東大AI模擬裁判を聴講
イントロダクション
私が参加することを決めた理由は、社会実験的な取り組みとして初めて聞く取り組みであったからです。さらに、誰でも気軽に参加できるという状況下で、私は参加するしかないと感じました。
現場の雰囲気や実際の進行状況から何かを感じ取ることができるかもしれないと思い、参加を決めました。
待機列はなかなかの長蛇の列で(笑)安田講堂の広さにも驚きました。また、大勢の人々とメディアの現地参戦からも、このイベントの注目度の高さを感じました。
AI裁判官というパワーワードはとても衝撃的で、AIがどのように判断という要素に使われるのかに興味がありました。また、私たちがよく聞くように、AIには意思がなく、自分で意思決定をしないという考え方に対して、どのように判断機構として作用するのかという点にも興味がありました。
※私は法律の知識に長けていませんので、ところどころ用語の使い方などを間違えている可能性があります。ご了承ください。
ぜひアーカイブ映像に一度目を通していただき、その上で読み進めていただけますと幸いです。
アーカイブ映像
模擬裁判の概要
参加者はただ様子を見ているだけです。
アーカイブの視点は参加者と同じです。
演者側は
・裁判官(AI)
・書記官(AIの補助、実質的な進行役)
・検察官
・弁護士
・被告人
・証人
裁判の様子は劇調で進行していました。
今、喋っているのが誰で、誰の順番が回ってきているのかというのが分かりやすく、裁判初心者の私からしても、とても見やすかったです。
またAI裁判官の存在映像表現にSFチックなジャービスチックな雰囲気を感じました。
流れとしては
・それぞれの立場からの主張や質疑応答
・会場への有罪無罪アンケート(AIや進行に影響のないアンケート)
・裁判官の判決判断
AIは基本的に状況を聞いており、喋る場面はおおよそ3場面。
裁判官から証人への質問と被告人への質問をする場面と、判決を述べる場面です。
それぞれ再生時間に飛べるリンクを貼っていますので見てみてください。
途中、書記官から進行に関する承認を求めるような質問に「はい」と答えている場面がありますが、その重要度が私には分からなかったので、今回ピックアップしていません。
会場は主張や質疑応答を踏まえてざっくり
無罪:有罪=2:1でした。
そしてAI裁判官は無罪判決を出しました。
感じたAI裁判官の利点や気になる点
利点
質問内容や判決の内容もそうですが、筋の通った意味の分かる内容でした。状況の整理やそこから論理として適切な回答をしているように見受けられました。
また、おそらくですが論理的であるがゆえに、結論ありきもしくは望む理想としてではなく公平に対応していたのではないかと感じます。
気になる点
登場する弁護士や検察官と比較してという印象ですが
感情を踏まえるような質問であったり、言葉尻を捉えるような質問がなかったなという印象です。
熱量がないという表現が近いかもしれません。弁護士や検察官は自分が想定する結論や流れががあり、おそらくある意味での不公平なアンテナのそれに沿うように対応をする。(裁判官としてそういうものかもしれませんが)AI裁判官は平然と状況などについて質問していたと思います。
自分の違和感や気になる点のための質問というよりは、理性的にこの情報が必要だから聞いているという印象です。
また、私個人として物足りなさを感じたのは判決部分でした。私も無罪だという回答を会場アンケートでしていました。そして、概要で書いた通り、会場の2/3が無罪と考えました。ここが一致していることに物足りなさを感じました。
振り返りながら気になっているのは、黙秘権を使われてしまった場合はどのような判断になってしまうのか。というところです。
今回、AI裁判官からの質問に対しては被告人も証人も全件回答していました。ChatGPTとしては黙秘という行為は、ただ入力されないだけであろうと思われるので、劇としてはおそらく不適切。実際にそれをやった場合には情報不足となっていくのか。もしくは何かの裏に潜む信用度パラメーターみたいなものに点数が入るのか。
公式の公開記事を読んでみて
公開直後の感想
自然言語によるプログラミンとはこういうものかと実感するnoteだと思いました。
よくあるプラグラミング言語も上から下にパソコン語で論理的な順序建てと流れで指示が書かれているかと思います。
このnoteもプロンプト本文を読んでいると裁判の流れも含め進行の外形を認識できるような気がします。
気になる点があるとすれば、ChatGPT側の学習の方になりますが、裁判官というロールにおいてどのような学習がなされていて、その結果どのような出力を今回行ったのかは気になります。
というのも実際に現地で参加した感想として、とても論理的であり納得も出来る出力もするAI裁判官だったと思います。しかしそれ以上でも以下でもなく、その精密性の高さにAIらしさを感じたのも本音です。
仮に裁判官というロールに対して、事細かに動作や気質などを設定していたら、専門性ゆえの特殊行動も行ったAI裁判官だったのかもと気になるところです。
直観的な判断とは
分からないや黙秘権、被告人の態度もそうですが、人間的にいまいち容量の得ない部分はありました。
自分はいわゆるマジョリティ側でおそらく加害側に近い属性なので分かり切っていない部分もあるでしょうが、それを踏まえても劇として、被告人に怪しい要素はありました。
ただ、それを私は有罪とする根拠や判断能力は持ち合わせておらず、アンケートには無罪と回答しました。
果たして今回の裁判官AIはそこまで想像したり感じたりしていたのでしょうか。
またその直感からくる、脳内検索などもあるでしょうか。
マルチモーダルにより、今後より多くの情報収集は出来るのでしょうが、そのあたり、どのようにデータベースと接続されて情報処理されていくのか楽しみですね。
倫理、TPOといえるもの
質問行為の加害性の判断なども含めて
弁護士からのストーカー行為などに関する質問には、前置きとして全部答えなくてもというものがありました。
これは被害からくる精神的辛さを考慮しての事だと私は感じました。
ただAIにはそういった配慮的要素はありませんでした。AIだから当然と言えば当然かもしれませんが、聞き手として情報収集をしやすくする枕言葉がないと大変なこともありそうだなと…
将来想像
今回は聞いたことをまとめて、整理して結論だしているという印象でした。
状況の時系列をそろえてくれたり、何か図表込みでどのように判断したかとかわかるといいなあとワクワクしますね。
あとは書いたように話し方や、黙秘している部分など、そのあたりもいい感じに判断されていくとという感じでしょうか。
まとめ
冒頭で主催の方は社会実験と言っていました。
AIに判断させるというのは、とても興味深く楽しい企画でした。
実態として、裏で色々AI使って、判断している企業さんや活動などあるでしょうからAIが判断しているようなのもありそうですが..
明確にAIに判断させて、はい決まり!というのは斬新的でした。
本当の裁判はもうっと情報ややり取りも多くなるでしょうし、複雑化しそうで、それにどのようにAIが関わっていくのか楽しみです。
ワクワクしながら自社プロダクトも研究開発を進めなければ…!
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