部活再考・・・、部活最高! 涙の理由
現在、新型コロナウイルス感染症の強大な影響により、多くの学校現場における部活動のあり方にも制限や変更が余儀なく迫られています。大会や練習試合は、延期や中止、できても縮小・・・、本来なら生徒たちが目標に向けて全力を注ぐべき場面であり、その機会が生徒たちから奪われていくことは顧問として見ていて辛いものがあります。
一方、もともと以前から一部で「ブラック部活」という報道されるような状況にもあったため、生徒への過度な負担、また教員の働き方改革なども含めた抜本的な見直しが必要とされていた状態でした。
では、これからの部活動は、単にこれまでの「縮小」バージョンで良いのでしょうか。もちろんそうではないと考えます。そういうことではないのです。
クラスはクラス、授業は授業、行事は行事、そこでしか学べないものがそれぞれあります。部活動では・・・
「自分で自分をとことん追い込んで目標に向けて限界まで努力する」
「メンバーとともに、共通の目標に向けて真剣に取り組む」
「声が枯れるまで、仲間を応援する」
「長期間に渡り、自身の心身の向上に向け、気持ちを高め励んでいく」
いずれも他の教育活動で達成するのはなかなか難しいと思います。
覚えている、忘れられない、ふと思い出す部員や場面は数多くありますが、その内の1人にこんな生徒がいます。新人大会直前の体育の授業で、手の指を骨折。担任の先生や友人の前で大泣きしたそうです。ひどい折れ方での相当な痛みによるものかと、周囲がとても心配しました。でも、涙の理由は「これまで大会に向けて本気で頑張ってきた。でも、出られなくなってしまったこと。」痛みなんかどうでもいいということでした。そのひたむきさに、自分も周囲の仲間も大きく胸を打たれました。その大会では、その子の分も!と、みんなでがんばりました。そして、その生徒も復帰することのできた約半年後の公式大会で、これまでの努力と勝ちたい気持ちを内に爆発させて、市で優勝することができたのです。笑顔と共にあの時の涙とは別の涙を目に浮かべていました。
実は自分自身の学生時代には、本格的な部活動に所属して汗を流したような経験が一切ありません。やってみたいなという気持ちはあったものの、諸々の環境によりできなかったのです。ところが教員になって、顧問になって、生徒たちがみるみる成長し、その成果にともに喜び、課題が残る失敗にともに大きな悔しさを味わい、ともに成長し続ける経験をさせてもらえることができました。感謝です。
これからの部活動がどんな形になっていくかはわかりませんが、この良さだけはずっと不変であってほしいと心から願います。
最後に、今部活動に打ち込んでいる学生の皆さんには、制限や負荷に負けることなく、気持ちを切らさずに耐え、進んでほしいと応援しています。
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