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薬を飲んだ日は必ずと言っていいほど夢をみるの
それが寝る前に見たものだったり、するけど
1週間前くらいに見た、れのんが生き返った夢を
いまだに忘れられない、だからその日から
れのんが死んだ事を今だに現実的に感じられなくなった
というよりかは、わかってはいるけど
本当に死んじゃったんだって思いたくなくて
ずっと逃げている。
お線香たてる時も、遺影は見ないし
作業でやってしまっているから
毎日、毎日、お線香たてたか忘れてしまう
ずっと永遠に本当にひどい姉だと思う、
みんなには、れのんがこの世を彷徨わずに成仏できるように、とか、れのんが死んだ事を後悔して成仏出来ないから、少しずつでいいから悲しむことはやめようって言われる。でも私は、この世で一緒にいたいから
永遠に彷徨えばいいのにって良くない事を考えます。
骨を食べたいって言った時も、皆んなにダメだと言われて、でもれのんとの記憶は日が経っていくごとに
忘れてしまうのを自分自身が一番わかってるから
れのんが燃やされる前の顔も、
れのんが燃やされてしまった後の亡骸も、
どんどんボヤけてきて、忘れたくないのに。
だから私はれのんの事を自分の体に彫った。

れのんは私に自殺してはいけない様に
私を縛って足枷を残していった。
何年もずっと自殺未遂しかしてこなかった私にとって
一つしかない逃げ道を塞がれた様に感じた。
私はなにをするにしてもダメだったら
死ねばいい。そんな短絡的な思考を小学生の頃に
思いついてから、22年生きた。
そして幾度となく、簡単に死ねない事を悟って
沢山の絶望も経験した。
どれだけ辛くても勢い余っても
私の体は簡単には死ねない、死なせてくれない。
でもれのんは自分の手で自分を殺めた。
私が出来ないことはれのんにも出来なかった。
私が好きなものはれのんも大好きだった。
なのに私が出来なかった事を私より先にやってのけた。

自分の生き方が、根本は生きるためだって事は
わたしはわかってた。だから誰にも迷惑をかけてない、
ダメになったら、死ねばいい。その思考に
むしろ希望があったことに気づいて欲しかった。
でもそれは弟が死んだ1原因でもあること、
というより、そうでしか、無かった。
わたしの思考は間違ってた。
こんな姉をずっと見てきて、
すべて覚えてて、私の真似を本当にする子だった
好きなアーティスト、読書、爬虫類を飼うこと、
千葉から帰ってきた時にアル中だった私を見て
同じように酒に明け暮れる、趣味嗜好すべて、
自傷癖でさえ、私が男になったらきっとそれは私の弟だろう、それくらい全部真似をする。
だからまた真似したんだ、ずっとずっと真似する子だってわかってたのに、私が首を吊って1ヶ月も経たないうちに真似をして、本当にやってしまった。
しかも私がいない時に。
自殺で弟を亡くして、悲しみとストレスで
体が悪くなる母親や、残された私たち、
どうやったって前みたいに
ダメになったら死ねばいいなんて考えられるわけがない。
周りから見たら良いことだ
でも言ってしまえば、私が唯一無心で生きられる理由だった、だから生きる意味なんていう生産性のない事を
考えないで生きてこれた。
私には生きる意味なんて必要ない、それを考えてしまったら、人に縋ったり、物や、憧れの人物に、自分の身を捧げてしまうから、無くなった瞬間にまた堕ちるところまで堕ちるとわかっている。
ただ長生きできたら御の字。
そんな風に生きれたのは、いざとなったら
死ねるからで。

だから、れのんはずっと家に帰ってこないで
遊んでいるって考えるのが一番私にとって
良い考え方だと思った。

葬式やもろもろが片付いてから
私は脳が死んだみたいに仕事を詰め込んだ。
仕事は休んだ方がいいと言われたけど、
家にいると、なんか良くないって思ったから。
詰め込みすぎて少し体調は崩した。

そうやって過ごしていたら、
自分の部屋で適当なSNSを見てる時
内臓全てが絞られるようになった。
動悸や、頭痛、身体がとにかく不快な感じ。
吐き気がして、薬を飲もうとすると
体が拒むような感覚がワンクッションおかれる。

何故か急に、わたしを全肯定してほしい
って理由もなく不安と恐怖に駆られて、
頭の中がそれだけに支配される。
れのんの死を受け入れられないのは
もうわかっているから、そもそもを考えないようにしていている、なのに、脳は勝手に変なことばっかり
考える。急に自信がなくなって、
自分自身が本当にわからない、それに尽きるくらい
言葉じゃ表せないような、不安と恐怖で
まるで呪怨の世界に1人で潜り込んだ様な感覚
とにかく怖い。
少しだけ千葉にいた時と同じ感覚が蘇る。
私にしか見えない黒い物体。
寄り添ってるのかわからないけど
ずっと見ている

でも前みたいに自分のことをうまくまとめられる
自身も今はない、
本当に言葉にできないほど
わからなくなっている、
寝起きは毎日内臓が縮こまって、
本当にひどい不安感?ハカハカする。
なぜか絶望している。
とにかく5時間は要さなきゃ起きれない、
特に夜が一番ひどい。
自分自身が今どうなっているのかもわからない。

れのんの事で、
今までのことは全て忘れました。
れのんは大事な弟です
だからと言って今は死にたいとも思いません、
でも生きたいとも思いません。
仕事から帰ってくる度毎晩泣いています。
それは悲しいんじゃなくて寂しいからです。
どうやって母親、妹を不安にさせない様に
生きるか、私にもわかりません。
出来ることはして、
それ以外はもう良くわかりません。
死んじゃいけないってこんなにも辛いことなんだ。
って今になってすごく思います

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