「営業」アナログをどこで活かすか
みなさん こんにちは 4DL Technologies株式会社 HRC部門 CCO荒巻順です。このnoteは7/1に書いています。
九州から関東にかけて、またもや線状降水帯が発達しているようで、首都圏も台風の如くの嵐です。
そんななか、雨に濡れながら行きつけのカフェに出勤してこの記事を書いています。
前回は
営業場面でのデジタルとアナログってどんな位置づけ、という所を書いてみました。
デジタル化が進むほどアナログの価値が浮き上がる
魅力を理解した上でデジタルの弱点(とくにテーマとなる生成型AI)
前回も書きましたが、測定結果として根拠ある算定値の出力がデジタルの魅力でしょう。
過去データをベースに判りやすい情報に加工してくれる。
過去データが元になっていますから、誰も文句の言いようがない。
会社でも過去データを根拠に論をはってくる人は、口八丁とは別の意味で強いですよね。
最近幅を利かせている「エビデンス」って奴です。
これはこれで、どいつもこいつもエビデンスに頼る風になって何だかなと言う気もしますけどね。正しいんですけどね。
何かというと、エビデンスを求める奴、エビデンスでしか話せない奴。間違っていないけど、正義の如くエビデンスを振りかざす議論しかできない組織はヤバイと思いますよ、鷲は。
まぁ、これは横道なので別途。
とにかく何にしろ、過去データを根拠とする論は、とにかく判りやすいというか誰もが納得しやすい。
ChatGPTなど生成型AIも、過去データを超大量に学習していますので、出てくる答えは「間違っていない(風)」です。
学習モデルが古いとか新しいとか以前に、出てくる答え(自然言語)を生成するロジックは根本的に破たんしていることはない。
自然言語として出てくるロジックそのものは間違いはない。しかし、その根拠が怪しい時があるって所です。
ここが、最大の魅力(ロジカルである)であり、弱点(根拠が微妙)でしょう。
アナログの余地(必要性)の話を他業種から考えてみる
人間は感情の動物ですから、ビジネスでも完璧無血なロジックで行動することはない。(たぶんできない?)
それこそ、世の中には色々なルールもあると思いますが、どこかに必ず解釈の余地がある。
人間(感情)の入る余地があるからこそ、人間の営みということなんでしょう。
ご存じの方はもしかして少ないかもしれませんが、機械の駆動力を伝達する歯車には「バックラッシ」が存在します。
もともと設計段階から組み込まれている隙間とか遊びと言われる部分です。
実はある程度の隙間や遊びがないと歯車は回りません。仮に回っても焼き付きや囓り剥離を起こしたりします。
歯車を作る業種のことを業界では「歯切り屋さん」って言い方をします。
昔はこの歯切りは、図面を見ながら職人のさんの経験で培った技能と勘で旋盤とか工作機械を動かし加工をしていました。
それがNC旋盤になりCNC制御のマシニングセンターに進化し、図面データを工作機械が直接読み取り、材料をセットすればデジタルデータから自動に削り出すようになっているのが、現在の機械加工業界(歯切り屋さん含む)です。
そして、加工が終わった歯車をアナログな仕事で、最終的に納品物として仕上げる職人さんがまだ存在します。
バックラッシは組み立てる伝導機によって異なりますが、100分の一桁ミリの精度で仕上げないと、焼き付きや囓りを起こすときがあります。
2つの歯車を工作機械で削り出します。ひとつひとつは、想定通りの誤差だったとします。
しかし、2つの歯車の切削誤差は組み合わせたときに、プラスマイナスで2倍になる可能性があります。それが悪い方向に出ると焼き付きとかを起こすのです。
なので、できあがった歯車を組み合わせる(ケーシングに据え付ける)時には、人間の手で摺動面(噛みあう時の接触箇所)をヤスリ類で仕上げる(摺り合わせ)仕事が必要になります。
正しく勘が必要なアナログな仕事です。
歴史的に見てデジタルで完結できる営みは少ない(現時点でたぶん)
あと、かれこれ30年近く前にDTP(デスクトップパブリッシング)という新しい技術が、出版印刷業界を駆け巡り出版印刷の革命だという話で盛り上がった時期がありました。
PCで全部出版デザインを行って、印刷工程に全部デジタルデータで最終稿を納品して、あとは勝手に輪転機を回して、製本までオートマチックでできる夢のような世界(少しオーバーですけど)。
印刷製本まで上流工程のオペレーターがハンドリングするって奴です。その結果、印刷や製本工程の職人さんがいらなくなるなんて話題になったのですが・・・
でも、やっぱり当時も印刷機を回す職人さんはなくならなかった。実際に機械を回して、気温や湿度などで微妙なインクの色合い調整などが必要な世界が残ったという例。
デジタルデータからリアル世界のデリバリー部分になった瞬間にアナログが出現すると、その間を取り持つ「摺り合わせ」が必要って奴です。
もちろん、ここ10数年で例えばKindleなどで読書をする人も増えているのでDTPだけで完結する電子出版どオールデジタルに近寄ってます。
が、Kindleだってページめくりのスイッチや画面のUI部分はアナログ部分ですから、人間の感覚に合わせるように常に調整が入っていますね。
結論としては、「生成型AIが出力した結果をそのまま人間が丸呑みすると問題あり」ってことではないでしょうか?
