4MSの誕生秘話:臨床検査業界に革新をもたらす起業ストーリー
こんにちは、臨床検査業界に特化したデジタルプラットフォームを提供する4MS合同会社の創業者・代表の中村です。
今後しばらくは4MSの創業ストーリーを紹介しようと思います。2回目のnote記事では、起業の背景を中心に紹介します。
4MSは臨床検査業界に特化してサービス展開しているので、臨床検査技師や検査機器・診断薬メーカーなどの臨床検査関連企業の関係者の方々を中心に、興味関心を持っていただければ幸いです。
代表自己紹介
私は、検査機器・診断薬メーカーのDMR(臨床検査薬情報担当者)として検査室営業活動に従事していました。
業界に身を置く中で、臨床検査技師およびメーカーの営業・マーケティング活動をサポートするための適切なツールやリソースの不足を痛感することになります。
この経験を通じて、コロナ禍を契機に起業し2021年より事業を開始しました。 ここからは原体験の中で私が抱いた課題意識を共有します。
「診断薬業界は製薬業界から10年遅れて後追いをしている」
私が入社後に先輩社員に聞いた言葉です。
詳細は割愛しますが、商習慣や検査室営業のスタイル、コミュニケーションツールなどあらゆる面で古く非効率な要素が残っています。
製薬業界が最適なのかはさておき、製薬MRや医師の友人と仕事について話をしていると、「まだそんな営業スタイルなの?」とか「○○(ツール)とか使えばいいじゃないか。え、ないの?」といったダメ出しが多く、当時は苦笑いしながら愚痴を吐くことしかできませんでした。
本当はもう少し厳しい言葉を投げられたと記憶しています。
コロナ禍で様々な課題が顕在化
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、臨床検査業界においても様々な課題が顕在化しました。
業界関係者の方は数年前を思い出してみてください。それぞれの視点で分けて例を挙げてみます。
検査機器・診断薬メーカーの課題
訪問自粛や訪問規制時に、営業・マーケティング領域で有効な打ち手がない
人材流出や活動コストの増加を抑えることができていない
「DX」という言葉が流行していたが、デジタル化対応さえ進んでいない
検査室・臨床検査技師の課題
外部の技師間連携・コミュニケーションの機能不全
検査室営業(訪問や電話)への対応による業務停滞
企業との関係性の希薄化
ちなみにこれらの課題は私の主観が入っていることはもちろん、私以外の企業関係者や担当施設の臨床検査技師、検査センターの企画部門の方などとのコミュニケーションの中で抽出した課題の一部分でしかありません。
ピンチはチャンスと言うが…
特に検査技師と企業の営業担当者との関わり方、つまり営業スタイルはいよいよ変わらざるを得ないフェーズに来たと当時は確信していました。
コロナ禍という環境変化や世代交代に伴う価値観の変化によって、「今まで通りの営業」に固執していると臨床検査技師にも企業にとっても不利益が生じるリスクがあるのではと。
その点新型コロナウイルスの感染拡大は医療業界に非常に厳しいダメージを与えましたが、一方で古く非効率なシステムを見直し改革を進めるチャンスをもたらしたという側面もあります。
ピンチはチャンスというやつですね。臨床検査業界は前に進んだのでしょうか?
「10年の遅れ」は誤りである
2024年現在、製薬業界と臨床検査(診断薬)業界との差は20年以上開いたと感じています。
製薬業界が劇的な改革を成し遂げたというより、臨床検査業界が特に何も変われなかったという実感です。
コロナ禍では「ウィズコロナ」という言葉も流行り、いまやアフターコロナ時代に突入して次のフェーズを考える段階に入っています。
例えば医師の働き方改革やタスクシフト・シェアといったところです。
さて、臨床検査技師も臨床検査関連企業の方はコロナ禍前後でのポジティブな変化を考えてみてください。
私は特に思い浮かびません。(自戒を込めて)
これは何でだろうと考えた際に、一つ大きな原因に思い至りました。
それは臨床検査業界を対象としたデジタルサービスの提供者が存在しないこと。
令和になっても臨床検査業界のためのデジタルサービスがない!
コロナ禍を経験しても臨床検査業界に特化したデジタルサービスがほとんど存在しないことを痛感しました。
所謂サードパーティが不在なのです。
医療業界全体では主に医師や製薬企業向けの便利なサービス(例えばケアネットさん、エムスリーさん、メドピアさん)が多くありますが、臨床検査業界向けには令和になってもほとんど何もありません。
コロナ禍に限らず、時代の変化とともにニーズに適した様々なデジタルサービスが開発・提供されています。既存の大手企業がやらなくても、スタートアップ企業が誕生して新しいソリューションを提供する時代です。
もちろん、臨床検査業界は蚊帳の外。
なぜならそこには臨床検査に関わる人は少なく、業界の解像度も低いためサービスの対象にすらならないのです。
サードパーティのサービス登録画面を見ると臨床検査技師は「その他医療従事者」枠かサービス対象外、検査機器・診断薬企業は基本的にメインターゲットとは見做されていないことがわかります。
この状況を肌で感じていた私は、業界に身を置く当事者として自分で変化を生み出そうと起業を決意しました。
「デジタルの力で、臨床検査業界の生産性を向上させる」という使命を自らに課し、臨床検査業界専用のプラットフォームを作るに至りました。
臨床検査技師と臨床検査関連企業を知る私が、臨床検査業界のためのサービスを作り「その他医療従事者」やサービス対象外からの脱却を目指そうと日々励んでいます。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。
是非4MSに興味関心を持っていただけると幸いです。共感していただける部分や同じ課題意識がある方はお気軽にスキやコメントをください!
次回は4MSが対処する業界課題とソリューションについて、開発秘話も含めたご紹介します。
どうぞよろしくお願いします。