高速USBメモリーの実力は?
昨年あたりから高速なUSBメモリーがいくつか発売されました。性能に注目する一方で、よく見ると3D NAND採用やSolid State Flash Driveを謳い、SSDとの違いがわからなくなっているので、そのあたりを見てみたいと思います。
高速USBメモリーとは?
高速USBメモリーを振り返ってみる
高速USBメモリーは、元々ハイエンド機種として、2012年頃に発売されたTranscendのUSBメモリーあたりが発端かと思います。
MLC NAND FLASHを採用して、公表スペック400MB/s (Read)でした。
次にADATAやKingstonからポータブルSSD ? USBメモリー ? どちらに分類すべきか悩むUSBメモリー (一旦、USBメモリーとします)が発売されます。
USB Type-Cを採用して、USB 3.2 Gen2対応で公表スペックは、1,000MB/s (Read)です。
2020年から2021年にTranscendからUSB 3.2 Gen1対応のUSBメモリーが発売されました。公表スペック420MB/s (Read)です。
性能は気になるところ
Solid State Flash Driveと言われると外付けSSDと何も変わらないと思いますので、ここでは、除外する方向で考えたいです。
しかし、2022年から2023年にかけてSanDiskも高速USBメモリーを発売し、だいぶ価格がこなれてきているようですので、このクラスの実力をM.2 NVMe SSD + M.2ケースの組み合わせた外付SSDで比較してみようと思います。
実際に外付けSSDと比較する
検証対象機器の紹介
まず、USBメモリーですが、フラッシュメモリー採用で最速そうなものをチョイスしました。
(3D NANDやソリッドステートドライブを謳っているものは、今回は、除外)
SanDiskのExtreme Goです。公表スペックは、シーケンシャル読出速度 395MB/s、シーケンシャル書込速度 100MB/sです。
次に外付SSDですが、M.2 NVMe SSDとUSB Type-C M.2外付ケースの組み合わせです。USB 3.1 Gen1に対応させるため、USB Type-CからType-Aへの変換プラグを使用します。
コスパ比較
1/15時点でのAmazon販売価格で比較します。
SanDisk Extreme Go 64GB
・ 販売価格 : 2,372円
・ 1GBあたりコスト : 37.06円
外付SSD 128GB
・ 販売価格 : 4,980円(SSD 2,580円+ケース 2,400円)
・ 1GBあたりコスト : 38.91円
ちょっとだけUSBメモリーの方がコスパ良いです。誤差範囲ですが。
テスト前の条件確認
ベンチマークテストもリード・ライトテストもテスト条件がUSBメモリーと外付SSDで異なる条件を挙げます。
ファイルシステムフォーマットは、USBメモリー : FAT32。外付SSD : NTFSになります。ファイルシステムフォーマットの違いについては、過去記事を見てみてください。
USB接続は、USBメモリー : USB 3.2 Gen1。外付SSD : USB 3.1 Gen1になり、外付SSDは、USB 3.1 Gen2も検証します。USB接続規格についても同様に、過去記事を見てみてください。
ベンチマークテスト (Cristal Disk Mark)
ベンチマークテストの比較になります。
シーケンシャル読出速度は、外付SSDに迫っていますが、他は外付SSDの圧勝といった感じです。更に外付SSDは、USB 3.1 Gen2に対応していますので、その結果を見てみましょう。(USB Type-C接続)
完全に性能面では、残念ながら外付SSDの方が良いです。
しかも装着しているM.2 NVMe SSDは、このカテゴリーの中で高性能という訳では、ありません。
リード・ライトテスト (H2testw)
リード・ライトテストでは、ファイルフォーマットの違いなのか、転送速度の安定度の違いからかもしれませんが、ちょっと違った結果になりました。
同一接続条件だと、書込速度に関しては、ベンチマークテストで完敗したはずのUSBメモリーが速いです。
外付SSDは、USB 3.1 Gen2対応なので、その結果も見てみましょう。
書込速度に関して、辛うじて外付SSDが上回ることができましたが、USBメモリーの実力も侮れない結果となりました。
高速USBメモリーの利点は?
正直なところ、性能面では、M.2 NVMeをベースにした外付SSDには、劣ります。コスパの観点で見ても、五分五分かもしれません。
利点としては、
・ 購入してすぐに使用できること
・ 持ち運ぶことを考慮すると、コンパクトなサイズ
が挙げられると思います。
特にすぐに使用できる点でいうと、今回の外付SSDは、ケースへの組込、PCへの認識、ドライブの設定(フォーマット含む)を行わなければ使用開始できません。(初回だけ)
USBメモリーは、パッケージを開封して、PCに挿せば使用できる点は、使用開始までの時間ということを考えると優れています。
持ち運びを考慮すると上の写真のようにサイズ感が全く違うことがわかると思います。このサイズでSSDに近い性能が持ち運べることは、メリットが大きいかなと思います。室内限定等であれば、メリットは、ありませんが。
高速USBメモリーは、速さを体感できます。しかし、この速さを活かせるシーンがあるかというと、他の選択肢を考慮すると難しいといったところかなと思います。USBメモリー1択であれば、性能重視も有かなと感じます。
SanDisk Extreme Goは、別途、単体レビュー記事を投稿予定です。