コンサルティングセールを営む我々が、ChatGPTの出力をそのままお客様にぶつけたり、意志決定の最終結論として受け取るのは、今現在であまりに誤差の大きい結論である。
これかデジタル技術の歴史からの教訓でもあり、現実としての最適判断ではないかなと思いますって奴です。
つまり、営業で言えば「お客様に情報をデリバリーするタイミング」で必ずアナログが必要になるということです。
ただ、生成型AIの出現で、このアナログの領域はかなり狭まったというのが事実でしょう。
つまり、狭くなったアナログ領域で誰もが生き残れるかどうかは、本気でヤバイですよってことです。それが最初に書いた「なくなる職業」って所に繋がります。
コンサルティングセールスのフローを考えてみる
さて、そろそろデジタルの話題からアナログの話題に切り替えていきましょう。
ChatGPTなどの出現でデジタルでビジネスが展開できる範囲が拡がってきています。その分だけアナログの領域は狭くなっている。しかし、それだけアナログの価値が際立ってきます。
だって、ChatGPTは誰が使っても同じ答えを返してきます(ここでそうしておきます、これ間違いなんですけどね)。つまり、ChatGPTの上でライバルとの差別化はできない。
つまり付加価値は相対的に低くなるってことです。まぁ、ChatGPT使えない奴よりはマシですが(笑)
まず、下の図は一般的に言われる「コンサルティングセールス」という営みの全体像です。
青い枠が、事前準備と言われる部分です。色々な情報を集めて分析をして、仮説を立ててからお客様に伺うって奴です。
黄い枠が、商談と言われる部分です。事前に準備した内容をもとにお客様の経穴すべき課題を掘り出し共有し、ニーズに転換して提案するって奴です。
1回の商談で結論が出ることは少ない。
これを繰り返しながら精度を上げていくことで、成約に繋がり、ソリューションの提供で顧客への価値提供になる訳です。
さて、このフローの中でいちばん重要なことは、緑で囲まれた部分なのは言うまでもないですね。
お客様の課題解決をするのが最重要な使命です。
だとしたら、その課題を商談の中でしっかりとお客様と合意すること。
その上でその課題をニーズに転換して、自社の商品サービスで解決できることをアピールする。これがセールストークって言われる所でしょう。
さて、その緑の最重要部分にどうアプローチをするのか。その味噌醤油味の素部分は赤い囲みに真理がある訳です。
この赤い部分でどれだけ多くの情報を、多面的な所から分析をして精度の高い仮説を立てるのか。
そこに、営業の効率や生産が繋がってきます。
なんでも仕事は段取り八分って言いますが、コンサルティングセールスも同じなんですよ。営業を瞬発力でやるほど間抜けなコトはありませんってね。
さて、やっと見えてきましたが、ChatGPTなどの生成型AIをどこで使うのか。
営業フローの中でデジタルに置き換えて生産性を上げるのはどこなのか。その置換えの中でアナログの価値をどこに置くのか。
その辺を次回以降掘り下げます。
ということでまた次回
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