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90年代の隠れていない名盤、その66(田中フミヤ)

淡々と更新が続き、66回目を迎えた当コーナー、今回はテクノ界の重鎮、田中フミヤのアルバム『Unknown Possibilities Vol.1』を取り上げます。それでは早速レビューに移らせて頂きます。

京都出身で大阪で『とれまレコード』を主催しているテクノ・アーティスト、田中フミヤが97年にリリースしたアルバム『UNKNOWN POSSIBILITY vol.1』。1曲目に『MOVE』はノイズの持続音の様な音が続く。特にリズムの無い一曲目だが、ジャケットに表れている様な都市の夜景にピッタリな音響だ。2曲目『three - storied pagoda』はシンプルさを極めた様なミニマルなテクノ。途中から被さるシンセの音が不穏感を強くする。3曲目『antibody』は高速ミニマル・テクノである。徐々に音が重なり盛り上げる、田中の手腕は流石だ。4曲目『CONTINUATION』は、このアルバムのベスト・トラックの一曲。暗闇の高速道路を車で疾走している様な疾走感が素晴らしい。5曲目の『IN THE DARKNESS』も素晴らしい。高速ビートをベースに様々な音が加わり高揚感を高めていく、刺激的なナンバーだ。6曲目『LATE NIGHT』は最低限の音で、じわじわ盛り上げるミニマル・テクノ。7曲目『ON A LINE』は骨組みだけの建築物を見ているかの様な、シンプルなテクノ・ナンバーだ。8曲目『RIGHT』もダークな疾走感に満ちたナンバー。9曲目『INSIDE #1』はオリエンタルなメロディが続き、電子音が重なっていくナンバー。ラストに当たる10曲目『INSTINCT』は骨太の低音をベースにグイグイ盛り上げる、アルバムの、ラストに相応しいナンバーである。孤独な都市の姿を音楽に表した様な、ダークで切れ味鋭い、日本のテクノの傑作である。未聴の方は是非聴いて欲しい。

田中フミヤのアルバム『Unknown Possibilities Vol.1』を取り上げました。次回、取り上げるアーティストは未定です。
よろしくお願いします!

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