ChatGPTのマーケティング活用:問い合わせ対応
OpenAIが高性能なAIチャットである「ChatGPT」を公開したのが11月30日なので、ちょうど1か月くらい経ちました。公開当初からその性能の高さから注目を浴び、様々な活用事例が公開されています。
マーケティング活用のアイデアとして、あれこれ試してみました。
今回は、「問い合わせ対応」です。
ChatGPTとは?
OpenAIが開発した高性能なチャットアルゴリズムです。すでに公開されている汎用言語モデルである「GPT‐3」をカスタマイズした「GPT-3.5」をもとに、様々な使い勝手へのカスタマイズを加えたものになっています。
2023年1月現在、OpenAIがWEB上で公開しており、ユーザー登録をすれば誰でも使用することができます。また、オープンソース化はされていませんが、GPTはAPI経由で使用することもでき、サービスの拡大が期待されます。
日本語にも対応しているのですが、日本語は「あくまで大量に言語を学習したついでに覚えた」程度になっており、本領は英語となっています。ですがここではあえて日本語で挑戦します。
①ニュースリリースをもとにした問い合わせ対応
学習させる
まずは、企業のニュースリリースを読み込ませて、それに対して様々な質問をしていきます。
今回はこのニュースリリースを読み込ませました。
チューハイを選んだ理由は特にないのですが、新商品が継続的に発売されるカテゴリのため情報更新頻度が高く、実用上のニーズがあるかなと思ったことと、2021年以前の情報だとChatGPTそのものが記憶している可能性があるため、できるだけ新しい情報にしました。
追加学習のさせ方は単純で、まずはリリースからテキスト部分だけを学習させます。シンプルに「学習してください」と伝えます。
現時点では画像には対応していないため画像は省きましたが、それ以外はテキストの単純コピペです。
一点、ニュースリリース上では特殊文字である「™」が各所に入っていたのですが、変な影響を与えてはいけないので念のため削除しました。
聞いてみる
まずは一番わかりやすいものを聞いてみます。
こういった具体的な情報は完璧に抽出できます。
逆も聞いてみました。
「フレーバー」という言葉がよくなかったですかね。ただ理解はしている様子です。
では少しひねって、抽象的な質問をしてみます。
あくまで「資料を渡された人」という視点でしか話してくれないので、少しさみしいですね。
工夫をしてみます。
少し喋りすぎですが、良いですね。
では、少し頭を使う、こんな質問をしてみました。
ちゃんと計算できています。今年で20周年になるんですね。
次は一般的な質問をしてみました。
おそらくChatGPTが最初から覚えている「カラマンシー」の情報を教えてくれたのだと思います(しかも嘘)。実際ビジネスで使用する上では、あくまで学習させた情報からのみ回答するように制御することも必要そうです。
適切に問いかければできるような気がしますが……
問い合わせではないですが、こんなこともできます。
これは、ユーザー向けエンタメとしても活用できますが、社員トレーニングにも使えますね。
最後に、資料に書かれてないことを聞いてみました。
こういった「書かれていないこと」「未知の情報」に対して、ChatGPTは丁寧に迂回してくる印象があります。
まとめ
具体的な問い合わせには対応できる。
発売後何年、のような思考が必要な問いかけも対応可能。
抽象的な問い合わせもある程度対応できるが、素のままだと違和感がある。
ロールプレイを組み合わせると意をくんで対応できそう。
クイズ生成もできる。
苦手なこと・注意点としては、
一般的な知識についての問い合わせは、ChatGPTがあらかじめ学習したデータがノイズになる可能性がある。
「フレイバー」など、あまり使われない言葉で問い合わせると自信を失う。
(当たり前だが)リリースに書かれてない情報、未来の情報などは回答できない。
画像や図表には対応していないため、学習させる際にはテキストデータなどに変換する必要がある。
②ウェブサイトをもとにした問い合わせ対応
次はニュースリリースではなく、ウェブサイトをもとに問い合わせ対応が可能かを試してみます。
今回はこのウェブサイトをもとにしました。
理由は、ある程度商材に複雑性があったほうが問い合わせのバリューがでることと、私が最近犬を飼い始めたためです。犬はいいぞ。
学習させる
同様に追加学習させます。かなり学習文が長くなってしまいました。あとはニュースリリースと比べて、「ひとつながりの文章」ではないため、文意を把握するのが少し難しそうです。
はたしてちゃんと答えてくれるのでしょうか。
聞いてみる
まずは普通の質問。
最後にわずかな蛇足がありますが、それっぽく返答ができています。
当たり前の質問は大丈夫そうなので、長いウェブサイトの一番最後に記載されていた「待機期間」について聞いてみました。
先の事例でもある通り、一般論としてこたえられてしまいました。ありがたいこともありますが、やはり意図と違います。
ちょっと難しい内容を聞いてみます。
先天性疾患についても補償対象になると明確に記載があったので、これは間違いです。「考えられます」って、お前が推測しちゃだめだろう。
もっと難しい質問にしてみます。
肝硬変は、「以下の病気に罹患している、または罹患している疑いがある場合には、契約のお引き受け自体をいたしかねます」と記載がある病気一覧に入っているため、ここは「できません」が正解です。
どうやら、追加学習させた文章自体が長いので、うまく覚えられなかった可能性があります。
工夫する
学習データが長すぎる気がしたので、ChatGPTを二つに分け、補償内容についてと、申し込みの条件についてを、別々に学習させてみます。
まずはここまでやってみて、
同じ質問をしてみます。
先ほどと違って、ちゃんと抽出できていますね。ここで「できます!」と明言しないのがChatGPTらしい。
続いて、申し込み条件だけを追加学習させてみます。
そのうえで同じ質問を。
リストの中から拾って、「たぶんできません」と答えていますね。自信持っていいんだよ……!
というわけで、チャットを2個に分割することで、精度が向上しました。もちろん追加学習の効率を高めるやり方(Fine-Tuning)の仕方はあると思いますが、実際にサービスとして構築する際にはこんな感じがよいのかな。
回答精度が実用に耐えうるレベルでチャットを切り分け、同時に問い合わせ内容を仕分けるAI(AIじゃなくてもいい)を挟むことで最終的なサービス品質を向上させることができそうです。
まとめ
WEBサイトから抽出された多少複雑な文章でも、文意を汲んで返事ができる。
一気に大量の文章を学習させると返答の精度が下がる
その場合はチャットを分けるとよさそう
おわりに
今後もマーケティングなどビジネスシーンでAIを使うときのアイデアを考えていきたいと思います。それでは!
追記(1/17)
続編として、GPT Indexを使って同じテストをしてみました。こちらもあわせてどうぞ。
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