双極性障害2型における軽躁の過ごし方、対策について考える。
6月、梅雨目前。
1年ぶりに扇風機を出した。
気温の上昇とともに、軽躁が顔をのぞかせている。
双極性障害になって10年が経とうとしている。
うつがベーシックな状態に近い私にとって、軽躁は厄介なものだ。
一方で、軽躁はうつ状態の時にできなかったことができたりするので、数年前までは好き放題やっていたのも事実。
しかし、感情の波は言うことを聞かず、サーファー気取りの私を放り出してどこかへ行ってしまうし、波に置いて行かれ濡れそぼり震える私を、頼んでも無いのに希死念慮が迎えに来る。
波が高く上がれば反動も大きい。打ち付けられた衝撃、揺り返しによって、耐えがたいうつ状態に襲われる。
「支障が無ければ軽躁を活用できる」なんて考えていたが、そんなことは無理だ。
軽躁は元気の前借りでも、エネルギーの放出でもない。
過度な表現をするなら「元手が無いのに闇金でお金借りて豪遊」に近い。
そこで今回は、「私なりの軽躁の過ごし方、対策」について記録しておくことにする。
まずはじめに
問題を解決する4つのプロセス
①問題の明確化
②原因を考える
③解決策を立案する
④実行する
このステップを頼りに今回の問題について向き合う。
問題の明確化:緩やかにうつ、ニュートラルな状態に着地できる軽躁の過ごし方を知らない
私の場合、軽躁は『散財』か『創作』のどちらかを主軸として発される。
『散財』は文字通りお金を使ってしまう。
AmazonやZOZOTOWNといったショッピングサイトを見漁り、「後々に必要だから」なんて理由を付けて浪費する。
自分で扱えるお金の範囲ではあるものの、当然後で後悔したり落ち込むので、散財の雰囲気を感じ取った時の対応はある程度できる。
問題は『創作』だ。
こちらの躁転は、noteや絵、勉強などに意欲的に取り組むことができ、うつ状態になった時に「あの時あれやって良かったなあ」と思うことも多い。
個人的には満足のいく機関であり、表面上は何も問題が無い。
しかし、表面上は、である。
周囲の人間からは「ちょっと元気すぎじゃない?」と言われることも増えるし、無理に動きすぎてうつ状態が重くなる。
それに「やりたい!」というより「やらなければ」という強迫観念に近く、動悸や焦燥感に背中を押され創作物を生み出している感覚に近い。
ここで気づく。
ヤバい問題が発生しなければ軽躁を放置していいわけではない。
躁鬱は地続きであり、上がれば上がるほど精神は急降下する。
軽躁=元気ではない。重いうつ状態と同じように『病的な状態』であることを理解しなければならない。
こうして私は『緩やかにうつ、ニュートラルな状態に着地できる軽躁の過ごし方について考える』という問題に向き合うことにした。
原因を考える:双極性障害の症状は消えない
以前に比べて正しい生活を送れるようになったし、服薬も欠かさず続けているし、休肝日も増え、身体的にはかなり健康になったと言える。
また、感情を揺さぶられるような経験こそあれ、ある程度日数を費やせば己の中で消化できるようになった。
しかし、双極性障害はそんなもんじゃ寛解しない。
何もなくても涙がこぼれるような悲しみに暮れることもあるし、ここ数日のように急き立てられるような軽躁がやってくる。
こればかりは仕方ない。原因は双極性障害だ。
解決策を立案する:10個のマイルール作成
ある記事を参考に10個のマイルールを作り、解決策を立案する。
参考サイトは以下に記述したので、気になる方はぜひ。
①今のうちにやっておこう、はやらない
決して元気なわけではないのに、無茶をしたら悪化する。
「せっかくだから」「元気なうちに」と思うのであれば、大人しく療養に専念した方がいいだろう。
②激しい活動、運動はしない
毎日のルーティンであれば構わないが、「エネルギーを消費しよう!」と思い立って運動するのであれば逆効果なのでしない方が良い。
③自発的にコミュニケーションしない
軽躁の過ごし方について調べると「人と会わない」「予定はキャンセルしよう」という文面を見かけるが、正直これは難しいと思う。
