オンセ勢とオフセ勢は、それぞれオンセとオフセをどう見ているのか ~オンセイベントのアンケ結果~
先日【ONline VOICE ONly -TNX- 2】という「ボイスセッションでTRPGコンベンションやろうぜ!」なイベントを開催した。
で、イベント終了後に参加者にアンケートを出してもらった。
私は「情報を集める為に」イベントを開催しているので、むしろアンケートが本番と言える。
集める情報はその時の意識調査だったりトレンドだったり、とにかく色々なのだけど、でもこうでもしないと知る事が出来ない。
今回のアンケートは「オンラインセッション(以下オンセ)をメインに遊んでいる人(以下オンセ勢)」と「オフラインセッション(以下オフセ)をメインに遊んでいる人(以下オフセ勢)」で分岐させ、双方に同じ質問に答えてもらった。
オンセ勢とオフセ勢、それぞれでオンセとオフセ(ついでにコンベ)に対する意識がどう違うのか?それを調べたいと思った。
💠設問/質問内容
共通8項目、分岐15項目×2で合計38項目。
以降、グラフ1枚目はオンセ勢、グラフ2枚目はオフセ勢の回答。
💠結果
【このイベントに応募した決め手】
【コンベンションに求めるもの】 ※複数回答可
上がオンセメインの方の回答、下がオフセメインの方の回答。
オンセの下から二番目と、オフセの一番下の項目は「TNXやボイスの縁を増やしたかったから」。
差が出たのは「コンベンションやTRPGイベントに興味があったから」と「シナリオが面白そうだったから」。どちらもオンセ勢>オフセ勢、特に前者はオフセ勢では25%の得票だが、オンセ勢では50%超え。
テキセをメインに遊ぶ方だけ見ると、75%がこの項目を選択していた。
やっぱりオンセ勢はイベントに興味があるのでは?需要あるのでは?
また、オンセ勢はシナリオ情報を重視するという結果も出た。
今回、いわゆるナラティブ系シナリオが人気だったのは、そういう理由か。
続けて、そもそも「コンベンションを含むイベントに何を求めるか」という設問に対する回答が以下。
ここでも一番求められるのは「新しいPL・GMとの出会い・縁」という結果が出た。上の「イベント応募の決め手」の結果とほぼ一致(オンセ勢・オフセ勢共に二位)する。
オンセ・オフセ関係なく、イベントに参加する人は何よりも新しい縁を求めている事がわかった。
加えて、オフセ勢は「体験の共有」と「新しい環境」を。
オンセ勢は「ハードルの低さ」と「お祭り感・特別感」を求める傾向が見られた。
「体験の共有」と「お祭り感・特別感」に着目すると、オフセ勢は「お祭り感・特別感」と「体験の共有」に差はなかった上、個別に回答を見ていくと、この二つは常にセットで回答されていた。オフセ勢にとって「お祭り感・特別感=共有するもの」と、相互は強く結びついている結果となった。
一方、オンセ勢はこの二つの回答が大きく乖離している。
個別に見ると「体験の共有」と回答した人は必ず「お祭り感・特別感」も同時に回答していた。つまりオンセ勢にとっては「共有するものがあるとすれば、イベントのお祭り感・特別感」と言える。
しかし多くは「お祭り感・特別感は欲しいけど、それを誰かと共有したいわけではない」結果となった。
イベント運営としては、TLなどで感想を共有してもらった方が参加者のモチベーションや満足度アップにつながり、また宣伝にもなる。
「お祭り感や特別感自体には需要がある」結果になったので、オンラインでは積極的かつ意識的に発信と共有を促していく必要があると言える。
お祭り感はイベント専用ハッシュタグを。
特別感は運営アカウントからのリアクション(いいね等)を使って、運営側から共有していくのが具体策か。
💠結果
【オンライン/オフラインセッションに求めるもの】 ※複数回答可
面白いのはどちらも「ハードルの低さ」がトップに来ること。
オンセ慣れしていないオフセ勢がここに投票するのはわかるが、オンセをメインに遊んでいる人も、オンセのハードルが気にかかるという結果に。
さすがにどちらも同じ対象に対するハードルを想像しているとは考えにくいので、仮説としては「オンセ勢は卓に対するハードルの低さ」「オフセ勢は環境に対するハードルの低さ」をそれぞれ求めている、か?
