルを保存する

さて、ここまで終わったらファイルを保存します。
既に一度"01_Wolferia_体型確定前.blend"として保存しているので、上書き保存をしましょう。Ctrl+Sで出来ます。

ファイルを保存したら、このファイルを複製してバックアップしておきます。
私の場合は"<アバター名>-体型ベースデータ.blend"と名前を変更しています。このファイルは衣装を着せる時に必要になるので大切に保管しましょう。

「Wolferia-体型ベースデータ.blend」としました

今回はここまでです。

次の記事では、変更したスケールを確定させる方法について説明します。

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