もちろん刺激を受けない環境に身を置くのは大事だが、前から決まっていた予定であればなおさら断りづらい。
ということで私は、以前からの約束や相手からのアクションは対応するが、こちらから会う約束を取り付けたり、積極的に発言をするのは避ける、というルールにした。
④欲しい物はとりあえずカートに入れるだけ
散財、軽躁であっても避けられない最大ミッションである。
衝動で購入しないというのは何とも難しいが、
「サイトを見ない」
「お金を使わない趣味を持つ」
「とりあえずカートに入れて様子を見る」
「家計簿をつける」
あたりで残高も把握できるようになり、以前より衝動買いは減った。
⑤家事も必要最低限
日ごろのルーティンを崩す必要は無いが、無暗にタスクを増やすのもまた違う。
必要最低限の家事でとどめておいた方が良い。
⑥やりたいことは1日6時間まで
私の場合は創作や勉強になるが、やれるからといって休憩せずに取り組んでいては躁が悪化する。
誰の迷惑にもなっていないように思えるが、何より自身の体に負荷をかけていることを忘れてはならない。
また、それにより症状が悪化し困るのは当事者だけではなくなる。
「人生を点ではなく線で考える」を徹底しなければならない。
⑦深呼吸する
私の場合、軽躁になると呼吸が浅くなるので、気づいた時に深呼吸をするようにしている。
実際に深呼吸は自律神経を整えてくれるため、日ごろから癖をつけておくとよい。
⑧風邪引いた時と同じ過ごし方をする
軽躁=元気ではない。
そもそもうつ状態の人間の体内にエネルギーなどあるわけがなく、空元気の状態で爆走したらガス欠するのは当たり前だ。
軽躁もうつと同じく病的な状態であり、いわば「風邪をひいた時」と同じようなものだと理解しなければならない。
皆さんは風邪ひいた時どうしますか?
横になる、スマホゲームやSNSなどできる範囲の娯楽を楽しむ、体に優しい飲み物を飲んで休む、などがあると思います。
決して、休まず活動に励む、過度な運動をする、いつもはしない大掃除をする、なんてことはしないのではないでしょうか。
「このエネルギーを消費すれば収まる!」ではなく、そもそもエネルギーは存在していない。病的な症状によって「ある」と錯覚させられているだけなのだ。
つまり我々は、軽躁であると自覚できる程異常な状態の時は、無理やりにでも休まなければならない。
⑨10時間就寝を目標に
睡眠時間を確保できず、躁が悪化するのはよくあるケースだ。
10時間は長すぎ!と思うかもしれないが、それくらい寝るつもりでいないと、深夜に寝て早朝に起きるみたいなことになってしまう。
実際に寝ていなくても良い、目をつむって体を横にするだけでも休まると言われている。
とにかくこれ以上躁の波を上げないようにしなければならない。
⑩通院時に話ができるよう、症状を記録しておく
2か月前から通院時に1か月分の病状メモを持って行くようにしたら、医師とのやりとりが豊かになった。
うつの時は明らかに調子が悪いので病状を把握しやすいが、軽躁の時は当人が調子が良いと勘違いしていることもあるので、調子の良し悪しに関わらず毎日の体調をメモしておくとよい。
この際「こんなことがあって悲しかった」「こんなことがあって嫌だった」というメモをするのではなく、双極性障害特有の「何も無いのに精神状態がブレた」という記録をつけておくとよい。
医師は我々の感情というより、症状について知りたいはずなので……。
実行する
今回の軽躁から記録を取りつつ、実際に効果があったか報告する。
効果があったかは「軽躁で上がりすぎることもなく、緩やかにニュートラルな状態に着地できたか」で判断する。
参考サイト
精神科医・さくら(@sakura_tnh)."躁状態では自己制御が困難。躁状態への移行をコントロールする10か条とは?"さくらこころのクリニック.2019/05/05.https://sakura212.com/bipolar-disorder-100/8802/ (2024/06/12)