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石を積み上げること

 こんにちは、はいるです。さちこの前回のお父さんの記事を読んだ。こういうことは、書き留めておかないと、なんだか自分の記憶の中でどんどん曖昧になってしまうと思うので、書いてくれて良かった。友人といえど、こういうことを事細かに根掘り葉掘り聞いたり知ったりは出来ないからあらためてこのエッセイは貴重だ。

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 会社で、異動や中途入社で入ってくる人がいるが、その中で、チームに受け入れられる人と、受け入れられない人、というのが大体最初の3ヶ月くらいで分かれる気がする。その差がどこから生まれるのか、いつも不思議に思っている。

 チームに受け入れられる人は、最初の3ヶ月、120%を出す。絶対にミスをしない。石を一つ一つ積み上げて、周囲と関係を築き、信頼を勝ち得ていく。だが、受け入れられない人は、せっかく積み上げた石を、自分の軽率な言動や社風に合わない行動などで崩してしまう。一つ一つはそんなに大きなものでなくとも、積みあがっていかないことを「結果」とみなして、周りは段々期待をしなくなってしまう。

 そうして明確に差が出てしまった例を沢山見てきたような気がする。

 石が積み上げられなかった人は、その後もずっと、そういう人、という烙印を押されてしまう。期待されなくなる、だけで留まればいいが、「嫌われる」というところに達すると、仕事の遂行自体むちゃくちゃ難易度があがってしまう。Aさんが頼むとすんなりうまくいくのに、自分が頼むと嫌そうな顔をする、とか。何かのミスを、事実確認もせず自分のせいにされるとか。

 社会は厳しい。お金が発生しているから当然、という考えはもちろんあるだろう。それもわかる。

 でも、いま、後輩の指導や面倒を見ている立場からすると、石が積みあがっていかないから、期待出来ない、好きになれない、と切り捨てて、何も言わない人・もしくは糾弾する人が多いことに、いつも違和感がある。そんなにみんなうまく出来ないよ。だってあなたもそんな簡単に変われないでしょう?
 怒られても、失敗しても、それでも積もうとしている後輩が隣に座っている。結果的に石が崩れてしまっても。まだまだうまく積めなくても。

 その過程を辛抱強く見守っている時、子育てと変わらない、と思う。

 子供を育てる時に、完璧にミスなく石を積めるようになんて育てない。上手に石を積ませることを目的に世話をしているわけではない。一生高くは積めないかもしれない。一個積んでは崩れてしまうかもしれない。それでも毎日、声をかけ、世話をする。石を積む様子をじっと見守り、ときには一緒に積み方を考える。

 子供を取り囲む社会が、いつもそうであって欲しいと思う。完璧に石を積むことばかりを要求せずに、見守って、手助けしてくれる人が沢山周りにいてくれたらいいなと思う。

 自分が社会に対してそう願うからには、仕事場にいる彼女や彼に対してだって、当たり前に同じように振る舞いたい。彼らも誰かの大切な子供だから。そうして見守り、手助けしてくれる人が、もっと増えてくれたら。最近職場で、いつも思っている。

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はいるとさちこの交換エッセイ
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