初恋は叶わない?

 最近読んだ本の中に「初恋は叶わないもの」というフレーズがあった。その時に考えたことがある。それは「初恋」に「初」という言葉があるから初恋は叶わないものになってしまっているのではないかということだ。というのも「初」という言葉が付くと2回目以降があることが前提になっているようではないか。

 人生に一回しかないものには「初」は基本は付けないと直感的に感じる。例えば成人式は初成人式などと言わないし、還暦を迎えても初還暦とは言わない。また、2回目を示唆させると不適切な場合にも「初」という言葉は使わない。結婚式で新郎新婦に「初結婚おめでとう」と言ったらそれは新婚ほやほやの二人が将来分かれて別のパートナーと再婚することを想起させる。嫌味を言いたい場合は適切かもしれないが基本は不適切だろう。そう考えると「初恋」という言葉は2回目以降があることが前提であるし、2回目以降があることが悪いことではないという雰囲気を漂わせている。

 ただ最初に言ったように2回目があるから初恋が叶わないかというとそうではないパターンも恐らくあって、それは初恋が成就するがその後破局するパターンである。このパターンであればしっかりと2回目の恋のチャンスはいずれ訪れるだろう。また、このパターンになった恋愛プレイヤーにこそ、次なる恋への応援も込め「初恋おめでとう」と声をかけてみたい。

 そして2回目以降の恋が無い人、つまり初恋が叶ってそのまま分かれることなく添い遂げた人や初恋に敗れたのち恋なんてしなくなったアンチ恋愛、恋愛放棄の人達は2回目以降が無いのだから「初」なんて言葉を付けなくていいのかもしれない。自分は「初恋」しかしたことありません。ではなく、自分は「恋」しかしたことありませんと言えてしまうのかもしれない。なんだかかっこいい。特に「恋」を叶えてそのまま添い遂げた人というものを私は見たことが無いので、そのような人が現れたらぜひ「恋」しかしたことありませんと口に出していってほしいと心から思う。

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