90年代の隠れていない名盤、その43(The For Carnation)
今回で43回目を迎えた当コーナー、今回は、ここでも取り上げたバンド、Slintのメンバーが解散後に結成した、The For Carnationを取り上げます。それでは早速レビューに移ります。
ケンタッキー州ルイヴィルのSlintのメンバー、
ブライアン・マクマハンが結成したThe For Carnationのシングル『Fight Songs』とミニ・アルバム『Marshmallows』をカップリングして97年にリリースしたアルバム『Promised Works』。マクマハンが在籍していたSlintにも通じる、静寂の中、最低限の音数による、乾いた演奏と、呟く様なヴォーカルによる簡素なサウンドだ。その静寂感はリラックスすると言うよりは、聴いていて緊張感を感じる物だ。4曲目の『On the Swing』のギターの弾き語りによる静かな空間は印象的。続く『I Wear the Gold』ではシンプル極まりない静かなドラムが鳴り続け、そこに簡素なギター、ベースが被るという曲である。曲が終わるまで緊張感が解けないのが、The For Carnationの特徴だろう。約2分の比較的メロディックな『Lmyr, Marshmallow』を経て、5分を超える長尺のナンバー3曲が続く、圧巻は約9分のラスト・ナンバー『Preparing to Receive You』だ。ここでも特に編成は変わらないが、聴いていると頭が微睡んでくる様な特徴が、強く発揮されている。「ハード・コア」では無く「スロー・コア」と呼ばれるThe For Carnationの音世界が、たっぷり堪能出来る傑作である。Slintのファンは勿論、ポスト・ロックに興味がある方は必聴のアルバムである。
以上The For Carnationのアルバム『Promised Works』の紹介でした。次回取り上げるアーティストは未定です。また、次回よろしくお願いします。