ホウレンソウ


夜、面白い詩を読んでいたら、

昼食のホウレンソウを思い出した

近所の小さい畑で採れた無農薬のホウレンソウ、

スーパーのレジ袋に入れて僕にくださった「それ」を、

週二回きてくださっている介護ヘルパーさんにお願いして、

ベーコンと一緒に炒めてもらった

ヘルパーさんは、

「味付けは薄めにしておきましたから、

 味が足りなければソースでもかけてください」

と言った

でも 一口 食べて美味だったので、そのまま食べた

ふだん食べ慣れているスーパーで買ったホウレンソウとは違って、

クスリ臭さがなくて、自然のままのおいしさだった

ホウレンソウには多分、意思なんかないと思うけど、

太陽と水と土の伝道師なんじゃなかろうか

そんなことを考えて、僕はニッコリと笑った





著者・霧島葵(49歳)

著作年月日・2022年4月8日

(C)Aoi Kirishima



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