「あなたのために私が書いた歌」の感想まとめ①
1曲目
「向こう」と「青を」が、歌い方で押韻されてるところ、非常に気持良侍。
「黒」と「(くれ)るの」
「(き)てよ」と「でしょ」
が、交互韻になっているのも趣深侍。
「感情」「線上」で押韻しつつ、「環状線上」にかけているのは、ごっつテクニカル侍。
環状線はその構造上、渋滞を解消する術を持たないため(円環故に)、そのめぐっている感情は、吐き出すか別の形に昇華させるしかない。
これは、どんな形であれ、積極的に前を向かせる後押しSongとも言える侍。
①「ミみたいな」「無意味な」「満たした」のズラし押韻の心地よさ
②四則演算的でルーティンな日々に、満たされるような意味はない(零)と捉える、まさに一歩引いてしまったマイナスの状態か、
③「零は負ではない」ことを知り、自分で意味を見出す(足す)状態か、
④左右を選ぶのはあなた自身
2曲目
頭の「スーパーヒーロー」と 終わりの「ブライト」 が、歌い方でしっかり押韻されてるのが素敵侍。
細かい点では、「君」「息」「生き」「意味」「いい」の押韻も聴き心地良侍。
3曲目
「師匠シリーズ」の『桜雨』を思い出す。
純真さは、季節の始まりを。 ペーソスは、巡ってくる桜花の涙とともに。
4曲目
「レモングレネードよ」と「メロウと無縁めの」はオシャ韻やし、「メロウ」と「めの」が歌い方で踏まれてるのも良き侍。
「(ス)イッチ」と「(ポ)チリ」からの、「さらさら」「まだまだ」・「今さら」「(だ)から」「(今日)から」の連チャンは、心地良き侍で「下剋上」と「レボリューション」の長硬韻で締めてるのは流石侍。
できるだけ自然やけど、ギッチギチに韻を詰め込まれると、惚れてまう侍。
5曲目
(A)君の目のハート
(B)気のせいかな?
(A)君にメガハート
(B)バレ気味かな?
(B)気まぐれかな?
(B)小悪魔かな?
最後(B)で畳みかけてる感じ、好ましい侍。
6曲目
歌詞の「銀色した」は、「リンゴ・スター」の押韻であることは明らか。
アルバム『Goodnight Vienna』では、まさに「火星から来た」のが彼であることが露骨に示されている。
そう、これは音楽の天才による、“救い”の曲なのだ(三重の意味で)。
7曲目
この文脈においては、「覚える」ことは苦痛と挑戦の意味が込められているが故に、「今も」自身を奮い立たせてくれるそれは、「響いている」にならざるを得ない、、、的な解釈も可能侍。
8曲目
「なぜなぜ」や「偉いでしょ」といった承認獲得、そして「大人だから」という納得の仕方と、「遊び」の提案。
これは、「あの頃の自分」による、「現在の自分」への存在肯定を基盤とした応援歌とも理解できる侍。
9曲目
「ファ〇キュー」と「貫通」は、ダブルミーニングで押韻させてて素敵侍。
しかも、「窓開け」と「貫通」で遠掛けしてるのも趣深侍。
今日までは「走る」が7回で、明日は8回。
今の自分に「走れ」を足して、明日の自分。
10曲目
「ステップ」と「愛してる♡」、「には終わるダンス」と「今は踊るロマンス」、「なって」と「合って」の押韻は丁寧侍。
「惹かれ合」うのは、惑星と衛星の関係を想起させるし、200年以上楽園で踊りながら、次の惑星(人生)を待つ姿は、仏教的な死生観も感じさせる侍。
11曲目
心臓(に愛)を送れ
もっと(愛を)贈れ
(私の愛を)認めておくれ
目を見て(愛を)送れ/贈れ
徹頭徹尾、愛の歌。
12曲目
「アイウエ」=「愛上=爱上=恋をする」
「オは無し=お話」 →好いた相手と話す中で、loveへの変化に気づく歌。
縦読みつながりで言えば、右側逆さ読みで 「見てるよ君の涙」 になり、電話の距離より近くなっていることも示唆されている侍。
13曲目
朝に「おやすみ」を告げることの重さ。
革命とは、まさに自身の命運を転回させる(revolve)行為であり、それは「おやすみ」を吐き出す銃のrevolverにつながる。
2つの「死」は、2人の「出発」を祝えるのか。
師匠シリーズの『怪物』を想起させる。
14曲目
「漢字」「平仮名」「片仮名」の組合せの中で、今回「漢字」+「片仮名」で別意を生み出している理由としては、やはりそれぞれの成り立ちに立ち"蛙"のがよかろう。
そうなれば、「漢書・仏典などの注釈など、漢語の中で用いられることの多かった」片仮名が、漢字と対になるのはいたって自然侍。
15曲目
「完全だったものに孔を開ける」って考えると、何か寂しいじゃない。
だから私は、「敢えて輪っかを作った」って思うようにしてるの。
あなたに埋めてもらいたいから。
16曲目
260光年もの距離でも、一瞬で私を虜にしてくれたのは、「愛している」気持ちは光速を凌駕するってことの表れで。
だから愛って重いんだな(相対性理論的に)。
愛はタキオンだったという話。
17曲目
『ねえ、あのね』にも通底している、「規範としての自分をいかに正視するか」というテーマ。
自分を過度に抑制する「私」を踏み越えて、より自律的な「わたし」を再構築する挑戦。 それはまさに、天と地が入れ替わるぐらいに困難な試み。
18曲目
天使の数字を信じる15歳の2人。
愛の平方はいまだに不器用で。
想いの強さは完全に重なることなく、どちらかがその矩を踰えてしまい。
窓のないその暗い部屋の中で、壁に貼られた風景画を見てその子は。
「空の青が眩しいね」
繋がれた鎖の音は、その子の笑顔に不思議と調和していた。