「新しいPL・GMとの出会い・縁」は、次の【オフラインセッションに求めるもの】という回答でもトップだった。
オンセ勢の下から二番目は「オフラインでしか出来ない事を探して」。これは自由記入欄の回答だが、一つ上の回答(ここも自由記入欄)と近い。
「特別感」と併せて、「オンセ勢はオフセに(オンセと違う)特別感を強く求めている」可能性が高い。これはオンセ勢が「イベントに求める物」で一位だった「お祭り感・特別感」にも共通する。
一方、オフセ勢は「イベント」「オンセ」「オフセ」それぞれに求めるもので、コンスタントに「新しい環境」の回答数がある。母数は少ないものの、必ず37%(3人分)は獲得しているのが特徴。
個別に見ると「オフセに新しい環境を求める」回答者は全員「オンセに新しい環境を求める」と回答している一方、「イベントに新しい環境を求める」と回答したのは1人だった(この1人は三つ全てで「新しい環境を求める」と回答)。
「イベントに新しい環境を求める」回答者のうち「オンセに新しい環境を求める」と回答した人は2/3人だが、「オフセに新しい環境を求める」回答者は、全てで「新しい環境を求める」と回答した1人以外いなかった。
これは「オフセかイベント、どちらかで新環境を求めているオフセ勢は、もう片方よりはオンセに期待している」と言える。
なお、オンセ勢はオフセに対してのみ新環境を求めており、イベントには出会いや縁を求めこそすれ、新環境は期待しない傾向となった。
あくまで新しい出会いや縁を自分のカジュアル環境に引き込みたい、という事か?
💠結果
【オンラインセッションの長所・短所】 ※複数回答可
双方とも、上から二番目は「外出準備、交通費、交通手段、移動時間を気にしなくて良い」。
大きく差がついたのが「待ち時間で演出を考えておける」「演出を整えられる」。オフセ勢はどちらも1票しか入らなかったが、オンセ勢はそれぞれ7票と6票も入っている。
相手の返信を待つ間ぼんやりとモニタを眺めるのではなく、相手の次の反応を予想して、それに対する返信や演出をメモ帳などに打ち込んで整えておき、反応速度を上げる……というのは、その場その場の反応速度で対応しあうオフセがメインだと馴染みのないテクニックかもしれない。
一方、オンセの短所についてはこのような結果が出た。
大きく差がついたのは「突発的な出来事による中断」。オフセ勢でここを気にする人間は少なかった。
これは予想外の結果で、解釈にも仮説にも悩む。
オンセもオフセも嗜む身として、ここまで差が出るとは全く思っていなかったし、仮に差が出るとすればオフセ勢が嫌がる項目だと予想していた。
理由は「オンセを遊んでいれば、誰にでも突然の中断は起こりえる」不可抗力と認識しているから。
オンセを遊んでいれば、数回に一度は自分、もしくは同卓者の突発的なトラブルによる離席や中断には遭遇するものであり(※感想には個人差があります)、不可抗力という認識だったから。
ただ、「中断」の度合いも「一時的な中断(数分~数時間後に再開)」から「中断したままその日の卓が終わる」「中断以降、続きの予定が立たず卓が立ち消え」まで広いので、どこを想定したかで回答が分かれた可能性がある。
休日一日オフセ勢(時間があるのでその日のうちに再開できる)が「一時的中断」を想定、平日夜オンセ勢(時間がないので中断時間が長引くとそのまま終了時間になる)が「中断したまま卓が終わる」「中断以降、続きが立たず卓が立ち消え」を想定しての回答と仮定すると、個人的に納得がいく。
💠結果
【オフラインセッションの長所・短所】 ※複数回答可
オンセ勢に意外と人気なのが物理コンポーネント。オフセ勢よりもコンポーネントを楽しむ回答が多かった。
オフセは卓に合わせた駒やマップを毎回用意できるわけではないので「見立て」を楽しむ枯山水のような遊び方になりやすく、「キャラ駒に使われるのが普通の消しゴム」でも気にならないオフセ勢は恐らく多い。というか慣れる。
ありものを使ったオフセのマップがだんだん前衛芸術・現代美術じみてくるのはよくある事だし(くいっくすたーと!参照)。
そう考えれば、表現したいものそのもののイラスト素材を使い、見た目にこだわるオンセ勢の方が物理コンポーネントに惹かれるのは、納得のいく結果かもしれない。
一方「オフセの短所」はそもそもの項目数が少ない事もあり、どちらも似た結果になった。
(オンラインセッションと比べて挙げられる短所が少ないけど、私の気付いてない短所も自由記入欄でいくつか出るだろう)と予想したが、ほぼ出なかった。
同じ質問を繰り返していけば「短所と認識していなかったが、実は大きな短所だった事」がこの先出てくる可能性はある。
💠課題
● 全体的に質問が曖昧だったり、複数の意味に受け取れる書き方だった。
質問の書き方を洗練させる。
● 設問によっては、オンセ勢の回答も「休日一日オンセ勢」と「平日夜短時間オンセ勢」で分岐する可能性がある。
次回からはこの二つの分岐用設問も入れる。
● いくつかの設問は「理由」の記入欄があった方が面白そう。
💠おわりに
「えっこれそうなるんだ!?」
「マジか、私の認識と違う!!」
という驚きに満ちた結果でした。大変満足です。
これを元に自分の意識をアップデートさせたり、今後のイベント運営に活用したいと思います。
ご協力頂いたイベント参加者の皆様には厚く御礼申し上げます。