眼瞼下垂症手術の難しさ

眼瞼下垂とは、何らかの理由で瞼が下がって視野を妨げている状態。

視野が悪くなると、代償的に眉毛を上げるようになり、前頭筋の緊張状態が続くため、頭痛肩凝りなどの症状を伴うことが多い。

今日は他院の眼科に出張して、眼瞼下垂症手術の修正をしてきた。
その病院とは別な話だが、

とある眼科の先生で、眼瞼下垂を専門として店舗を増やして活躍しておられる方を知っている。
そして、その被害者を何人も修正してきた。

「自称眼瞼下垂が得意である」、「症例数が多い」でブランディングしても、合併症やリオペが多いと、溜まっていくクレームに苦労するだろうなと思うが、患者さんに聞くと逆ギレされて泣き寝入りしてる方も多い。
そもそも別な病気の治療目的で眼科を訪れた、若くて正常な患者さんにも、「あなたは眼瞼下垂が始まってる」と脅し、無理やり手術をして失敗するから目も当てられない。

愚痴はこの辺にして、、

眼瞼下垂症手術が難しい理由は二つある

1つめは、見た目と機能の両方を改善する必要があるから。

「目が開いたんだからいいでしょ。保険診療なんだから。」
といわれればそれまでだが、ピークが外側にきて、つり目になってたり、左右の開き具合に差があるとやはり成功とは言いにくい。

2つめは、解剖学的なバリエーションが豊富であること。
瞼の厚み、瞼板前組織の厚み、脂肪の量、挙筋の偏位、動きの強さなど人によって大きく異なるため、慣れないうちは、同じように手術を遂行しようとしても迷子になって解剖を見失う事がある。

眼瞼下垂の成績を安定させるポイントがあるとしたら、

患者さんにどんなにバリエーションがあっても、人間ならば絶対にあるものをメルクマールにして術野を展開し、最終的にみな同じ解剖学的位置に持っていける事が一番の重要ポイントかもしれない。

欲をいえば、重瞼線をどれくらいに設定したら、その人が今よりきれいな目元になるかを考えて、そっと美人にしてあげるのも、美容に携わる形成外科医の優しさともいえる。